これがフィクションではないなんて!未だに信じられない。
作者、訳者、評者、すべてに騙されているのではという疑いが拭えない。
なにしろ、こんなに面白い伝記を読んだことがない。これは「徹夜もの」の推理小説そのものである。
基本的には、20世紀初頭に生きたイギリス人作家「コルヴォー男爵=フレデリック・ロルフ」の生涯を、彼の友人たちの証言と手紙をもとに時系列で追っていくだけなのだが、爆発的傑作への惜しみない賛辞、次々に明らかになる奇妙としか言いようのない出来事、突如としてつながる「ミッシングリンク」、そして最後の原稿の発見まで、ノンストップで飽きさせるところがない。
「天才の無駄遣い」と評された男の、哀れな、しかしあまりの「徹底」ぶりに痛快さすら覚える人生を、彼の偉大な才能に対する敬意を払いつつ、冷静に描き出している。
身近にロルフのような人がいたら?たまったものではない!
しかし彼の人生(彼の作品そのもの)は、観察者にとってはあまりにも「面白すぎる」。
このような対象に出会えた筆者に、嫉妬を覚えるほどである。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
