掲載された物語は、それぞれ年代がバラバラで、ゲド自身が関わる物、そうでない物がある。
読む順番とすれば、五巻の前に読めば、五巻の理解がスムーズにできたのではないかと思う。特に、「トンボ」でそれを感じた。
四巻以降、魔法の力が全てではない、普通の人間の世界に戻ってきた感があり、この中編集も、絶対的な権力たる魔法よりも、人間同士の信頼、情愛が軸にある。
著者自身の解説も丁寧で、アースシーの理解に役立つ。
まだまだ隠された物語がたくさんありそうな気になる解説だったのだが、ル・グウィン女史はもう、筆を置いてしまったのでしょうね。
ならば、この味わい深い物語を読み返し、また、一巻からじっくりと読んでみたい。
ゲド戦記外伝 (物語コレクション) (日本語) 単行本 – 2006/2/16
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本の長さ499ページ
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言語日本語
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出版社岩波書店
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発売日2006/2/16
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ISBN-104000264680
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ISBN-13978-4000264686
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
アースシー世界をあざやかに映す5つの物語―カワウソ/ダークローズとダイヤモンド/地の骨/湿原で/トンボ。巻末に、ル=グウィン自身による詳しい解説。ゲド戦記、別巻。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ル=グウィン,アーシュラ・K.
1929~。アメリカの作家。主に、SF作品を執筆。「ゲド戦記」シリーズは、三部作として出版した後、18年を経て第四作『帰還』を発表し、フェミニズムの視点からも話題を呼んだ。11年後、『外伝』と『アースシーの風』を立てつづけに刊行、再び読者を驚かせた
清水/真砂子
1941年、朝鮮生まれ。青山学院女子短期大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1929~。アメリカの作家。主に、SF作品を執筆。「ゲド戦記」シリーズは、三部作として出版した後、18年を経て第四作『帰還』を発表し、フェミニズムの視点からも話題を呼んだ。11年後、『外伝』と『アースシーの風』を立てつづけに刊行、再び読者を驚かせた
清水/真砂子
1941年、朝鮮生まれ。青山学院女子短期大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2006/2/16)
- 発売日 : 2006/2/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 499ページ
- ISBN-10 : 4000264680
- ISBN-13 : 978-4000264686
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 1,405,094位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 12,283位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- - 32,239位英米文学研究
- - 32,644位英米文学
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年6月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
外伝というから、ちょっと引いちゃったりするかもしれませんが、そんなことはありません。
大賢人ゲドも登場しますし、ロークの学院がそもそも出来た由来の物語や、ゲドもひょっとしたそんな運命をたどっていたかも知れないような、ロークの学院で手に負えない反旗を翻してでていった凄腕の魔法使いのなれの果てや、ゲド戦記のもうひとつのラストになっていたかもしれない「トンボ」など興味深い短編、中篇がいくつか。
これを読まないとゲド戦記を読んだことにはなりませんね。
ああ、ホントにこれが真の最後の巻でよかったなあ、と心底思えるような珠玉の1冊です。
大賢人ゲドも登場しますし、ロークの学院がそもそも出来た由来の物語や、ゲドもひょっとしたそんな運命をたどっていたかも知れないような、ロークの学院で手に負えない反旗を翻してでていった凄腕の魔法使いのなれの果てや、ゲド戦記のもうひとつのラストになっていたかもしれない「トンボ」など興味深い短編、中篇がいくつか。
