おもしろかったです。
決して派手な物語ではありませんが、少年〜青年の主人公の
内面世界を描いていて、胸の奥が熱くなったり考えさせられたり共感するものがありました。
才能や生き方について勉強になりました。
ギフト (西のはての年代記 (1)) (日本語) 単行本 – 2006/6/21
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本の長さ308ページ
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言語日本語
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出版社河出書房新社
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発売日2006/6/21
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ISBN-104309204643
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ISBN-13978-4309204642
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
強すぎる力“ギフト”を持つ者として、目を父に封印された少年オレック。“西のはて”を舞台に、少年の葛藤と成長を描く、著者の新たな代表作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ル=グウィン,アーシュラ・K.
米国の作家。1929年カリフォルニア州バークレーに生まれる。1962年に作家としてデビュー。斬新なSF/ファンタジー作品を次々に発表し、ほどなく米国SF界の女王ともいうべき輝かしい存在になる。SF/ファンタジー以外の小説や、児童書、詩、評論などの分野でも活躍。ネピュラ賞、ヒューゴー賞、ローカス賞、ボストングローブ=ホーンブック賞、全米図書賞、マーガレット・A・エドワーズ賞など数々の賞を受賞
谷垣/暁美
1955年生。1988年から雑誌記事や英米の小説、ノンフィクションの翻訳に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
米国の作家。1929年カリフォルニア州バークレーに生まれる。1962年に作家としてデビュー。斬新なSF/ファンタジー作品を次々に発表し、ほどなく米国SF界の女王ともいうべき輝かしい存在になる。SF/ファンタジー以外の小説や、児童書、詩、評論などの分野でも活躍。ネピュラ賞、ヒューゴー賞、ローカス賞、ボストングローブ=ホーンブック賞、全米図書賞、マーガレット・A・エドワーズ賞など数々の賞を受賞
谷垣/暁美
1955年生。1988年から雑誌記事や英米の小説、ノンフィクションの翻訳に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2006/6/21)
- 発売日 : 2006/6/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 308ページ
- ISBN-10 : 4309204643
- ISBN-13 : 978-4309204642
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 618,984位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 6,097位SF・ホラー・ファンタジー (本)
- - 7,257位童話・こどもの文学
- - 13,424位英米文学
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.4
星5つ中の4.4
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年12月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「ゲド戦記」で名高いル=グウィンによる、
久々のファンタジーシリーズ物です。
舞台は「高地」と呼ばれる地味に恵まれない地域で、
人々は血縁を中心とした一族ごとに生活しています。
「ギフト」というタイトルは、ここに暮らす人々に
受け継がれる特殊能力を指します。
息子に「ギフト」が現れないことを憤る父。
父の期待に応えられない自分に苦しむ息子。
一方で、自分のやりたいことを自由にやれない悩み。
その結果、起こったことは…。
苦悩する場面が多いなかで、ヒロインの芯の通った強さと
明るさが救いでしょうか。
読後感は決して悪くありません。
ファンタジーではありますが、現実の親子関係について
深く考えさせられる作品です。
久々のファンタジーシリーズ物です。
舞台は「高地」と呼ばれる地味に恵まれない地域で、
人々は血縁を中心とした一族ごとに生活しています。
「ギフト」というタイトルは、ここに暮らす人々に
受け継がれる特殊能力を指します。
息子に「ギフト」が現れないことを憤る父。
父の期待に応えられない自分に苦しむ息子。
一方で、自分のやりたいことを自由にやれない悩み。
その結果、起こったことは…。
苦悩する場面が多いなかで、ヒロインの芯の通った強さと
明るさが救いでしょうか。
読後感は決して悪くありません。
ファンタジーではありますが、現実の親子関係について
深く考えさせられる作品です。
2018年1月24日に日本でレビュー済み
2018/1/22、アーシュラ・K・ル=グウィンが亡くなった。とても残念に思うけれど、
88歳という事なので仕方ない。
ル・グウィンのゲド戦記のシリーズはあまりにも有名。ジブリでアニメ化されたゲド戦記を
巡って論争があったので、「本」から離れた所で知名度が上がってしまったかも。
そういう外側の所で、作品が評価されるのは残念で、たしかにアニメ化の承諾をした作者の
考えは確かめようがない。
でも、作者の考えを知りたいのなら、きちんと作品を読むことが大事だと思う。
その騒動の為か、このシリーズが出たのもあまり知られていないよう。
たしか、アニメ化の騒動の後、出版社と翻訳者も替わっている。
この「西の果ての年代記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」のシリーズは年月をかけて書き続けられた、ゲド戦記の
「帰還」と同じくル・グウィンの長年の思索と未来への希望を物語化した物と言える。
「ギフト」は天からの贈り物、【特別な才能】だが、受け取る者にとって幸いであるかは分からない。
天才がもてはやされる現代と違い、時代背景、社会の成り立ちを架空の古代の僻地に置いた事で、
「ギフト」は周りの者にとって恐怖でしかなく、主人公自身も扱いかねる力でしかないとなっている。
この力の描き方は、ゲド戦記でゲドに備わっていた魔法を操る力と同じである。
この途方もない「ギフト」を主人公はどうするのか、周りを力の恐怖で従えて君臨するのか?
