本著の原題は『One Child』である。どうにもならなつらく最悪な現実を記したノンフィクションでありながら、たった一人、シーラという少女にだけ目を向けられるなら、それは奇跡のような読後感をあなたに与える。
意図するともせざるともエンタメの文法に落とし込んでしまった反省からか、本作より後のトリイ・ヘイデンの著作は、完全にまるで救いのない、どうにもない現実をただありのままに書いていく作家になった。
他の本に価値がないわけではない。しかし、楽しい本を読みたいならこれ一冊しか勧められない。
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