これを読まないとゲド戦記を読んだことにはなりませんね。
ああ、ホントにこれが真の最後の巻でよかったなあ、と心底思えるような珠玉の1冊です。
2004年7月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
帰還から以後、いつも同じなのは、本を早く読み進めたいのを我慢して、少しずつ、ゆっくり読むこと。もちろん、読み終わってしまうのが惜しいから。それほどに、手に取った新刊は、私にとっての宝物だった。最後になるのであろう、この本も大事に大事に読ませて頂いた。
今時、こんな思いもなかなできませんぞ。
読者の一人として、ゲド戦記に出会えた事を心からうれしく思っている。
少しでも興味がおありなら、ぜひ、「影との戦い」からゲドの世界へ。
今時、こんな思いもなかなできませんぞ。
読者の一人として、ゲド戦記に出会えた事を心からうれしく思っている。
少しでも興味がおありなら、ぜひ、「影との戦い」からゲドの世界へ。
2016年6月2日に日本でレビュー済み
他のレビューとは異なり、あらすじは割愛する。
ここでこの文章を読む方にとって、この書が最初の「ゲド戦記」ではないだろうし、間違いなく本書を手にしているか、これから手にするであろうから。
書き下ろしを含めた5つの短・中篇からなる外伝。巻末にアースシーの歴史などを紹介する「アースシー解説」が付けられている。
準想像世界としてのアースシーは、トールキンの中つ国に比べると奥行きが小さく、時間軸も含めて立体感に欠けるように思っていたが、本書に含まれるエピソードと巻末の解説によって、かなり肉薄してきたように思う。
冒頭の「カワウソ」では、これまで謎めいていた「ロークの学院」の過去が明らかにされるのだが、単に成り立ちが語られるに止まらず、設立時の精神が生き続けていることを実感できる。
読者は「影との戦い」においてハイタカがロークの門を叩く場面を思い出さずには居られないだろう。
続く「ダークローズとダイヤモンド」は、シリーズ中一度も登場しなかったハブナー西部のグレイドという町で展開する魔法使いのラブ・ロマンス。
登場人物に関しても既巻との関連性はないのだが、この掌編が外伝として成り立つのもアースシーが準想像世界として確立していることの証左だろう。
巻末解説にもあるように「禁欲と魔法」は元が男性上位を確保するための方便から始まったものであり、現実的な意味など無いのだろうが、この短編に登場するダイアモンドは幼馴染の恋人を思うあまり修行が身に入らない様子を見せる。
「禁欲と魔法」の関連性を否定したル=グウィンも「恋は盲目」という点は認めているようだ。
「地の骨」は、ゲドの師匠であるオジオンと、その師匠ダルスを扱う。
ル・アルビの老魔法使いに師事を求めた若き日のオジオンが、西に面したアルコーブに体を休ませる様子は、後の日のゲド少年を彷彿とさせてファンには嬉しい場面。
惜しまれながらもロークを離れ、ゴントに暮らすことこそ自分の使命としていたダルスは、ついにその使命の姿を知る時が来る。
「あれに言い忘れたな、わしはもう、もどることはないと。」
別れの言葉こそ伝えられなかったが、その精神はオジオンに、更にはゲドへと間違いなく受け継がれた。
最も外伝らしく本編の後日譚として描かれる「湿原で」は、だが、中々読者にそのことを気づかせない心憎い構成となっている。
主人公としてではないもののゲドも登場するのだが、どうも大賢人の仕事というのは尻拭いが多いようでご苦労なことである。
巻末を飾る「トンボ」は、既に一度他の出版社からアンソロジー形態で訳出されているが、読み慣れた清水訳はまた格別。
この中編だけは本編の途中、第5巻「アースシーの風」の前に読んだほうが全体が把握しやすいだろう。
「ゴントの女」というキーワードが見えることから、この中篇を著した時点で、既に「アースシーの風」の構想があったようだ。
主人公アイリアンの、傾きかけた旧家の切り盛りに躍起になったり、様式の長アズバーの森の住まいを修繕したりする生真面目で実際的な様子は、彼女の真の姿が明らかになった後で思い起こすと妙なようだが、人間ももう一つの種族も、女性という点においてその本質は変わらないということなのだろう。
各作品を通じて、第4巻以降に展開されているフェミニズムの色合いがあるが、後進の作家に比べるとかなり丸みがある。
攻撃することや貶めることで主張しようとするのではなく、あくまで均衡を訴えるル=グウィンの姿勢は物語とあいまって哲学めいてすらいる。
70歳を超えてからの著作であるが、些かの衰えも見せない筆致は、逆に食い扶持とは無縁となって研ぎ澄まされた感さえあるようだ。
ここでこの文章を読む方にとって、この書が最初の「ゲド戦記」ではないだろうし、間違いなく本書を手にしているか、これから手にするであろうから。
書き下ろしを含めた5つの短・中篇からなる外伝。巻末にアースシーの歴史などを紹介する「アースシー解説」が付けられている。
準想像世界としてのアースシーは、トールキンの中つ国に比べると奥行きが小さく、時間軸も含めて立体感に欠けるように思っていたが、本書に含まれるエピソードと巻末の解説によって、かなり肉薄してきたように思う。
