若き天才と呼ばれ今は落ちぶれた人物たちが短期間研究所で共同生活を送り、AIの補助を受けて再起を図るというストーリー。
才能の枯渇が前面に押し出された話であるが、「二十過ぎれば只の人」と言われるように、皮肉なことに多くの人にとって多かれ少なかれ共感できる魅力的なテーマだと思う。
あらすじは面白い。序盤中盤の主人公(綴喜)がどれだけ憔悴しているかの描写も引き込まれるものがあった。
ただ、閉塞した研究所という舞台のためか物理的な広がりがない。
しかもテーマがテーマなだけに、終始沈鬱な心情の描写が続く。
中盤も終わりに差し掛かってくると、流石に「僕たち私たちこんなプレッシャー感じてました」の吐露はもういいよ……となってしまう。
また内面の描写にしても、特殊な事情のある主人公を除いて、どれも似たり寄ったりで中途半端な感が否めなかった。棋士に至っては「俺はもう壊れてたんだ」で実質片付けられてしまっている。
他にも細かい点では、三人称なのにやたら内面描写が具体的で、かと言って高校生の主人公が思いつくようなことか?という表現が何度かあって気になった。
全体的に起承転結がかなりあっさりとしていて、メリハリが弱かった印象を受けた。
面白かったけれども。
ゴールデンタイムの消費期限 (日本語) 単行本 – 2021/1/7
斜線堂有紀
(著)
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本の長さ321ページ
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言語日本語
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出版社祥伝社
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発売日2021/1/7
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ISBN-104396636016
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ISBN-13978-4396636012
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商品の説明
著者について
斜線堂有紀(しゃせんどう・ゆうき)
上智大学卒。2016年 『キネマ探偵カレイドミステリー』 で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し、デビュー。 『私が大好きな小説家を殺すまで』 『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』 『詐欺師は天使の顔をして』 『恋に至る病』 など著書多数。
上智大学卒。2016年 『キネマ探偵カレイドミステリー』 で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞し、デビュー。 『私が大好きな小説家を殺すまで』 『夏の終わりに君が死ねば完璧だったから』 『詐欺師は天使の顔をして』 『恋に至る病』 など著書多数。
出版社より


登録情報
- 出版社 : 祥伝社 (2021/1/7)
- 発売日 : 2021/1/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 321ページ
- ISBN-10 : 4396636016
- ISBN-13 : 978-4396636012
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 272,838位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 8,908位日本文学
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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上位レビュー、対象国: 日本
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2021年4月4日に日本でレビュー済み
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2021年1月31日に日本でレビュー済み
子どもの頃から天才と呼ばれる子どもが増えてきた今、こういう子どももいるんだろうなと思いつつ読み進めた一冊。
子どもの頃から天才、いわゆる、ギフテッドはどんなことに悩んでいるのか?
そして、天才と呼ばれ、その才能を発揮できなくなった時どんなジレンマを抱え、現実を乗り越えていくのか。
人工知能レミントンによるプロジェクトは、元天才達の時に心を揺さぶり、ヒントを与え、進んで行く。
個人的には、子どもの頃から天才ともてはやされることが必ずしも幸せではないのかも、そんな印象を受けました。
もちろん、才能を開花させることは、素晴らしいこと。でも、商用目的となると色々ジレンマにぶつかる。そんなはずじゃなかったのに…子供心には、厳しい気がした。
同時に、人工知能が何に得意なのか?不得意なのか?ということについても理解が深まる一冊でした。
小説が描けるわけじゃない。では、何なら助けてくれるのか。そして、人工知能をうまく使って新作を出せるのか?先の気になる展開でした。
子どもの頃から天才、いわゆる、ギフテッドはどんなことに悩んでいるのか?