しかし、それは孤独を意味する。
ル・グウィンは主人公に力を封印させ、人間として困難に立ち向かう生き方を選ばせている。
与えられた「ギフト」の力で得るのではなく、人としての当たり前の生き方の中に幸せを見出せる。
それも、目に見えないけれど、じつは大事な「ギフト」であると言っている。
Ⅱのヴォイス、Ⅲのパワー、と読み進むとル・グウィンの年代記の核心が見えてくると思う。
声、文字の無い世界の「伝承」。昔からの言い伝えの中に、困難な時を生き延びる知恵があり、
パワー「力」とは人々の思いを言葉にする事、深く考えて話し合う事だと。
特別な「力」に象徴されて書かれているのは、暴力や抑圧に負けない「力」は「知」である。
「知」から発せられる言葉にこそ真の「力」があるのだと、この三部作には書かれている。
貧しい者、無力な者にも、「知」、ここでは本を読む、教育を受ける事こそが「知」の源になると言っている。
この事は、現代社会の大元にある問題、格差を考える上でも当てはまる。
二巻目の「ヴォイス」では学び、本を読む事=聴く事であるとなっていて、
パワーで、発せられる「ヴォイス」=「声の力」に周囲が声に打たれる場面は圧巻だと思う。
そういう意味で、ル・グウィンは「本」の力を信じて物語を書いて来たのだと思う。
ル・グウィンの両親が文化人類学者であった事、彼女も留学してヨーロッパで歴史を学んだこと。
また、地域・学校の図書館の本を読破したという逸話があるほどの読書家だった事。
それらから得た物を縦横に駆使して、こういう物語世界を構築したのだと思う。
架空の世界を描いているけれど、その世界はリアルであり、預言的でもある。
もう、ル・グウィンの新作が読めないのは寂しいが、残されている本が彼女から私達への
素晴らしい「ギフト」なんだなと思える。
ゲド戦記もそうだったが、何度も読みなおすと、物語の奥深さに触れられるだろうと思う
88歳という事なので仕方ない。
ル・グウィンのゲド戦記のシリーズはあまりにも有名。ジブリでアニメ化されたゲド戦記を
巡って論争があったので、「本」から離れた所で知名度が上がってしまったかも。
そういう外側の所で、作品が評価されるのは残念で、たしかにアニメ化の承諾をした作者の
考えは確かめようがない。
でも、作者の考えを知りたいのなら、きちんと作品を読むことが大事だと思う。
その騒動の為か、このシリーズが出たのもあまり知られていないよう。
たしか、アニメ化の騒動の後、出版社と翻訳者も替わっている。
この「西の果ての年代記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」のシリーズは年月をかけて書き続けられた、ゲド戦記の
「帰還」と同じくル・グウィンの長年の思索と未来への希望を物語化した物と言える。
「ギフト」は天からの贈り物、【特別な才能】だが、受け取る者にとって幸いであるかは分からない。
天才がもてはやされる現代と違い、時代背景、社会の成り立ちを架空の古代の僻地に置いた事で、
「ギフト」は周りの者にとって恐怖でしかなく、主人公自身も扱いかねる力でしかないとなっている。
この力の描き方は、ゲド戦記でゲドに備わっていた魔法を操る力と同じである。
この途方もない「ギフト」を主人公はどうするのか、周りを力の恐怖で従えて君臨するのか?