冒頭の「カワウソ」では、これまで謎めいていた「ロークの学院」の過去が明らかにされるのだが、単に成り立ちが語られるに止まらず、設立時の精神が生き続けていることを実感できる。
読者は「影との戦い」においてハイタカがロークの門を叩く場面を思い出さずには居られないだろう。
続く「ダークローズとダイヤモンド」は、シリーズ中一度も登場しなかったハブナー西部のグレイドという町で展開する魔法使いのラブ・ロマンス。
登場人物に関しても既巻との関連性はないのだが、この掌編が外伝として成り立つのもアースシーが準想像世界として確立していることの証左だろう。
巻末解説にもあるように「禁欲と魔法」は元が男性上位を確保するための方便から始まったものであり、現実的な意味など無いのだろうが、この短編に登場するダイアモンドは幼馴染の恋人を思うあまり修行が身に入らない様子を見せる。
「禁欲と魔法」の関連性を否定したル=グウィンも「恋は盲目」という点は認めているようだ。
「地の骨」は、ゲドの師匠であるオジオンと、その師匠ダルスを扱う。
ル・アルビの老魔法使いに師事を求めた若き日のオジオンが、西に面したアルコーブに体を休ませる様子は、後の日のゲド少年を彷彿とさせてファンには嬉しい場面。
惜しまれながらもロークを離れ、ゴントに暮らすことこそ自分の使命としていたダルスは、ついにその使命の姿を知る時が来る。
「あれに言い忘れたな、わしはもう、もどることはないと。」
別れの言葉こそ伝えられなかったが、その精神はオジオンに、更にはゲドへと間違いなく受け継がれた。
最も外伝らしく本編の後日譚として描かれる「湿原で」は、だが、中々読者にそのことを気づかせない心憎い構成となっている。
主人公としてではないもののゲドも登場するのだが、どうも大賢人の仕事というのは尻拭いが多いようでご苦労なことである。
巻末を飾る「トンボ」は、既に一度他の出版社からアンソロジー形態で訳出されているが、読み慣れた清水訳はまた格別。
この中編だけは本編の途中、第5巻「アースシーの風」の前に読んだほうが全体が把握しやすいだろう。
「ゴントの女」というキーワードが見えることから、この中篇を著した時点で、既に「アースシーの風」の構想があったようだ。
主人公アイリアンの、傾きかけた旧家の切り盛りに躍起になったり、様式の長アズバーの森の住まいを修繕したりする生真面目で実際的な様子は、彼女の真の姿が明らかになった後で思い起こすと妙なようだが、人間ももう一つの種族も、女性という点においてその本質は変わらないということなのだろう。
各作品を通じて、第4巻以降に展開されているフェミニズムの色合いがあるが、後進の作家に比べるとかなり丸みがある。
攻撃することや貶めることで主張しようとするのではなく、あくまで均衡を訴えるル=グウィンの姿勢は物語とあいまって哲学めいてすらいる。
70歳を超えてからの著作であるが、些かの衰えも見せない筆致は、逆に食い扶持とは無縁となって研ぎ澄まされた感さえあるようだ。
2007年8月9日に日本でレビュー済み
短編5本と著者による詳細な解説で構成されている本書は、日本語版では最終巻だが、原書では第5巻の前に出版されている。私は原書のとおりに5巻を読む前に読んだ方がよいと思う。というのは、第6巻でキーになるアイリアンについて書かれたものが含まれていてストーリー的にもちょうど4巻と5巻の間に位置しているからだ。これを読めばゲド戦記シリーズの背後にあるアースシーの壮大な歴史を知り、その緻密な構成に驚かされるだろう。
このユニークなキャラクターたちが作る新しい物語にもう出会うことがないのかと思うと寂しい気もするが、これから何度もはじめから読み直すであろう。そうすることに値する本物の物語である。
このユニークなキャラクターたちが作る新しい物語にもう出会うことがないのかと思うと寂しい気もするが、これから何度もはじめから読み直すであろう。そうすることに値する本物の物語である。
2007年4月1日に日本でレビュー済み
ゲド戦記に興味を持たれた方に「まずどれから読んだらいいか」
ともし聞かれたら、私は迷わず、この外伝をおすすめする。
本編を知らずに読んでも面白い外伝、と言うのは、本書以外にちょっと思いつかない。
短編集なので、分量がさほど多く感じられない、というのもおすすめの理由。
映画化のおかげで書店に並ぶ機会が増え、待望の廉価版も出て、
手に入れやすくなったのが何よりうれしい。
この外伝を読み終えて満足された方なら、
本編を読んだことのある方も、そうでない方も、
『影との戦い』を手にしたい、と思ってくださるはず。
ともし聞かれたら、私は迷わず、この外伝をおすすめする。
本編を知らずに読んでも面白い外伝、と言うのは、本書以外にちょっと思いつかない。
短編集なので、分量がさほど多く感じられない、というのもおすすめの理由。
映画化のおかげで書店に並ぶ機会が増え、待望の廉価版も出て、
手に入れやすくなったのが何よりうれしい。
この外伝を読み終えて満足された方なら、
本編を読んだことのある方も、そうでない方も、
『影との戦い』を手にしたい、と思ってくださるはず。