オスのカイコガがメスのフェロモンを追う仕組が非常に面白かった。
フェロモンを検知すると直進、途切れるとジグザグ行動+大きくターン。
こういったシンプルな行動の組み合わせで見事にメスを追って行く。
まったく見事な戦略で驚嘆してしまう。
また昆虫操縦型ロボットの実験から昆虫の行動を研究するというのも面白いです。
ロボットのタイヤ両輪の回転が異なり、バランスがとりにくいときにもちゃんと考えて調整するとは!
恐るべしカイコガ。
また頭部と胸部の一部のみを使ってロボットに接続してしまうというのもびっくり。
なんだかマッドサイエンスのようです。
昆虫の脳の研究から今後ヒトの脳の研究へつなげていけるのか興味深いです。
評者は全くの素人なので専門的な部分の理解が難しかったですが、
なかなか面白い読み物でした。
サイボーグ昆虫、フェロモンを追う (岩波科学ライブラリー) (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2014/7/30
神崎 亮平
(著)
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本の長さ128ページ
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言語日本語
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出版社岩波書店
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発売日2014/7/30
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ISBN-104000296280
-
ISBN-13978-4000296281
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
数キロ離れた所から漂うフェロモンの匂いを頼りにメスを見つけ出すオスのカイコガ。米粒ほどの小さな脳をもちながら、優れたセンサと巧みな行動戦略で、工学者に解けなかった難題をこなす。そんな昆虫脳のはたらきが、ひとつひとつのニューロンをコンピュータ上に再現することで明らかになってきた。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
神崎/亮平
東京大学先端科学技術研究センター生命知能システム分野教授。1957年和歌山県生まれ。智辯学園出身。1986年筑波大学大学院博士課程生物科学研究科修了。理学博士。アリゾナ大学神経生物学部門博士研究員、筑波大学生物科学系助手、講師、助教授、教授、東京大学大学院情報理工学系研究科教授を経て、2006年より現職。2013年より副所長。小中高生対象の実験科学教室を開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
東京大学先端科学技術研究センター生命知能システム分野教授。1957年和歌山県生まれ。智辯学園出身。1986年筑波大学大学院博士課程生物科学研究科修了。理学博士。アリゾナ大学神経生物学部門博士研究員、筑波大学生物科学系助手、講師、助教授、教授、東京大学大学院情報理工学系研究科教授を経て、2006年より現職。2013年より副所長。小中高生対象の実験科学教室を開催(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2014/7/30)
- 発売日 : 2014/7/30
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 128ページ
- ISBN-10 : 4000296280
- ISBN-13 : 978-4000296281
- Amazon 売れ筋ランキング: - 291,237位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年7月31日に日本でレビュー済み
「昆虫、恐るべし」と著者は言う。小さな脳しかもっていないのに、適応的なふるまいをすることができる昆虫たち。たとえば、カイコガのオスは、脳にニューロンが10万本ほどしかないのに(ヒトの脳にはおおよそ1000億のニューロンがある)、複雑な環境下でフェロモンを追跡し、同種のメスを見つけ出すことができる。それならば、脳のはたらきや行動の産出メカニズムを理解するうえで、わたしたちは昆虫から学ぶことがたくさんあるのではないか。そんな発想から、著者は昆虫を利用した興味深い研究を進めていく。
著者の研究が対象としているのは、上記のカイコガの探索行動だ。自然環境下で、フェロモンを発するメスを数km先から探し出すということは、けっして簡単なことではない。そこでまず著者は、カイコガのふるまいを観察し、その行動戦略を明らかにしようとする。そして、その結果としてみえてくるのが、「直進―ジグザグ―回転」というごく単純な行動パターンだ。カイコガは、そんな単純なパターンを状況に応じて繰り出すことによって、複雑ともいえる探索活動を成し遂げていたのである(第3章)。
著者の研究はここで終わらない。むしろ、本当におもしろいのはここからである。著者はカイコガの神経活動を計測する。そして、その計測データにもとづいて、カイコガの神経回路モデルを構築する。さらに、スーパー・コンピューターにそのモデルを実装し、それをロボットと接続することで、世界初の「匂い源探索ロボット」をつくりだす(第5章)。いやいや、それだけでなく、今度はカイコガの脳自身をロボットに接続して、これまた世界初の「サイボーグ昆虫」をつくったりして(第6章)。そのように、グングン先へ進んでいく著者の研究ぶりには、読んでいて驚かされるばかりだ。
以前に某ウェブサイトで著者の研究を知ってから、この人が書いた一般向け読み物を読んでみたいと思っていたところだ。それが今回このような形で実現されたことは、一読者としてありがたいかぎりである。サイエンス読み物としてみれば、全体として文章が若干こなれていないようにも感じるが、それもまあ十分許容範囲だろう。
