コンピュータを使うものの、理系の人間ではないこともあって、本書のなかで描かれている専門的な部分に関することは理解できていない部分も多いだろう。しかし、「情報理論の父」と呼ばれるクロード・シャノンという人間には、強く魅せられた。
本書は、クロード・シャノンの生涯と情報理論に与えた影響を丁寧に辿るとともに、情報理論の歴史などについても描かれている。
幼少期のこと、MITでのヴァネヴァー・ブッシュとの出会い、戦時下における暗号技術との関わり、著名な1937年の修士論文「継電気と開閉回路の記号的解析」や1948年の論文『通信の数学理論』に加え、アラン・チューリング、ジョン・フォン・ノイマン、シャノンとともにベル研究所の“三賢人”と呼ばれたジョン・ピアース、バーニー・オリバーといった面々が登場する。問題解決で満足を得られれば十分で、それを論文にまとめる作業を「苦痛」に感じていたこと、ベティ・ムーアとの結婚を含む私的生活、その浮世離れした性格などに関するエピソードも楽しい。クロード・シャノンが情報量の単位としてビットを初めて使用したことは、本書で初めて知った。なお、京都賞を受賞しており、そのことに一章が割かれている。
平凡な家庭に育ちながら、高度な数学的知識を身に付け、工学的なものに対する興味を失うことなく、機械いじりに終生こだわり、ジャグリングなどの遊びにも興味を抱き続けた、いい意味で“稚気”を失わなかった人生は素晴らしい。
クロード・シャノン 情報時代を発明した男 (単行本) (日本語) 単行本 – 2019/6/28
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本の長さ430ページ
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言語日本語
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出版社筑摩書房
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発売日2019/6/28
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ISBN-104480837205
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ISBN-13978-4480837202
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
パソコン、携帯電話、インターネット、電子メール、DVDにストリーミング。すべて、シャノンなしには実現しなかった―。今日のデジタル世界の基礎を築き、フォン・ノイマンやチューリングも感服した孤高の天才数学者、初の本格評伝。影響力の大きさは、アインシュタイン以上。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ソニ,ジミー
編集者、ジャーナリスト、ライター。ハフィントン・ポスト元編集長。スピーチライターやニュース番組のコメンテイターとしても活躍している
グッドマン,ロブ
元スピーチライター
小坂/恵理
翻訳家。慶應義塾大学文学部英米文学科卒業。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
編集者、ジャーナリスト、ライター。ハフィントン・ポスト元編集長。スピーチライターやニュース番組のコメンテイターとしても活躍している
グッドマン,ロブ
元スピーチライター
小坂/恵理
翻訳家。慶應義塾大学文学部英米文学科卒業。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2019/6/28)
- 発売日 : 2019/6/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 430ページ
- ISBN-10 : 4480837205
- ISBN-13 : 978-4480837202
- Amazon 売れ筋ランキング: - 314,720位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2019年7月3日に日本でレビュー済み
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2019年8月11日に日本でレビュー済み
