シルクロードについての簡にして要を得た啓蒙書。興味深い画や写真がふんだんにあるのはこの「知の再発見双書」のすぐれた特徴である。日本人の持つシルクロードのイメージは中国からの西域探検の文献が中心であるのに対して西から東への文物の流れへの記述がこの偏りを是正している。とは言え、著者のドレージュは敦煌文書の研究家であるだけに仏教の中国への伝来、玄奘の旅、さらには鄭和の航跡などへの目配りも万全である。
日本の読者にとって目新しく思われることは西からの隊商や旅人に当てられる光であろう。西洋にとって中国は長い間にわたってただ遠くにあって特定することのできない、そのためにまた夢を掻き立てる無辺の土地であった。旅の恐怖は怪人や奇怪な風習をめぐる幻想の世界にもつながっていた。当然ながらマルコ・ポーロに一章が割かれ、著者はその「世界の叙述(邦題「東方見聞録」)」を高く評価し、なおその人物像が明らかでないことを残念がっている。
本書には翻訳者のほかに監修者がいてその寄稿が一部本文に紛れ込んでいる。果たしてこのような「監修」は必要だろうか。少なくとも監修者の手がどこにどのように及んでいるかは明らかにしておくべきである。
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