個人的には、非常に楽しい本です。
バッハと数学と情報工学、他科学、工学全般、哲学、歴史などが好きなので。
随所随所で深い共感というか、なんとも言えない心地よさと、同時にもぞもぞした感じと、キョロキョロする感じを覚えます。
何かを手っ取り早く得ようとする本では無いです。
心地よい遊びや不思議な時間感覚を楽しみたいとき、ふと戻ってきて散策したくなるような、そんな本です。
現代社会のスピードに息切れした夜、眠る前に読むのに最高。
かと思いきや、ほとばしる知性の脳内会話に延々と付き合わされるのにウンザリ、という可能性もありますが。
何しろ、著者の知的レベルと知識量が大気圏を軽く突き抜ける感じな上、ボリュームも電話帳2冊分くらい、梅干し漬ける重石並の重厚な存在感を放つ上、内容は、ダイダロスの迷宮みたいに(行ったことないけど)難しいし。
イカロスじゃないけど、高く飛ぼう(完全に理解しよう)とすると、羽が溶けるどころか、脳が溶けることもあるかもしれません。
常人にも満たない理解力の私には、エベレスト山が何かよく知らずに、無装備で軽くピクニックにスキップしつつ出かけてしまい、当然の如く遭難する危険性が常に付き纏う様なデンジャラスな散歩ではあるのですが、それでもついこの本を開いてしまうのは、まず、この本の色々な書き方、仕掛け、スタイルが面白い事と、アイデア、深くて抽象度の高い話、そういう宝物がゴロゴロあって、ふとしたきっかけで突然自分にもそのうちの数個が見える時があるからです。そのときの、深い共感が何とも言えません。無理矢理喩えるなら、フーガが時間と空間に符号化された立体構造として浮き上がって聴こえてきた時の感動みたいな感じでしょうか。すみません、賢ぶりました。ちょっと何言ってるのか、分かりませんね。
ニュートンの、「私は、海辺で遊んでいる少年のようである。ときおり、普通のものよりもなめらかな小石やかわいい貝殻を見つけて夢中になっている。真理の大海は、すべてが未発見のまま、目の前に広がっているというのに。」という言葉がふと頭をよぎります。
この本の海、深過ぎ!海辺広すぎ!綺麗な貝殻、小石いっぱいありすぎ!レッツ潮干狩り!あえなく坊主。
収穫はよく分からない何かだったけど、夕焼けに染まったサンセットビーチは最高に美しかった。
そういう感じの方が大半ではあるのですが、私はこの本、好きです。
まあ、何て言うか、どんな本でも言えることなので、書く意味は無いかもしれませんが、気分とか相性によって評価が分かれそうな感じがします。
その、壮絶な分厚さと難解さ、凝りに凝った何次元ループ?みたいな迷宮っぽさ含めて、何ともチャーミングな本です。
それより何より、翻訳してくださった、野崎昭弘さん、はやしはじめさん、柳瀬尚紀さん、色んな意味で凄すぎます。
こんなに分厚い本、この難解で凝りに凝った、まるで書籍の捧げ物(音楽の捧げ物をもじりました。6声のリチェルカーレやフーガの技法の書籍版みたい、何ていうか、書籍のフーガ?というのが最初の印象でした)みたいな内容にも関わらず、すんばらしい翻訳!
本や苦の跡を微塵も感じさせません!翻訳の名著!凄すぎて、逆に翻訳された本ということすら忘れそうです。
こういう素敵な時間を過ごさせてくれる本に出会えて、幸せです。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。

Kindle化リクエスト
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、Get your Kindle here Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、Get your Kindle here Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。