クララ・シューマンとヨハネス・ブラームスの往復書簡が公にされたのは1927年のこと。
20歳のブラームスが作曲家となる希望を抱いてデュッセルドルフのシューマン家を訪れた1853年から
クララの死の直前の1896年までに交わされた800通余りをリッツマンが編んだ書簡集から、
207通を精選したのが本書である。

R. シューマンの悲劇的な病と死ののち、クララは7人の遺児を育てながら休みなく演奏旅行を続け、
ブラームスは地理的にはクララから隔たりながらも彼女をつねに支え、
また支えられて、己の天才を開花させていった。
高名な音楽家の未亡人であるスター・ピアニストと14歳年下の作曲家――
彼らの友情のために用意された道はけっして平坦なものではなかったが、
音楽という共通の人生の糧を分け合う心の往還は44年にわたって途絶えることはなかった。
訳者は昭和16年に『真実なる女性クララ・シュウマン』を上梓した原田光子。
70年以上読み継がれてきたこの評伝に続いて、本書の翻訳原稿を完成させてまもなく、若くして世を去った。
一度は本になったものの、ながらく手に入らなくなっていた、待望の復刊。

本の長さ

306ページ
言語

日本語
出版社

みすず書房
発売日

2013/1/25
ISBN-10

4622077272
ISBN-13

978-4622077275
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商品の説明

内容（「BOOK」データベースより）

クララ・シューマンとヨハネス・ブラームスの往復書簡が公にされたのは1927年のこと、20歳のブラームスが作曲家となる希望を抱いてデュッセルドルフのシューマン家を訪れた1853年からクララの死の直前の1896年までに交わされた800通余りをリッツマンが編んだ書簡集から、207通を精選したのが本書である。訳者は昭和16年に『真実なる女性クララ・シュウマン』を上梓した原田光子。本書の翻訳原稿を完成させてまもなく、若くして世を去った。待望の復刊。

著者について

ベルトルト・リッツマン
Berthold Litzmann
1857-1926。キールに生まれる。キール、イエーナ、ついでボン大学においてドイツ文学史教授。1906年にボン文学史協会を設立. 専門の著作のほか、本書に次いでクララ・シューマンの書簡と手紙を編んだ3巻本も編纂。
著書 Das deutsche Drama in den litterarischen Bewegungen der Gegenwart, 1894, Goethes Faust, 1904, Das Tragische in Gerhart Hauptmanns Dramen, 1908, Clara Schumann. Ein Kunstlerleben. Nach Tagebuchern und Briefen, 1920.

原田光子
はらだ・みつこ
1909-1946。東京生まれ。東洋英和女学校2年在学中、14歳の時に2年間ドイツに留学。帰国後は自由学園英文科に学ぶ。ピアノはコハンスキーおよびロランシュに師事した。30歳の時、訳書『愛国の音楽者パデレフスキー自伝』(第一書房、1940)を刊行し、翌年、著書『真実なる女性クララ・シューマン』(第一書房、1941)を上梓。
ほかに著書『大ピアニストは語る』(レコード音楽社、1942)『フランツ・リストの生涯』(第一書房、1944)編訳書『天才ショパンの心』(第一書房、1942)。昭和21年病没。没後にエッセイ『美の愉しさ』(北斗書院、1947)、編訳書『クララ・シューマンヨハネス・ブラームス友情の書簡』(ダヴィッド社、1950)が刊行される。

登録情報

出版社 : みすず書房 (2013/1/25)
発売日 : 2013/1/25
言語 : 日本語
単行本 : 306ページ
ISBN-10 : 4622077272
ISBN-13 : 978-4622077275

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ブラームスファン必携の書

2015年2月11日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

装丁が美しく、思わず買ってしまいました。持っているだけで幸せになる本は、最近なかなか無いなと思います。また、なにより美しいのは、翻訳の日本語です。

書簡の間に、状況説明が程よく入っていて、書き手の気持ちを理解しながら読めます。彼らの生きた時代がとても身近に感じられ、音楽もまた違った聴きかたになりました。

14人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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目を閉じて

書簡は最高の伝記

2014年4月20日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

ブラームスについては，没後100周年にいろいろな素晴らしい本が出ていましたが、この本は実は1950年、ダヴィッド社から原田光子さんの訳で出た本の、復刻です。伝記でよく見聞きするブラームスとシューマン夫妻の関係には諸説ありますが，この書簡で読むと、余人が入り込めない、しかし共感できる、少し涙が出てくるような関係であったことがわかる，書簡集です。それは、「クララとヨハネス」が、偽りなく，真摯に自らの所感を語り，相手のことを少しでも多く理解しようとした，そうした魂の邂逅をかいま見させてくれる、そのためだと思います。訳者の原田さんに，重ねて感謝！

