![STRANGER IN BUDOKAN (通常盤) [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/81c5Q7X5YmL._AC_UL160_SR160,160_.jpg)
素晴らしい仕上がりです。「文句のつけようもない」という言葉しか思いつかないです。
何よりも収録された３５曲分の一覧を見るだけでも、ギター演奏者としての星野源の魅力を伝えようという出版社側の意気込みを感じます。
現時点の最新アルバムである＜Yellow Dancer＞からは、６曲と少なめに感じるかもしれませんが、もともとあのアルバムはギターの登場が少ないアルバムでした。
それよりも、ギターメインの曲が多かったファースト・アルバム＜ばかのうた＞から９曲、サード・アルバム＜Stranger＞から１０曲が選曲されていることや、シングルの収録曲である「歌を歌うときは」や、いわゆるＢ面曲の「Night Troop」（星野作品としては珍しく、流れるようなギターソロが印象的）まで入っている点からも、ギターを弾く星野源ファンならチェックしておきたい作品を１曲でも多く収録しておこうという制作者側の想いが伝わってきますし、それぞれの楽曲に対する愛情を強く感じます。
タブ譜も実に正確です。
「ばらばら」の最初のコードは５フレット位置で１，２弦が開放である点や（x57655で弾いている人がいるけれどx57600が実は正解）、「フィルム」のイントロで小指を９フレットまで伸ばす点、「夢の外へ」「化物」の忙しいコードチェンジの中でのハイポジションへの移動など、きちんと映像をチェックしないと、耳コピに慣れた人でも間違いがちな部分も実に正確に書かれています。素晴らしい正確さです。
星野源作品をいざ耳コピしようとすると、小さなあれこれが実に難しいことに気付くはずです。転調ではないのにおかしなテンションコードが入る、ありがちな展開に行かない、所々でメロディと伴奏が合ってない（合ってない例としては、シングル「Sun」収録の「いち に さん」辺りが分かりやすい）などなど。
そうしたちょっとした違い、分かってしまえば「な～んだ」といういくつかのコードとそのポジションが、この楽譜には正確に書かれています。これは現時点での「星野源・弾き語り用の楽譜」としては決定版と言っても差し支えないレベルです（逆に言えばギター譜については、ギターピースという名の１曲単位で販売される楽譜を含めても、これまでまともな楽譜が全く出てこなかったという点から、これ以上のものがこの先、他の出版社から出てくるのかは疑問です）。
ギター弾き語り用のタブ譜に求められるのは、何よりも演奏者と同じ演奏が出来るための正確さです。少しでも正確なものを出版しようという強い意気込みを、この書籍から感じました。子供だましのようないい加減な「（自称）弾き語り用タブ譜」が横行する中、キチンとしたものを出してくれる出版社を応援する意味からも、ファンなら迷わず買いましょう。
あくまで個人的にですが、「営業」「電波塔」「マッドメン」「海を掬う」「Snow Men」も入っていて欲しかった。でもまあ、そこまで言うとバチが当たる。それは、落ち穂拾い的な第２段に期待しましょうか。
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