ロドニー・ブルックスやバーバラ・ウェッブのことなども思い出しながら、興味深く読んだ1冊であった。また何年後かに再び同様の形で、この著者に研究の進捗状況を伝えてもらえたらと思う。
著者の研究が対象としているのは、上記のカイコガの探索行動だ。自然環境下で、フェロモンを発するメスを数km先から探し出すということは、けっして簡単なことではない。そこでまず著者は、カイコガのふるまいを観察し、その行動戦略を明らかにしようとする。そして、その結果としてみえてくるのが、「直進―ジグザグ―回転」というごく単純な行動パターンだ。カイコガは、そんな単純なパターンを状況に応じて繰り出すことによって、複雑ともいえる探索活動を成し遂げていたのである(第3章)。
著者の研究はここで終わらない。むしろ、本当におもしろいのはここからである。著者はカイコガの神経活動を計測する。そして、その計測データにもとづいて、カイコガの神経回路モデルを構築する。さらに、スーパー・コンピューターにそのモデルを実装し、それをロボットと接続することで、世界初の「匂い源探索ロボット」をつくりだす(第5章)。いやいや、それだけでなく、今度はカイコガの脳自身をロボットに接続して、これまた世界初の「サイボーグ昆虫」をつくったりして(第6章)。そのように、グングン先へ進んでいく著者の研究ぶりには、読んでいて驚かされるばかりだ。
以前に某ウェブサイトで著者の研究を知ってから、この人が書いた一般向け読み物を読んでみたいと思っていたところだ。それが今回このような形で実現されたことは、一読者としてありがたいかぎりである。サイエンス読み物としてみれば、全体として文章が若干こなれていないようにも感じるが、それもまあ十分許容範囲だろう。
ロドニー・ブルックスやバーバラ・ウェッブのことなども思い出しながら、興味深く読んだ1冊であった。また何年後かに再び同様の形で、この著者に研究の進捗状況を伝えてもらえたらと思う。
殿堂入り
正味わずか100頁程度の薄さですが、昆虫がどれほど精巧な生き物なのかを実感させてくれる本でした。
まず、感心したのが、16頁の図。
同じ部屋なのですが、人間にとっての部屋、犬にとっての部屋、ハエにとっての部屋の認識の仕方が全然違うことがよくわかります。
人間は殆どの情報を視覚から(聴覚や嗅覚や触覚は補足的)得ますが、犬は嗅覚と聴覚が中心となり、
ハエも視覚や嗅覚などの情報を持ちますが、興味対象や情報のとらえ方が三者三様なので、
「世界」の見え方も全然違うのだな、と再認識させられました。
さて本書ではカイコガのフェロモンを中心に、昆虫の能力などを説いていきます。
カイコガの神経系は大きく分けて脳、胸部神経節、腹部神経節の三つに分かれます。
ですが、カイコガの頭部を切り離して胸部だけにしても一週間正常に羽ばたいたり歩いたりできる(普通のカイコガの寿命は一週間)、
というのは驚きでした。
残酷な話ですが、頭部を切断されたらそこで生命が維持できなくなる人間とは全然神経系の仕組みが違います。
そしてカイコガの脳内のニューロンの仕組みや活動を解析して、
神経回路モデルが製作され、それを搭載した昆虫サイズの匂い(フェロモン)源探索ロボットを作成するにとどまらず、
カイコガの体をロボットに置き換え、行動指令信号で動くサイボーグ昆虫まで考案・作成する著者の発想と熱意がすごいです。
これらの研究は検証により一層精緻化していっているそうですが、将来、より高度な脳の仕組みを知り、
例えば人間の脳の障害を治すなど多岐に亘って役立つことでしょう。
まず、感心したのが、16頁の図。
同じ部屋なのですが、人間にとっての部屋、犬にとっての部屋、ハエにとっての部屋の認識の仕方が全然違うことがよくわかります。
人間は殆どの情報を視覚から(聴覚や嗅覚や触覚は補足的)得ますが、犬は嗅覚と聴覚が中心となり、
ハエも視覚や嗅覚などの情報を持ちますが、興味対象や情報のとらえ方が三者三様なので、
「世界」の見え方も全然違うのだな、と再認識させられました。
さて本書ではカイコガのフェロモンを中心に、昆虫の能力などを説いていきます。
カイコガの神経系は大きく分けて脳、胸部神経節、腹部神経節の三つに分かれます。
ですが、カイコガの頭部を切り離して胸部だけにしても一週間正常に羽ばたいたり歩いたりできる(普通のカイコガの寿命は一週間)、
というのは驚きでした。
残酷な話ですが、頭部を切断されたらそこで生命が維持できなくなる人間とは全然神経系の仕組みが違います。
そしてカイコガの脳内のニューロンの仕組みや活動を解析して、
神経回路モデルが製作され、それを搭載した昆虫サイズの匂い(フェロモン)源探索ロボットを作成するにとどまらず、
カイコガの体をロボットに置き換え、行動指令信号で動くサイボーグ昆虫まで考案・作成する著者の発想と熱意がすごいです。
これらの研究は検証により一層精緻化していっているそうですが、将来、より高度な脳の仕組みを知り、
例えば人間の脳の障害を治すなど多岐に亘って役立つことでしょう。
2014年8月24日に日本でレビュー済み
コンパクトな身体に入る大きさと重量しかないのに、それゆえ、機能に必要な最小限のモノしかもたない。無駄のない器官・組織を生物は持っている。何億年、何十億年かけて「開発」された、現時点での「完成品」が、我々の前に存在している生物だ。
このすばらしい仕組み(機能だけでなく、「安全性」も何億年もかけて立証済み)を使わせてもらわないなんて、もったいない。
もし、人類が絶滅したくないのであれば、何億年も、何十億年も安全に機能してきた生物の生きる仕組みを利用するしかないのではないか。
生物の生きる仕組みの解明が進んでいることがよくわかるので、中学生や高校生にぜひ読んでもらいたい。
このすばらしい仕組み(機能だけでなく、「安全性」も何億年もかけて立証済み)を使わせてもらわないなんて、もったいない。
もし、人類が絶滅したくないのであれば、何億年も、何十億年も安全に機能してきた生物の生きる仕組みを利用するしかないのではないか。
生物の生きる仕組みの解明が進んでいることがよくわかるので、中学生や高校生にぜひ読んでもらいたい。