これまで情報理論や通信と無縁であった二人の著者による本書の、言葉の責任は誰が持つのか、という疑問と、そもそも「情報時代を発明する」とは、どういう意味かという疑問を持った。
読んでみると、二人とも通信や情報については、聞きかじったことを、大雑把に説明してくれている印象。
本書が引用するシャノンの言葉は、1977年にドイツ人学生ハーゲマイヤーのインタビューと、アルツハイマーがかなり進行した1990年にアメリカ数学教会のアルバースが行ったインタビューをもとにしている。
しかし、アルバースが出版したインタビュー集のなかには、シャノンのインタビューは含まれていない。一体アルバースのインタビューは実在するのか、実在するとして信用してよいのかという疑問もわく。
(アルバースインタビューの典拠と、ジョン・ピアスの発言の典拠を、筑摩書房の編集部にまず投げかけたが、回答は得られなかった。言葉を扱う出版社としては、誠実度に欠ける対応であり、残念であった。
アルバースインタビューの典拠について、ソニにツィッターで直接質問したが、回答は得られなかった。無責任な著者である。)
他にもいろいろな疑問があるが、そもそも著者たちが、第2部最後(P302)に、「孤独な天才シャノンは、非常にとらえどころがなかった。(略)見当がつかない。クロード・シャノンとはどのようなことか。」と本音をもらしているあたり、大きな疑問。
なんのために二人は、この本を書いたのか、わからなくなる。
最初の妻のノーマの自伝と、その後に愛人となったマリアのセラピー日記を、参考文献にあげているのに、きちんと読んでいるのかと疑問に思うインタビュー結果が、本文に登場する。
私がシャノンの伝記を読んだ最大の目的は、「情報理論のエントロピー概念は熱力学的概念ではないというシャノンの主張は信用に足るものか」を判断するためである。
私は筑摩書房編集部にお願いして、米国出版元に、アルバースのインタビューの出典と、ジョン・ピアスの「べきとは、どういう意味かね」の出典を、問い合わせてもらった。しかしながら、米国出版社から回答はもらえなかった。
アルバースによるインタビューが実在するのかについての、疑念は払拭されず、ピアスの言葉は、まったく別の文脈で発せられた言葉を、ロンダリングして使っているとしか考えられない。(ピアスのオーラルヒストリーは、IEEEのホームページ参照)
情報理論において、「エントロピー」が熱力学的概念でないというシャノンは、その根拠をしめしていない。
シャノンは間違っているのではないか。やはり、エントロピーは熱力学的概念ではないか。
情報理論におけるエントロピー概念を、正反対にして、理論を再構築する必要性を確認した本である。
読んでみると、二人とも通信や情報については、聞きかじったことを、大雑把に説明してくれている印象。
本書が引用するシャノンの言葉は、1977年にドイツ人学生ハーゲマイヤーのインタビューと、アルツハイマーがかなり進行した1990年にアメリカ数学教会のアルバースが行ったインタビューをもとにしている。
しかし、アルバースが出版したインタビュー集のなかには、シャノンのインタビューは含まれていない。一体アルバースのインタビューは実在するのか、実在するとして信用してよいのかという疑問もわく。
(アルバースインタビューの典拠と、ジョン・ピアスの発言の典拠を、筑摩書房の編集部にまず投げかけたが、回答は得られなかった。言葉を扱う出版社としては、誠実度に欠ける対応であり、残念であった。
アルバースインタビューの典拠について、ソニにツィッターで直接質問したが、回答は得られなかった。無責任な著者である。)
他にもいろいろな疑問があるが、そもそも著者たちが、第2部最後(P302)に、「孤独な天才シャノンは、非常にとらえどころがなかった。(略)見当がつかない。クロード・シャノンとはどのようなことか。」と本音をもらしているあたり、大きな疑問。
なんのために二人は、この本を書いたのか、わからなくなる。
最初の妻のノーマの自伝と、その後に愛人となったマリアのセラピー日記を、参考文献にあげているのに、きちんと読んでいるのかと疑問に思うインタビュー結果が、本文に登場する。
私がシャノンの伝記を読んだ最大の目的は、「情報理論のエントロピー概念は熱力学的概念ではないというシャノンの主張は信用に足るものか」を判断するためである。
私は筑摩書房編集部にお願いして、米国出版元に、アルバースのインタビューの出典と、ジョン・ピアスの「べきとは、どういう意味かね」の出典を、問い合わせてもらった。しかしながら、米国出版社から回答はもらえなかった。
