表紙のキュートな女の子に惹かれて読んでみようかな~と思っている人は注意してほしい。
最低限、エルシャダイ原作小説を読んでほしいしゲームもやっといていただけると安心だ。
作者はエルシャダイというゲームを作った上でその物語を内包する神話構想という世界を広げようとしていて、媒体が漫画だったりグラフィックだったり文章だったりする。今のところ。
これがなかなか曲者なのだ。
コミックスのエルシャダイセタ、グリゴリセブンは、ゲームの時間軸にそい、補完と修正を加えるように描かれている。が、グラフィッカーとして実力があるが、基本的に今まで漫画なんて描いたことのない作者が、魂込めて描いているのでおよそ誰の漫画にも似ていない作品に仕上がっている。個人的には水木しげるの奇想な展開とかセリフとかシャーマニックな雰囲気を感じたりもするが、インスピレーションにものを言わせた創成期のマンガのとんでもないパワーに似通った部分があるせいだと思う。気になる、頭に残る不思議な作品なのだ。
ところでこっち。サワキグラフは基本的に文章なので作者のその模索感がさらにものすごく濃い。
小説作法がめちゃくちゃだったりするので本を読み慣れている人にはかなり読みにくい作品だと思う。
(とはいえそこは経験値があがったのか、あるいはこちらが読み慣れたのかだいぶストレスがなくなってきた。今回は長さ的にも心地よい)
サワキグラフは小説というよりは、目撃譚とか口述筆記とかに近いのりで自由奔放形式で書かれているといえる。神の言葉を口寄せるように某書記が書きつづったと言われれば納得せざる得ないので、そこまで計算だったら怖いのだが、とにかく読みにくい。
にもかかわらず毎度ワクワク読んでしまうのは、斜め上すっとびの発想力と、その先の答えが知りたい気持ちがうわまわるせいだ。
恐ろしくも深い沼なのです。
というわけで
今回の作品には唖然とするその答えがいくつか隠されている。
エルシャダイという
ある天使とある人間の友情の物語(この二人のキャラクターの魅力も凄まじいのだが)から、神話構想という新たな広がりに移行するその補填というべきなのか。継ぎ目というべきか。
だから願わくば、原作小説だけでも読んでほしい。気分がのってきたら他の作品も読んでほしいし、コミックスもみてほしい。
けれどどうしてもここから始めたければ止めない。でも気をつけてほしい。
奇妙と奇天烈とそのほかあれこれの毒と熱に当てられること請け合い、
ここは深い沼の入り口だ。
内容紹介
<セタから地球へ>
本編は「エルシャダイ」の舞台である世界セタを舞台に、サワキグラフ Vol.01へと繋がる物語が収録されています。
本編は「エルシャダイ」の舞台である世界セタを舞台に、サワキグラフ Vol.01へと繋がる物語が収録されています。