静寂の中で、漆黒と静謐な空気を纏う、薄幸の美少女でございます。
其処には、素晴らしく作り込まれた、一般的に多く想像するであろう良い意味で典型的な、Gothic Lolitaの世界がございます。
聖良は、物凄く、此方の写真で損をしておりますね。
はっきり申しあげて、写真では、全く可愛くないと思います。
何だか、勘違いで品の無い感が…。
私が聖良をお迎えいたしましたのは、昨年の8月となります。
其の前に、同年春には同じく金と銀のオッドアイのGothic Lolita・ノアール2012をお迎えしており、繰り返しますが正直なところ、私は、聖良は可愛くないと思ってございました。
しかしながら、やはり気になって実際にお迎えしてみましたら、全くイメージが変わりました。
勿論、良い方へ。
ドレス、メイク、ヘアスタイル、小物、そして世界観…。全てに於いて、如何にもドールらしい、作家さん方のこだわりが目一杯詰まった、Gothic Lolita Dollの代表たる風格がございます。
他の方々も仰る通りに、かなり多くの難点はございますが、私には、其れをも上回る魅力が此方の聖良には感じられます。
是非とも、Gothic Lolitaのお好きな方には、お迎えして戴きたいと存じます。
お肌は、クラシカル アリス達位の白さで、しかしながら、ややグレイッシュな感がいたします。
金髪に黒の衣装であるヴァネッサもそう感じましたので、もしかしたら、其れ等のお色の干渉を受けているのかも知れません。
ウィッグは、金、極薄い金、ペールピンクのミックスとなります。
特に前髪左側やエクステンションでは、ピンクのメッシュがはっきりと解ります。
細かな縦ロールは、しっかりと巻かれておりますので、崩れる心配は少ないです。
両サイドの縦ロールは、後ろよりも巻きが大きめかつ、短めとなってございます。
しかしながら、縦ロールの先は、かなりの数がくしゃくしゃに縒れてしまっております。
更には、サイドのカット部分は分量が其々異なります。
同じくサイドにカットがあるルナティック・クイーンや、ブラッディ レッドフード等では問題ございませんでしたが…。
付属のエクステンションは、ドール着用のウィッグよりも短めかつ緩く、大きめなロールとなります。
商品説明には、『wig付リボンコーム』と記載されておりますが、実際は、エクステとコーム付きリボンは、別パーツとなります。
整髪料なのでしょうか、私には非常に臭いです。
否、実は、ドール自身のウィッグも、かなり臭いのですが…。
私が此方の聖良をお迎えいたしましたのは、昨年の夏となりますが。未だに非常に臭いです。
他の方々も仰る通りに、私の聖良も、前髪と後髪の境目に、地肌(ネット)が見えてしまっております…。
此の様に、御髪全般に関しましては、特に問題が見られます。
其れ等もあって、私はエクステは付けずデフォルトのままのウィッグに、リボンではなく、ヘッドドレスを被らせるスタイルが好きです。
アイは、極淡いお色のクリアアイでございます。
右目は、ペールブルーグレイ、左目は、サンドベージュ、其れ故銀と金のオッドアイとなります。
ノアール2012とは異なり、瞳の裏には何か貼ってはいない為、透視感も高いです。
ハイライトも描かれていないので、ペイントアイの嫌いな私といたしましては、嬉しい限りでございます。オッドアイも映えますよ!
