アニメ版では語られなかった部分が明らかになり、個人的には納得。だから大感動の大円団を満喫。
※ネタバレがありますので、ご興味のあるかたはどうぞ!
たえ、りみ、有咲・・ひょんなことから巡り合った友人らとともに学園祭のライブに向けて夢を膨らませる香澄。けれど香澄にはもう一つの切実な願いがあった。それは、いつもありのままの自分を温かく包み込んで応援してくれる親友の沙綾も一緒に学園祭のステージで歌ってくれること。いっぽう、賑やかにライブの準備を進める香澄たちを寂しそうに遠くから見つめる沙綾・・。これは皆の支えで試練を乗り越えた沙綾が晴れてPoppin' Partyに迎え入れられるまでを描き切った心温まる物語。
病弱な母さんを慮り、家族を守ることを優先すべく中学時代に友達と結成したバンドを辞し、心ならずもドラムスティックを封印した心優しい沙綾。親友が下した苦渋の決断のことを知り、それを尊重したい香澄だけど・・でも・・やらなければならないことと本当にやりたいこととの狭間で苦悩する友の姿を目の当たりにする。「あんなに苦しそうなのはやっぱり違うよ・・っ。」大好きな沙綾が苦しんでいるのを放ってなんかおけない・・。もちろん有咲、たえ、りみだって香澄と同じ気持ちだ。お互いの気持ちが交差しては、すれ違う。
かつて沙綾が所属していたガールズバンド、CHiSPA。アニメ版にも増して、そのCHiSPAに脚光が当てられているのが嬉しい。友のことを案ずるバンド・リーダー、夏希の涙からCHiSPAの仲間たちの沙綾への思いがしみじみと伝わってくる。沙綾の幸せを一途に願い、香澄たちの気持ちも大切にする夏希がステキだ。脱退を告げた自分を引き止めようとする夏希たちに背を向けつつ、人知れず独り涙を流した沙綾…。これまで語られなかった悲しき真実が心に沁みる。
そして、CHiSPAの新ドラマー、里美の知られざる面も巻末にて紹介される。予てからCHiSPAに憧れていた里美は沙綾脱退後、メンバーを元気づけようとドラム担当を買って出た。いつか沙綾が戻ってこれるようにと願い、そうなった暁には身を引こうと決めた里美。仲間や家族の愛に包まれて本当の自分と向き合えた沙綾は運命に導かれるように香澄たちPoppi'n Partyの待つステージへと走る。そして、その途中でCHiSPAのメンバーとばったり出くわすのだった。「沙綾とのバンド、楽しかった・・さあ、みんな待ってるよ!」夏希たちは沙綾のバンド復帰を心から祝福し、そして「うちの新しいメンバーのサトちゃん!恥ずかしがりだけど演奏は派手!」と今や掛け替えのない"仲間"となった里美を胸を張って沙綾に紹介する。新たな仲間の待つ場所へ向かわんとする沙綾に里美は自分のドラムスティックを託す。その直後、身を引く覚悟をしていた里美は感極まって泣き崩れるのだった・・。みんなの幸せを望んだ夏希らCHiSPAのメンバーたち、君らは本当に最高だ!学園祭でのライブ終了後、夏希たちのもとへ向かった沙綾は里美を抱きしめてこうささやく。「新しいドラムがサトさんでよかった…。」沙綾の優しさに今までにも増して泣きじゃくる里美。もちろん、それからというものPoppin' Partyはもちろん、CHiSPAのみんなもイキイキと青春を謳歌。ほらね…神様はステキな子たちの望みをちゃんと叶えてくれる❗️
愛深きゆえに苦しんだ沙綾だけれど、やっと自分のハートの声を尊重できるようになる。そんな彼女がPoppin' Partyのメンバーに心からの感謝を伝える最後の一幕もいい。「本当にありがとう・・私もみんなとバンドがしたい!」みんなの、そして沙綾の笑顔が見たくて一生懸命突っ走ってきた香澄は涙を溜めて沙綾の元へと駆け寄った。そして有咲、たえ、りみが二人を囲む。これがPoppin' Partyの、そう、キラキラのガールズ・バンドの始まりの物語。
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