しかし、それは孤独を意味する。
ル・グウィンは主人公に力を封印させ、人間として困難に立ち向かう生き方を選ばせている。
与えられた「ギフト」の力で得るのではなく、人としての当たり前の生き方の中に幸せを見出せる。
それも、目に見えないけれど、じつは大事な「ギフト」であると言っている。
Ⅱのヴォイス、Ⅲのパワー、と読み進むとル・グウィンの年代記の核心が見えてくると思う。
声、文字の無い世界の「伝承」。昔からの言い伝えの中に、困難な時を生き延びる知恵があり、
パワー「力」とは人々の思いを言葉にする事、深く考えて話し合う事だと。
特別な「力」に象徴されて書かれているのは、暴力や抑圧に負けない「力」は「知」である。
「知」から発せられる言葉にこそ真の「力」があるのだと、この三部作には書かれている。
貧しい者、無力な者にも、「知」、ここでは本を読む、教育を受ける事こそが「知」の源になると言っている。
この事は、現代社会の大元にある問題、格差を考える上でも当てはまる。
二巻目の「ヴォイス」では学び、本を読む事=聴く事であるとなっていて、
パワーで、発せられる「ヴォイス」=「声の力」に周囲が声に打たれる場面は圧巻だと思う。
そういう意味で、ル・グウィンは「本」の力を信じて物語を書いて来たのだと思う。
ル・グウィンの両親が文化人類学者であった事、彼女も留学してヨーロッパで歴史を学んだこと。
また、地域・学校の図書館の本を読破したという逸話があるほどの読書家だった事。
それらから得た物を縦横に駆使して、こういう物語世界を構築したのだと思う。
架空の世界を描いているけれど、その世界はリアルであり、預言的でもある。
もう、ル・グウィンの新作が読めないのは寂しいが、残されている本が彼女から私達への
素晴らしい「ギフト」なんだなと思える。
ゲド戦記もそうだったが、何度も読みなおすと、物語の奥深さに触れられるだろうと思う
2016年4月1日に日本でレビュー済み
<西のはて>北方の高地には、<ギフト>と呼ばれる不思議な能力を持った人々が住んでいる。
オレックは<もどし>のギフトを持つカスプロ一族の族長(ブランター)を父に持つ少年だが、13歳になっても一向に力を示す気配がなかった。
<もどし>は作られたものを作られる前に戻す、即ち破壊の力で、領土や家畜を奪い合う高地の人々の生活の中では一族を庇護するために欠かせないもの。
強いプレッシャーがかかる中で必至の努力を続けるオレックは、ある日のこと父カノックと供の農夫アレックとともに領地の巡視のために赴いた牧草地で、父を襲おうとする蝮を「もどす」ことに成功する。
本来は祝うべき能力の発現だったが、オレックには「もどし」た自覚がなく、ようやく現れた<ギフト>が制御不能な<荒ぶるギフト>であることが判明する。
オレックは自分の<ギフト>を恐れ、父に頼んで目隠しをしたまま暮らすことになるのだが・・・
高地の氏族は、それぞれ異なった<ギフト>を持っていて、例えばオレックの幼馴染の少女グライが属するバーレ一族には動物達と心を通わせる<呼びかけ>が伝わっており、カスプロやバーレと敵対関係にあるドラム一族の<すり減らし>は、時間をかけて動植物を死へと向かわせる。
これらの<ギフト>は、より文化的な都市生活を送っている低地の人々の間では魔法として認識されており、著者の代表作「ゲド戦記」の中でも魔法が「姿かえ」や「手わざ」などに分類されていたことに思い当たった。
魔法の行使に様々な制約を与えて万能の力として描かないことはファンタジーの定石だと思うが、「ゲド戦記」シリーズの後半と同様に、あえて主人公から魔法の力を取り去ることによって逆に魔法の存在が際立つようだ。
力が強すぎて使えないという<荒ぶるギフト>は、まるで核抑止力ののようで、グライの語る「本来はどの<ギフト>も癒しのためにあった」という仮説も核エネルギーに代表される「力」の利用形態の両面性を示唆しているのだろう。
とは言え、一族の暮らしを守るという義務を果たすために<もどし>を行うカノックが否定的に描かれているわけではなく、個々人のレベルにおける生き方に選択肢があることを啓蒙的に示す止まっており、高齢の著者による悟りの境地のようなものが滲んでいるように感じた。