メイクは、全体にマットでございます。
作家さんの特徴がとてもよく表れているのでしょう、とても繊細で独特の雰囲気ですが、其れが個性的でもあり、しかし個性が強過ぎる、と、やや好みの分かれるところかも知れません。
瞼は、細かな金のパールのある、濃いグレイとなります。更に、焦茶でアイラインも引いてあります。
此方の作家さん(お恥ずかしながら、私は未だにドールの資料本等は殆ど読んだ事もございませんので、有名な作家さん方すら、失礼ながら詳しくは存じあげてはおりません)の得意な所、特徴なのでございましょうね。
私は好きでございますが、ガレーネも、イスルのヘズナルも、多少ニュアンスは異なりますが、瞼は概ね同系色でございます。
此方の作家さんのドールで私のお迎えした中では、ネコネコ・マオマオのみが、薄いお色の瞼でございます。
眉も、また作家さんの特徴的な、尖った刃の様な、長い三角型の形状でございます。
淡い薄茶で、極めて細やかに、1本1本丁寧に描かれております。
二等辺三角形的で、下がり眉が表現されてございますので、写真では全くイメージ出来ませんでしたが、とてもせつない、儚く薄幸な雰囲気の要となっております。
アイラインは、マットな黒でほぼ眼の周り全てにくるりと丸く描かれておりますが、上瞼を特に強調し、眼のきわからきっちりと入れられております。
更に、下瞼には赤紫、其の上から白も引いてあります。
目尻を表現する様に、まつ毛が描かれております。
まつ毛は、目尻から極細い金茶でたっぷりと、更に、下まつ毛は眼の中央辺りより、白と赤茶によって、細やかに描かれております。
下瞼のきわ(下瞼の結膜部分)は、マットなピンクで表現されております。
二重は、黒で、目頭から眼の中央辺りには、更に白が入れてあります。
目頭に、アイホールを表現する様な細かな線(此方も、作家さんの特徴だと思います)が入れてあります。
アイシャドウは、目尻から全体にたっぷりと、金茶、スモーキーグレイから目頭付近と眉には、微かに赤みを帯びたグレイのグラデーションでございます。
チークは、サーモンピンクで、同じお色が、顎にも入れてあります。
リップは、マットです。
此処が、メイクに於いて1番個性的であり、好みの分かれるところかも知れません。
全体にかなりオーバーリップ気味で、極淡いピンクベージュが上唇に。
下唇は、やはり淡いグレイッシュなモーヴとなります。
上唇中央部より、恐らくウォームグレイの細やかな皺が、放射状で表現されております。
下唇は、中央部のみいグレイで極めて細かく皺を、更に中心には、縦に1本、すっとラインが引いてあります。
唇の閉じ合わせ部分は、口角から上唇の皺辺りまで、焦茶が入れてあります。
指先には、マットな黒のネイルが施されております。
眉、アイメイク、リップの雰囲気は、Amazonさんの写真を拝見します限り、(未だお迎えは叶っておりませんが)ローラのメイクがとても似ていると思います。
衣装は、細やかでパーツの多い為、概要を申しあげますと、構成パーツと付属品は、
コーム付きヘッドドレス
コーム付きリボン
ファーの付いたケープ
ワンピース
レースの付け襟
チュールのオーバースカート
パニエ
ドロワーズ
オーバーニーソックス
巻きリボンの靴
十字架のネックレス
空っぽの鳥籠(アンティークなブロンズ、恐らくプラスティック製)
リボンのついた鍵(リボンは黒、鍵は銀)
アンティークな本
たっぷりの縦ロールのコーム付きエクステンション
ヘンナコ
となります。
概ね写真の通りのイメージでございますが、全て黒で統一された衣装の其れは、実物はもっと繊細、リボンやレースもたっぷりと使われており、とっても素敵です。
ワンピースは、身頃は毛足の短いヴェルヴェット、若しくはベロアで、優雅なお袖は、透け感も素敵なシフォンとなっております。
デザインは、写真では解り難いのでございますが、スカート部分は、幾重にも重なった様々な種類のレース、チュール、フリル等によって、実はアシメトリーとなっております。
ほつれや破れ処理等、退廃美が表現されており、とても素敵です。
後ろで、マジックテープで留めます。
しかしながら、私の聖良は、最初から優雅なシフォンのお袖が…。