そして、天才と呼ばれ、その才能を発揮できなくなった時どんなジレンマを抱え、現実を乗り越えていくのか。
人工知能レミントンによるプロジェクトは、元天才達の時に心を揺さぶり、ヒントを与え、進んで行く。
個人的には、子どもの頃から天才ともてはやされることが必ずしも幸せではないのかも、そんな印象を受けました。
もちろん、才能を開花させることは、素晴らしいこと。でも、商用目的となると色々ジレンマにぶつかる。そんなはずじゃなかったのに…子供心には、厳しい気がした。
同時に、人工知能が何に得意なのか?不得意なのか?ということについても理解が深まる一冊でした。
小説が描けるわけじゃない。では、何なら助けてくれるのか。そして、人工知能をうまく使って新作を出せるのか?先の気になる展開でした。
2021年4月1日に日本でレビュー済み
まずは、読む手が止まらない作品だった。
どうなるの、続きはどうなるんだ、と最後まで続きが気になる。
やはり、優れた作品なのだと思う。
その上で、いくつか気になる点を。
集められた才能者たちが、
プロジェクトの内容に、多少の反感を覚えても
すぐに、まあいいか・・・となるのが、軽く違和感。
それぞれ追い詰められている人たちだからだろうか、
と思ってみるが、
追い詰められているから悪魔の囁きでも握りしめるんだ、
という描写ではない。
まあいいか、という調子なのだ。
自分の才能・存在価値を機械に明け渡すことに
人は、もっとためらいを覚えないのだろうか、
それともリアルな人間はこういうものなのだろうかと悩む。
ヴァイオリンは確かに、一音一音を教える教師もいるそうだけど・・
しかし、真の教師はそのような教え方をしないとも聞いた。
個人的には、それは
数学の答えだけ教えて、どう解くのか、何故なのかを
まるで教えないまま、回答用紙に答えを書かせるようなものだと思うのだが。
そういう意見は登場人物からは出なかった。
(みんな不参加だと話が進まないだろうけど)
とは言え、それぞれの背景を描く手並みは本当に見事。
そんな経験など無縁の、凡人の読者にも
これはひどい、これはキツい環境だ、と思わせる。
機械のようだったプロジェクト主催者にも
最後に裏の思いや、人間味を垣間見せさせる。
とてもよく、人間を描けていると思う。
そしてだからこそ、この人たちがどういう選択をするのか、
どうなっていくのか気になって、読む手が止まらなくなる。
と誉めたところで、結末は・・綺麗にまとめたかなという気持ちもする。
しかし、それは作者の力量のせいではなく、
才能ある者があきらめる、その選択が読者にとって苦しいから
なのかもしれない、とも思う。
どうしてあきらめられるんだ、
そんな選択をどうしてできるんだ、
その葛藤はすこんっと、本作品では触れられていない。
登場人物たちにとってはその苦しみはすでに、
これまでの軌跡でとっくに反芻しつくしているが故の、
すこんっ、なのかもしれないが、読者はすこし、置いてけぼりだ。
本としてはここでまたもたつくと、エンターテイメントでなく
文学作品になってしまうので、これで良いのだろう。
それに、最後のどんでん返しも、予想を超えていて、やはり
この作者の見事さを思わせる。
しかし、全く個人的な嗜好なのだが
虐待やニートの問題に取り組んでいる身としては、
なぜあきらめられるのか
どうやって違う道を見つけられるのかは、知りたかった。
予定調和ありきでなく。
たぶん、ニートがその立場から抜けられない、その理由に
大いに関わるポイントではあったと思う。
とは言え、繰り返しになるがそこまで含めようとすると
文学作品になってしまうので・・
おそらくその答えは、この作品を読んだ読者一人ひとりが
考えていくべきものなのだろう。
長くなったが、結局そこまで考えさせる
(そしてこうして感想を書かずにいられなくさせる!)
