最初は私利私欲から始まって、次第に本質的価値や真の役割に気付き、大きなムーブメントを巻き起こすヒュー・ジャクマン主演映画の定番ストーリーだが、マイノリティ達に生き甲斐や社会的な居場所を創造するシナリオに素直にヤられた。
ジェニー・リンドの歌唱力の完成度は確かに素晴らしいが、虐げられたマイノリティ達による魂の讃歌の方が粗削りながら、生命力の大波となって私達の腹に響いてくる。
太古の時代から人類が育んできた歌唱や躍りの持つチカラを侮ってはいけない。様々なメッセージを籠めた歌詞は、観る者を眼と耳と心で震撼させる。ミュージカル映画はそれ自体が本物であり、ストレートな表現を前にした時、観客も嘘はつけない。
特にフィリップ・カーライル役を好演したザック・エフロンが印象的で、彼が選択した人生こそが現代の私達に訴える最も大事なメッセージだと思う。成功のために突き進む主人公とは違い、彼は何かを守り何かを壊す道に生き甲斐を見出し、一度得た地位を棄ててまで奮闘する。その真摯な表情や演技に惚れ込んでしまった。加えてメディアの社会的価値を改めて知らしめる新聞記者が大事なスパイスだった。
間違いなく科学文明は進歩して便利で快適な世の中にはなったが、人間も負けずに叡知なる存在に近付けているのだろうか? 今を謙虚に振り替える事にも役立つ作品だろう。
様々な差別や嫉みが渦巻く現代社会に魂で抗う「歌唱と演舞」のチカラを信じたくなる、久々の傑作に出逢えました。

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