ぼくは本書を大学生の頃にワクワクしながら読みました.当時,ITについては「IT革命」だの「ITバブル」だの賛否両論(極論?)ありましたが,現在では,優れたものは生き残り,そうでないものは淘汰され,一時期の盛り上がりは落ち着きましたが,いまなおITは進化し続けています.本書では,当時のITの盛り上がりの中心地であるシリコンバレーを舞台に,アントレプレナーやベンチャーキャピタリストたちの物語(実話)が描かれています.
シリコンバレーについて書かれた書籍は他にも多くが存在しますが,本書が類書と以下の点で異なると思います.
・著者のずば抜けた情報力と分析力(例えば,ゲイツとキルドーリのやりとりは『新・電子立国』よりも詳しく書かれています)
・特に,オラクルのラリー・エリソンを詳細に取り上げている(日本オラクルについては吉田育代:『日本オラクル伝』が詳しいです)
・ベンチャーキャピタルを詳細に取り上げている(類書では起業家は取り上げますが,ベンチャーキャピタルを取り上げることは稀です)
・マイクロソフトをはじめIT史に詳しい脇英世氏の解説つき
・熱い魂
ITには大きく分けて自発開発(作りたい製品・サービスを作っちゃう)と受託開発(顧客が必要とする製品・サービスを作る)の2つがあると思います.シリコンバレーのITは自発開発が多く,日本のIT(一括りにしてゴメンナサイ)は受託開発が多いと思います.日本のIT(一括りにしてゴメンナサイ)には思想がなくて,できそうなことばっかりやって,電気・水道・ガスのようなインフラに成り下がってしまっていると思います(とくに大企業).
しかし,本来ITは楽しいもので,本書に登場するシリコンバレーのアントレプレナーたちは,自信に溢れ,できるかどうかわからないけど好きなことに挑戦し,「好きなことを突き詰めればハッピーになれる」ということを体現してます.本書を読めば,アントレプレナーたちの無謀とも思える挑戦から熱い魂(シリコンバレー・スピリッツ)がヒシヒシと伝わってきて,ITの楽しさ,そして,仕事の楽しさに改めて気付かせてくれることでしょう.
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