アルバースによるインタビューが実在するのかについての、疑念は払拭されず、ピアスの言葉は、まったく別の文脈で発せられた言葉を、ロンダリングして使っているとしか考えられない。(ピアスのオーラルヒストリーは、IEEEのホームページ参照)
情報理論において、「エントロピー」が熱力学的概念でないというシャノンは、その根拠をしめしていない。
シャノンは間違っているのではないか。やはり、エントロピーは熱力学的概念ではないか。
情報理論におけるエントロピー概念を、正反対にして、理論を再構築する必要性を確認した本である。
VINEメンバー
シャノンの生い立ちとともに、その業績も出来るだけ読者に伝えようとしています。
好奇心が強く、色々な事柄に興味を示し、実際に考えるだけで無くやってみた人生が描かれており、
特にカジノで勝つ為にウェアラブルコンピュータを開発したくだりは、へ~と言った感じです。
業績を伝えている部分は、ほんの少しの数式もあり、若干の思考を要しますが、
ついて行けない場合でもその雰囲気を感じ取るだけでも十分。
今当たり前に使われているディジタル通信の理論的基礎を築く一方、その名が世間に知られていない天才。
そんなキャラクターに関心のある方におすすめです。
#尚、私の勘違いかも知れませんが、この業績を伝える解説(220ページ)。
#少し間違いでは無いかという点もあり・・・・。以下はその点を記載。
A:00
B:01
C:10
D:11
とコード化された場合、Cを表す2つのビットのうち一つが改ざんされるとCが消え、代わりにBかDが現れると書かれているのですが、
C:10→11でDは分かるのですが、もう一つの
C:10→00でBではなく、Aでは無いかと思うのですが、どうなのでしょうか?
好奇心が強く、色々な事柄に興味を示し、実際に考えるだけで無くやってみた人生が描かれており、
特にカジノで勝つ為にウェアラブルコンピュータを開発したくだりは、へ~と言った感じです。
業績を伝えている部分は、ほんの少しの数式もあり、若干の思考を要しますが、
ついて行けない場合でもその雰囲気を感じ取るだけでも十分。
今当たり前に使われているディジタル通信の理論的基礎を築く一方、その名が世間に知られていない天才。
そんなキャラクターに関心のある方におすすめです。
#尚、私の勘違いかも知れませんが、この業績を伝える解説(220ページ)。
#少し間違いでは無いかという点もあり・・・・。以下はその点を記載。
A:00
B:01
C:10
D:11
とコード化された場合、Cを表す2つのビットのうち一つが改ざんされるとCが消え、代わりにBかDが現れると書かれているのですが、
C:10→11でDは分かるのですが、もう一つの
C:10→00でBではなく、Aでは無いかと思うのですが、どうなのでしょうか?
2019年10月8日に日本でレビュー済み
情報工学や電子工学関連の教師・学生でもなければ、シャノンの名前に馴染みのある人は、そう多くないでしょう。また、コンピュータが ここまで当たり前になった21世紀においては、シャノンが開拓した情報理論や通信理論の重要性は、かえって感じにくいかもしれません。
本書においても、シャノンの偉大な業績を いろいろなエピソードで描き出そうとしていますが、その本質を浮き彫りにできたとは言い難く、今ひとつ納得感に欠ける気がします。
むしろ、p.251以降、機械いじりやジャグリングでも天才だったことや、チェスやギャンブル、株式投資にも取り組んだこと、この手の人物には珍しく謙虚だったことなど、シャノンの人間的な側面が印象に残りました。
本書においても、シャノンの偉大な業績を いろいろなエピソードで描き出そうとしていますが、その本質を浮き彫りにできたとは言い難く、今ひとつ納得感に欠ける気がします。
むしろ、p.251以降、機械いじりやジャグリングでも天才だったことや、チェスやギャンブル、株式投資にも取り組んだこと、この手の人物には珍しく謙虚だったことなど、シャノンの人間的な側面が印象に残りました。
2019年12月9日に日本でレビュー済み
シャノンは、情報科学の生みの親で天才だと言うことは知っていましたが、残念ながらその生涯について詳しく書かれた本はなかなか手に入りませんでした。これは、今までの伝記の中では最も詳しくシャノンの生涯が描かれています。その点では、素晴らしいと思います。ただ、シャノンとあまり関係が薄い話も載せてあって、少しイライラしました。そのため星一つ減点です。でも、謎の多いベル研の超天才シャノンのことを知りたければお勧めします。