結末は意外なものだが、天性の<ギフト>を持たない低地出身の母親から受け継いだ能力を<ギフトのギフト>として携え旅立つオレックの成長した姿が爽やかな印象を残す。
オレックは<もどし>のギフトを持つカスプロ一族の族長(ブランター)を父に持つ少年だが、13歳になっても一向に力を示す気配がなかった。
<もどし>は作られたものを作られる前に戻す、即ち破壊の力で、領土や家畜を奪い合う高地の人々の生活の中では一族を庇護するために欠かせないもの。
強いプレッシャーがかかる中で必至の努力を続けるオレックは、ある日のこと父カノックと供の農夫アレックとともに領地の巡視のために赴いた牧草地で、父を襲おうとする蝮を「もどす」ことに成功する。
本来は祝うべき能力の発現だったが、オレックには「もどし」た自覚がなく、ようやく現れた<ギフト>が制御不能な<荒ぶるギフト>であることが判明する。
オレックは自分の<ギフト>を恐れ、父に頼んで目隠しをしたまま暮らすことになるのだが・・・
高地の氏族は、それぞれ異なった<ギフト>を持っていて、例えばオレックの幼馴染の少女グライが属するバーレ一族には動物達と心を通わせる<呼びかけ>が伝わっており、カスプロやバーレと敵対関係にあるドラム一族の<すり減らし>は、時間をかけて動植物を死へと向かわせる。
これらの<ギフト>は、より文化的な都市生活を送っている低地の人々の間では魔法として認識されており、著者の代表作「ゲド戦記」の中でも魔法が「姿かえ」や「手わざ」などに分類されていたことに思い当たった。
魔法の行使に様々な制約を与えて万能の力として描かないことはファンタジーの定石だと思うが、「ゲド戦記」シリーズの後半と同様に、あえて主人公から魔法の力を取り去ることによって逆に魔法の存在が際立つようだ。
力が強すぎて使えないという<荒ぶるギフト>は、まるで核抑止力ののようで、グライの語る「本来はどの<ギフト>も癒しのためにあった」という仮説も核エネルギーに代表される「力」の利用形態の両面性を示唆しているのだろう。
とは言え、一族の暮らしを守るという義務を果たすために<もどし>を行うカノックが否定的に描かれているわけではなく、個々人のレベルにおける生き方に選択肢があることを啓蒙的に示す止まっており、高齢の著者による悟りの境地のようなものが滲んでいるように感じた。
結末は意外なものだが、天性の<ギフト>を持たない低地出身の母親から受け継いだ能力を<ギフトのギフト>として携え旅立つオレックの成長した姿が爽やかな印象を残す。
2016年12月12日に日本でレビュー済み
「ゲド戦記」の著者ル=グウィンによる ファンタジー「西のはての年代記」シリーズ第一作である。
「高地」に住む人々の中の領主(ブランター)となる血統の者には、「ギフト」と呼ばれる特殊な能力が現れ、その力によって一族を支配する。
主人公の少年オレックの血統は<もどし>(全てのものを作られる前の状態に「もどし」つまり破壊する )のギフトを持つ。父カノックはその能力を制御し、うまく一族を治めるが、オレックにはなかなかその能力が現れない。
息子に「ギフト」が現れないことを憤る父。父の期待に応えられない自分に苦しむ息子。一方で、自分のやりたいことを自由にやれない悩み。
その中でやっとその能力が開花したが、その力は荒ぶる力で現れ意思に従わず、オレックの制御できない形で現れた。その昔、祖父カッダードは一時の癇癪により愛する家族を殺してしまった。その祖父と同じ、<あらぶるギフト>を持つと恐れられたオレックは父により布で目隠しをされ、盲目となって生活するようになった。
この物語の魅力の中心は、ファンタジーに特有な魔法を使うところではない。それらはあくまでも脇役で、主人公の成長だ。
思春期特有の苦悩、親への反発そして成長。そのきめ細やかな描写がこの作者の魅力だろう。
「高地」に住む人々の中の領主(ブランター)となる血統の者には、「ギフト」と呼ばれる特殊な能力が現れ、その力によって一族を支配する。