まぁ、生地のほつれやすい特性もあるのでございましょうが、縁のレースが、外れてしまっておりました…。
此方のメーカーさんではそういった事は残念ながら、ざらにございますので。
縫えば良いと申せど、しかし悲しいですね…。薄い生地ですから仕方のないことなのかも知れませんが。
付け襟は、レースの中央部にリボンのある、チョーカーの様なスタンドカラー状でございます。
後ろでマジックテープで留めます。
チュールによるオーバースカートは、前は開いたデザインですが、エプロンの様な感じで、後ろでリボンを結びます。
裾にはレース、リボンで寄せたアクセントもあり、柔らかな2枚重ねのチュールの空気感も素敵です。
後ろにはスリットが入っていますので、ボリュームのあるワンピースですが、着脱は容易です。
ケープは、チュールレースで、更にドレスにも付けてある薔薇のケミカルレースが施されております。
前面には、ファーの付いたヴェルヴェットのリボン、伸縮性のあるフリルリボンの上には、銀の爪の黒のストーンもあしらわれております。
後ろでスナップで留めます。
ケープの襟ぐり、裾、リボンに付けてあります、デザインの要でもございますファーは、天然素材となります。
苦手な方は要注意でございます。
ヘッドドレスにも、たっぷりとレースやリボン等が使用されておりますので、とっても豪華でございます。
先にレースのあしらわれたシフォンリボンで結んで固定せずとも、コーム付きの為、安定いたします。
リボンの方にも同じくコームが付いておりますので(留める為のリボン等は無く、コームのみです)、安定は良いです。
しかしながら、他の衣装のリボンにも同じことが申せますが、梱包状態のクセが付いてしまっており、かなりヨレヨレでございますね。
パニエは、2枚のチュールです。裾にレースがあしらわれており、デザイン的にもドレスから覗く丈で、素敵です。
パニエ、ドロワーズ、オーバーニーソックス等の見えない部分にも、縁にはレース、リボン等が丁寧にあしらわれております。
ネックレスは、チェーンも銀の、インターレース風の装飾が施された十字架でございます。
しかしながら、何と留め具は無く、外すには、十字架とチェーンを繋ぐ丸カンを外すしかなさそうでございます。
本は、幻想的でアンティークな風合いの装丁でございます。
天・小口・地のページ部分は、金となります。
裏表紙には、『Daizy D x Honey Drops』と、作家さんのお名前も入っております。
残念ながら、開くことは出来ません。
作家さんのオリジナルキャラクターと思しき、淡いグレイとサーモンピンクで彩色された、二足歩行の兎の様な、奇妙で可愛い『ヘンナコ』には、淡いグレイのシフォンリボンが巻かれております。
本体素材は、よく解りませんが、硬く軽いものです。
靴は、厚底のデザインもとても可愛らしいですし、靴と同素材と思しき凝ったリボンにて編み上げる構造となっているのですけれども。
他の方々の仰る通りに、靴のリボン状のストラップは、中々に厄介な…。複雑な、かなり面倒な構造をしております。
そして、靴と同じくラバー系素材であることから、劣化してしまう可能性がございます。
私のダル:マレッティの靴が、かなり硬質化してきている、と、既に其の様な状態となっておりますので、ずり落ちる可能性はあっても、ペール・ノエルのトウシューズの様な、サテンリボン等で編み上げるタイプだった方がよろしかったと思われます。
気になる方は、朽ちる前にお好みのサテンリボン等に変えてしまうのも、素敵だと思います。
やはり漆黒のドレスと言うことで、残念ながら、色移りが非常に激しいです。
特に、可動部である脚関節あたりに、よく見られますね。
ドールスタンドは、Darkなボルドーとなります。珍しいお色ですし、何より、雰囲気がよく合っていると思います。
デフォルトの聖良は、モーツァルトの『REQUIEM』、とりわけ『KYRIE』、『Lacrimosa』、グノー、シューベルトの『Ave Maria』等が、イメージでございますね。
皆様にも、是非手のかかる薄幸の乙女をお迎えして戴き、彼女の祈りを、聞きとどけて戴きたい…何て思ってございます。