東証一部上場の事業会社で投資側にいたことがある身として感じるのは、(自分も含め)社内の多くの人間はCVCについての知識や経験が全く無いということである。そのような中、まさに社内でCVCを立ち上げなければならない現場担当者が当該全体像を俯瞰し、実務含めてどういうものなのかを幅広く知るには最適な書であると思う。
著者の経歴を調べると、日本の事業会社、海外の事業会社、海外VC、エンジェルという4種の立場で投資を携わってきており、また直近では日本の上場企業の社外取締役も務めている。このような幅広い経験の中、現在の日本のCVCの状況を著者なりに見て「今日本でCVCを考えるにあたり求められている、一番必要なレベルの書はこのレベルであろう」と考えていることが本を通して伝わってくる。
173ページというページ数で考えると、CVCを立ち上げることを命ぜられた現場担当者には最適な書籍であると考えられる。むしろ実務の詳細にのみスポットを当てた形にした場合、このページ数でおさめることは難しく考えられ、また今日本でより多くの人に必要とされる書籍とは異なる形になっていってしまうのではと思われる。
尚、最新の関連データ等も掲載されているため、現場の初心者層でなくとも興味を引く内容があると思われる。CVCに携わる、もしくは携わらなければならない人間は一読に値すると考える。
コーポレートベンチャーキャピタルの実務 (日本語) 単行本 – 2017/10/21
倉林 陽
(著)
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本の長さ176ページ
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言語日本語
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出版社中央経済社
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発売日2017/10/21
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ISBN-104502238511
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ISBN-13978-4502238512
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
日本のCVCはなぜ上手くいかないのか。日米の第一線で活躍し、実務経験豊富な著者が、CVCやオープンイノベーション成功の秘訣を説く!!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
倉林/陽
Draper Nexus Venturesマネージングディレクター。1974年東京都生まれ。同志社大学博士(技術・革新的経営)。ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営大学院(MBA)修了。東京大学Executive Management Program修了(第17期)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Draper Nexus Venturesマネージングディレクター。1974年東京都生まれ。同志社大学博士(技術・革新的経営)。ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営大学院(MBA)修了。東京大学Executive Management Program修了(第17期)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 中央経済社 (2017/10/21)
- 発売日 : 2017/10/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 176ページ
- ISBN-10 : 4502238511
- ISBN-13 : 978-4502238512
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2020年3月5日に日本でレビュー済み
企業のオープンイノベーション担当者は実務と並行して本書を含む関連書籍で業務に必要な知識を習得する必要があると思います。
オープンイノベーションは相手がいること(且つ、私自身ベンチャーキャピタルの世界は数年前まで全く知りませんでした。)ですので、相手との信頼関係を築く上でも、ベンチャーキャピタルの世界を広く押さえておくということは実務に活きると感じています。
要は、こいつ何も知らないなと思われない為に必要な勉強はしておいた方が良い、その目的に合致した本でした。
オープンイノベーションは相手がいること(且つ、私自身ベンチャーキャピタルの世界は数年前まで全く知りませんでした。)ですので、相手との信頼関係を築く上でも、ベンチャーキャピタルの世界を広く押さえておくということは実務に活きると感じています。
要は、こいつ何も知らないなと思われない為に必要な勉強はしておいた方が良い、その目的に合致した本でした。
2018年2月28日に日本でレビュー済み
耳障りの良い理想論ではなく、まさにCVCの実務を遂行する上でのポイントが丁寧に扱われており、
投資家サイドのみならず、投資を受けるベンチャーサイドも資金調達を進める前提としてキャッチアップしておく価値がある。
そもそも、CVC経験者であり、現役のトップ投資家である著者自身がどのような観点で業界をとらえているのか(トピック立てしているのか)を確かめること自体に大きな意義がある。