ほどに、読む者をぐいぐいと惹きつける作品であったと思う。
4.8星くらいを捧げたい。
どうなるの、続きはどうなるんだ、と最後まで続きが気になる。
やはり、優れた作品なのだと思う。
その上で、いくつか気になる点を。
集められた才能者たちが、
プロジェクトの内容に、多少の反感を覚えても
すぐに、まあいいか・・・となるのが、軽く違和感。
それぞれ追い詰められている人たちだからだろうか、
と思ってみるが、
追い詰められているから悪魔の囁きでも握りしめるんだ、
という描写ではない。
まあいいか、という調子なのだ。
自分の才能・存在価値を機械に明け渡すことに
人は、もっとためらいを覚えないのだろうか、
それともリアルな人間はこういうものなのだろうかと悩む。
ヴァイオリンは確かに、一音一音を教える教師もいるそうだけど・・
しかし、真の教師はそのような教え方をしないとも聞いた。
個人的には、それは
数学の答えだけ教えて、どう解くのか、何故なのかを
まるで教えないまま、回答用紙に答えを書かせるようなものだと思うのだが。
そういう意見は登場人物からは出なかった。
(みんな不参加だと話が進まないだろうけど)
とは言え、それぞれの背景を描く手並みは本当に見事。
そんな経験など無縁の、凡人の読者にも
これはひどい、これはキツい環境だ、と思わせる。
機械のようだったプロジェクト主催者にも
最後に裏の思いや、人間味を垣間見せさせる。
とてもよく、人間を描けていると思う。
そしてだからこそ、この人たちがどういう選択をするのか、
どうなっていくのか気になって、読む手が止まらなくなる。
と誉めたところで、結末は・・綺麗にまとめたかなという気持ちもする。
しかし、それは作者の力量のせいではなく、
才能ある者があきらめる、その選択が読者にとって苦しいから
なのかもしれない、とも思う。
どうしてあきらめられるんだ、
そんな選択をどうしてできるんだ、
その葛藤はすこんっと、本作品では触れられていない。
登場人物たちにとってはその苦しみはすでに、
これまでの軌跡でとっくに反芻しつくしているが故の、
すこんっ、なのかもしれないが、読者はすこし、置いてけぼりだ。
本としてはここでまたもたつくと、エンターテイメントでなく
文学作品になってしまうので、これで良いのだろう。
それに、最後のどんでん返しも、予想を超えていて、やはり
この作者の見事さを思わせる。
しかし、全く個人的な嗜好なのだが
虐待やニートの問題に取り組んでいる身としては、
なぜあきらめられるのか
どうやって違う道を見つけられるのかは、知りたかった。
予定調和ありきでなく。
たぶん、ニートがその立場から抜けられない、その理由に
大いに関わるポイントではあったと思う。
とは言え、繰り返しになるがそこまで含めようとすると
文学作品になってしまうので・・
おそらくその答えは、この作品を読んだ読者一人ひとりが
考えていくべきものなのだろう。
長くなったが、結局そこまで考えさせる
(そしてこうして感想を書かずにいられなくさせる!)
ほどに、読む者をぐいぐいと惹きつける作品であったと思う。
4.8星くらいを捧げたい。
2021年2月12日に日本でレビュー済み
若くして才能を開花させたがその後伸び悩む面々が1か所に集められ、AIとの融合で再度輝くことが出来るのか。
青春ものとしては登場人物達の葛藤をもっと深堀りしてほしかった。
それぞれの心の内が通り一遍に感じられ、きれいな物語として終わってしまっている。
面白いのだけど、読了後の印象は薄くなってしまう。
近未来的な設定になっているけど、実際はすぐにこのような実験は行うことができる現実が来るかもしれない。
芸術的な感性の面はAIでもなじまなそうではあるが、このようなヒントを与える形は融合性高いであろう。
青春ものとしては登場人物達の葛藤をもっと深堀りしてほしかった。
それぞれの心の内が通り一遍に感じられ、きれいな物語として終わってしまっている。
面白いのだけど、読了後の印象は薄くなってしまう。
近未来的な設定になっているけど、実際はすぐにこのような実験は行うことができる現実が来るかもしれない。
芸術的な感性の面はAIでもなじまなそうではあるが、このようなヒントを与える形は融合性高いであろう。