主人公の少年オレックの血統は<もどし>(全てのものを作られる前の状態に「もどし」つまり破壊する )のギフトを持つ。父カノックはその能力を制御し、うまく一族を治めるが、オレックにはなかなかその能力が現れない。
息子に「ギフト」が現れないことを憤る父。父の期待に応えられない自分に苦しむ息子。一方で、自分のやりたいことを自由にやれない悩み。
その中でやっとその能力が開花したが、その力は荒ぶる力で現れ意思に従わず、オレックの制御できない形で現れた。その昔、祖父カッダードは一時の癇癪により愛する家族を殺してしまった。その祖父と同じ、<あらぶるギフト>を持つと恐れられたオレックは父により布で目隠しをされ、盲目となって生活するようになった。
この物語の魅力の中心は、ファンタジーに特有な魔法を使うところではない。それらはあくまでも脇役で、主人公の成長だ。
思春期特有の苦悩、親への反発そして成長。そのきめ細やかな描写がこの作者の魅力だろう。
2014年7月14日に日本でレビュー済み
ジャンルに限らず、上質な物語には人の心を揺さぶる力があるもの。本書も正にそれで、ここまで心に染み渡ってきた物語に出会ったのは久しぶりのことである。
主人公のオレックが西のはての「高地」で暮らしていた幼き頃の思い出を独白するという形でストーリーは進んでいく。この「高地」ではギフトという不思議な力を持つ人間たちがいて、それぞれの一族に個別の能力が付与されている。オレックはその中で「もどし」の力を受け継ぐ一族の主の一人息子だ。目に映る全てのものを破壊してしまう凄まじい「もどし」の力を制御できずに暴発を恐れた幼い少年のオレックは、自分の目を封印するように父に頼み、以後、盲目の生活を送ることになる。
これはギフトという力に振り回されながらも、葛藤を続けた少年の記憶である。厳格だが心優しい父と、明るく穏やかな母、そして気の合う幼なじみに囲まれながらも、慎ましい幸せに包まれて暮らしていたオレック。彼のそんなささやかな日常が何でもなく壊され、あるべき前の姿に「もどって」いく物語の流れには非常に哀しく心揺さぶられるものがあった。
読み手の心にすっと染み渡っていき、その情景を思い起こさせる透き通った文章は味わい深いものがあり、それが紡ぐ物語は切なく儚げである。産声を上げた生命がよちよちと歩き出す前に話は語り終えられているのが少し不満だが(いや、これから先の話が気になるんじゃないか!)、同じ世界を舞台にした独立した物語の続編が出ているらしいので、今度はそちらを楽しみたいと思う。
魔法や激しいバトルを期待されている方にはおすすめしません。退屈な日常を離れて、心を動かされたいと思う方は是非。
主人公のオレックが西のはての「高地」で暮らしていた幼き頃の思い出を独白するという形でストーリーは進んでいく。この「高地」ではギフトという不思議な力を持つ人間たちがいて、それぞれの一族に個別の能力が付与されている。オレックはその中で「もどし」の力を受け継ぐ一族の主の一人息子だ。目に映る全てのものを破壊してしまう凄まじい「もどし」の力を制御できずに暴発を恐れた幼い少年のオレックは、自分の目を封印するように父に頼み、以後、盲目の生活を送ることになる。
これはギフトという力に振り回されながらも、葛藤を続けた少年の記憶である。厳格だが心優しい父と、明るく穏やかな母、そして気の合う幼なじみに囲まれながらも、慎ましい幸せに包まれて暮らしていたオレック。彼のそんなささやかな日常が何でもなく壊され、あるべき前の姿に「もどって」いく物語の流れには非常に哀しく心揺さぶられるものがあった。
読み手の心にすっと染み渡っていき、その情景を思い起こさせる透き通った文章は味わい深いものがあり、それが紡ぐ物語は切なく儚げである。産声を上げた生命がよちよちと歩き出す前に話は語り終えられているのが少し不満だが(いや、これから先の話が気になるんじゃないか!)、同じ世界を舞台にした独立した物語の続編が出ているらしいので、今度はそちらを楽しみたいと思う。
魔法や激しいバトルを期待されている方にはおすすめしません。退屈な日常を離れて、心を動かされたいと思う方は是非。