投資家サイドのみならず、投資を受けるベンチャーサイドも資金調達を進める前提としてキャッチアップしておく価値がある。
そもそも、CVC経験者であり、現役のトップ投資家である著者自身がどのような観点で業界をとらえているのか(トピック立てしているのか)を確かめること自体に大きな意義がある。
2017年10月29日に日本でレビュー済み
CVCの生き字引とも言える著者が書いた最新の実務書である。
CVCの担当者はもちろん、イノベーションの尖兵を担うビジネスパーソンにお勧めできる良質な入門書であり、同時に新規事業創出やCVC運用を担う責任者への指南書にもなっている。平明な記述で、CVCが求められる背景、日米の先行事例、投資プロフェッショナルとしての運用手法の解説がコンパクトにまとまっている。博士論文が元になっているため、成功要因の実証研究の成果も盛り込まれてあり、専門家にも示唆を与える奥行きの深い仕上がりになっている。
しかし、本書の価値は、CVCの唯一の専門書であることだけではない。淀みない文章から伝わってくるのは、CVCが日本のイノベーション創出に有効な手法でありながら、米国のベストプラクティスを取り込もうとしない日本企業への歯痒さである。その壁が、旧来の人事制度との相性の悪さにあることをわかりながら、日本の大企業は制度設計、権限委譲なしにCVCを始めてしまう。歯痒さとは、今のCVCブームに対する無言の警鐘でもある。CVCをR&Dの橋頭堡として活かそうとするなら、人事の特区として推し進めるくらいの強いコミットメントが求められる。本書の白眉は、その見えない声にある。
日本のCVCの果たすべき役割と寄せられる期待は、大きい。黎明期からCVCの道を歩んできた著者の渾身の作を、日本の大企業の経営者にこそ読んでもらいたいと思う。
CVCの担当者はもちろん、イノベーションの尖兵を担うビジネスパーソンにお勧めできる良質な入門書であり、同時に新規事業創出やCVC運用を担う責任者への指南書にもなっている。平明な記述で、CVCが求められる背景、日米の先行事例、投資プロフェッショナルとしての運用手法の解説がコンパクトにまとまっている。博士論文が元になっているため、成功要因の実証研究の成果も盛り込まれてあり、専門家にも示唆を与える奥行きの深い仕上がりになっている。
しかし、本書の価値は、CVCの唯一の専門書であることだけではない。淀みない文章から伝わってくるのは、CVCが日本のイノベーション創出に有効な手法でありながら、米国のベストプラクティスを取り込もうとしない日本企業への歯痒さである。その壁が、旧来の人事制度との相性の悪さにあることをわかりながら、日本の大企業は制度設計、権限委譲なしにCVCを始めてしまう。歯痒さとは、今のCVCブームに対する無言の警鐘でもある。CVCをR&Dの橋頭堡として活かそうとするなら、人事の特区として推し進めるくらいの強いコミットメントが求められる。本書の白眉は、その見えない声にある。
日本のCVCの果たすべき役割と寄せられる期待は、大きい。黎明期からCVCの道を歩んできた著者の渾身の作を、日本の大企業の経営者にこそ読んでもらいたいと思う。
2017年10月23日に日本でレビュー済み
富士通、三井物産、Salesforceといった日米のトップ企業にてコーポレートベンチャーキャピタルに携わった筆者によるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の実務書。
オープンイノベーションにおけるCVCの意義/活用方法に関して経験と実地調査に基づいて日米のCVCの差を比較し、その中で日米のエコシステムの差も浮き彫りにしている。
これまでにもなぜ日本企業に取ってオープンイノベーションが必要か、その中でのCVCが有要かという記事や著作はあったものの、なぜ日本企業はオープンイノベーションやCVCを成功出来ないのか、どのようにすれば成功出来るのか人事制度にまで踏み込んで書かれたものは、あまり存在していない。筆者の長年の実務経験やそこで培ったネットワークへのヒアリングから同書が執筆されたものだけに説得力もある。著者の言う事業拡大や競争優位確立に向けたコミットメントやプロフェッショナリズムを発揮するための動機づけシステムの機能不全から産まれるCVCの悪循環の図表は、長年、大企業やオープンイノベーションに携わった者としては、自分のことではないと思わず目を避けたくなるものである。
この数年、日本に訪れているオープンイノベーションブーム/CVCブーム/スタートアップブームを過去と同様に一過性のものとしないためにもベンチャー投資に関わる人全般にお薦めの一冊である。
オープンイノベーションにおけるCVCの意義/活用方法に関して経験と実地調査に基づいて日米のCVCの差を比較し、その中で日米のエコシステムの差も浮き彫りにしている。
これまでにもなぜ日本企業に取ってオープンイノベーションが必要か、その中でのCVCが有要かという記事や著作はあったものの、なぜ日本企業はオープンイノベーションやCVCを成功出来ないのか、どのようにすれば成功出来るのか人事制度にまで踏み込んで書かれたものは、あまり存在していない。筆者の長年の実務経験やそこで培ったネットワークへのヒアリングから同書が執筆されたものだけに説得力もある。著者の言う事業拡大や競争優位確立に向けたコミットメントやプロフェッショナリズムを発揮するための動機づけシステムの機能不全から産まれるCVCの悪循環の図表は、長年、大企業やオープンイノベーションに携わった者としては、自分のことではないと思わず目を避けたくなるものである。
この数年、日本に訪れているオープンイノベーションブーム/CVCブーム/スタートアップブームを過去と同様に一過性のものとしないためにもベンチャー投資に関わる人全般にお薦めの一冊である。