23人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

青燕

心温まる

2014年12月31日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

芸術家同士の人間関係というものに、とても興味があり、
男女の仲とは言い切れない、愛情や才能を認め合うといったような関係について、
どうしても好奇心が抑えきれず、図書館にも無かったので注文して読みました。
最近再販されたとのことで、再販の依頼を出し続けてくださったファンの皆様や、
出版社のみすず書房さんに感謝いたします。

二人はどういったやり取りを交わし、作品に影響を与えていったのかということがわかり、
ブラームスのファンとしては、とても興味深い内容となっております。
私も正直なところ、二人の関係は実はどうなの？と思っていましたが、手紙が晩年にいくにつれ、
ただただ、才能を認めて信頼し合っている様子に、心温まりこそすれ糾弾するような気にはなれませんでした。
もちろん、長い付き合いの間には気持ちのすれ違いなどもありますが、そこがまたリアリティがあります。

若いころのブラームスの手紙は本当に情熱的で、
こんなお手紙をもらったら「息子のように大切に思っている」ブラームスを、
人生を一緒に歩むパートナーとしては難しくても
手元に置いておきたいと思ってしまうのも無理らしからぬことかな…と思います。

クララは才能あふれる家族思いの素敵な女性だとは思いますが、
どこかそんな女性としての思いがチラチラと見え隠れして、
そこがまた人間くさくて魅力的、とも言えるのかなと感じました。
ブラームスの存在が彼女を支えていたことも事実でしょうし、
またブラームスも、クララに見守られてこそ、才能を開花させていったのでしょう。

ＣＤのブラームス全集と合わせて読むとまたより一層深く楽しむことができます。

20人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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二人の偉大な芸術家の長きにわたる暖かな交流

2013年8月31日に日本でレビュー済み

1950年にわずかの部数が出版されたのみで絶版になり、「幻の書」と呼ばれていた「友情の書簡」がみすず書房から復刊されました。ブラームス・ファンにとってはまさに垂涎の書です。

1853年、シューマン夫妻を訪ねた20歳のブラームスはシューマンの推挙で音楽界にデビューを果たします。以来、ブラームスとシューマン夫人のクララは彼女が死去するまでの44年間緊密な交流を続け、800通もの手紙をやり取りしたのでした。本書はその中から207通を訳出したものです。

この44年間は青年ブラームスが、作曲を通して大音楽家へと成長する過程ですから彼の考え方の変化や交友関係が手紙を通して理解できます。当時の音楽界の特徴や流行も読み取れます。ブラームスが自作をどのような状況で、どのような思いで作ったのか、創作の過程も述べられています。彼の作品が聴衆にどのように受け入れられたのかも記されています。また、当時ヨーロッパで最も人気が高かったピアニスト、クララ・シューマンの生活ぶりや演奏旅行や音楽に対する考え方も彼女の手紙から読み取ることができます。つまり、音楽史研究において本書は貴重な一次資料の役割を果たしているのです。

しかし、通読して強く心に残ったのは偉大な音楽家同士が幾多の困難に遭遇しながらお互いが手を差し伸べ合い、相手を尊敬し合い、深い愛情で結ばれていたことです。二人とも演奏旅行で多忙を極めていながらかなりの頻度で手紙を交換しています。クララが病弱な子供たちや自身のキャリアなどで悩んでいるとブラームスから暖かい励ましの言葉が届きました。一方で、ブラームスの対応のまずさや誤解から互いに不信感を抱くこともありました。ブラームスはクララに対して経済的な援助を何度も申し出ています。ブラームスの作品へのクララの批評は遠慮がなくて的確だったのでブラームスは自作に手直しを施しました。二人は愛し合い、支え合っていたのですが、共に亡きR・シューマンを敬愛していたために結婚には至りませんでした。

クララは76歳で亡くなりますが、ブラームスの誕生日を祝う手紙が彼女の絶筆となりました。
「心からのお喜びを、心からあなたの　クララ・シューマン
今はこれより書けません、でも近く　あなたの…　」
その翌年、ブラームスもクララの後を追うように生涯を閉じたのです。

偉大な芸術家の姿をこの書簡集はリアルに伝えています。ブラームスのどの作品もこの書簡集に現れているブラームスの実像の反映であるはずです。私が最も身近に感じることのできる作曲家ブラームスについてこれ以上の文献は考えられないでしょう。愛すべきヨハネス。

本書はクララ・シューマンなどドイツ音楽家の日本への紹介に尽くし、若くして亡くなった原田光子さん（1909〜1946)の遺稿の復刊です。クララ・シューマン自作の押し花をデザインした美しいカバーが素敵です。長く手元に置いて大切に読み返したいと思います。最後に本書を復刊されたみすず書房に感謝します。

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クララ・シューマン ヨハネスブラームス 友情の書簡 (日本語) 単行本 – 2013/1/25

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