歴史とは、他の漫画のような正義と悪の戦いではなく、呂不韋も言っていたように「互いの正義のぶつかり合い」であり、正しいほうが勝つのでも思いが強いほうが勝つのでも無く、軍略や武力という名の暴力が強いほうが勝つ。そのシビアさがキングダムの魅力だと思う。
だからこそ信の思いの強さや絆が前面に出れば出るほど違和感を感じるし、漫画の魅力が失われていく。思いや絆で強くなれるのなら、天下の大将軍になる、という「個人的な願望」で戦っている信より、国の存亡を賭けて戦っている趙将たちのほうがよっぽど抱えているものは重いはずなのだ。「お前の刃は重くない」と信はホウケンに言うが、いやぁお前の刃もそんなに重くないだろう、と私は読者として思ってしまう。オウキも大好きなキャラだが最近あまりにも神格化されすぎている。信や秦にとってオウキが重要なように、趙やギョウウン、チョウガリュウにとっては藺相如が重要なはずである。思いや受け継いだものの重さで強さが決まってしまうのなら、ギョウウンやチョウガリュウの受け継いだ思いは軽いのか?それではけっきょく「正義と悪」が戦う普通の漫画と変わら無いと思う。キングダムで勝敗を決するのはあくまでも軍略・武力などの「単純な暴力」であって欲しかった。それが歴史だから。抱えているものの重さでいったらリボクなんて一人で10万人ぐらい斬れそうなぐらい重いだろう。
またリボクはホウケンを「人は人でしか無いという天からの答え」だと述べ、思いや絆を繋ぐ「人」には勝て無いと言うが、それなら「道を極め武神として人を救済する」という「思い」を「繋いできた」求道者たちの「人としての思いや絆」は強さたり得無いというのは作者の答えが自己矛盾していると思うのだが。武神の道など無かったとして、それを追い求め続けた求道者は「人」としても物凄く頑張ってる存在なはずだがそこは全否定でいいのか?
そもそもホウケンvs信を「武神」vs「人」としてではなく「人」vs「人」として見ても、「俺は大将軍になりたい」と「俺は全人類を救済したい」ではどちらの刃が重いのか。この時点でホウケンを切るなら、「刃の重さ」ではなく単純な武力の戦いとして、信・王賁・キョウカイ・蒙恬でフルボッコにするしかなかったんじゃないか?「刃の重さ」で切るなら、六国を平定して嬴政の「人の救済の道」を体現する存在として、キングダムのラスボスとしてのホウケンを「道」ごと叩き切ってオウキを超える存在になったほうがよかったんじゃないか。こんな中途半端な若造に「刃が重くない」などと言われて切られたホウケンはずいぶん惨めなものである。
そしてリンコや白髪頭が信を後ろで支えている姿にも強烈な違和感。彼らはあくまで信が「切り殺した敵国の人間」なのだ。互いに認め合うことはあっても、自分の祖国を滅ぼしかねない信を後ろから支えることは無いだろう。むしろ認めつつも信には死んで欲しいはずだ。戦った敵が味方になる、という発想自体が、勇者と魔王軍が戦って魔王軍のキャラが味方に寝返る、という「正義と悪の戦い」の発想そのものではないか。キングダムはそういう漫画じゃないだろう。一読者が言うのも何だが、作者は自分の作品の本質を見失ってるんじゃないのか?
あとは単純に漫画の面白さとして、主人公が特別で最強、よりも味方にも敵にも主人公より強い者がごろごろいるぐらいがバランスとして面白い。昔はドラゴンボールなどのように常に主人公が最強状態の漫画が多かったが、近年はナルトやワンピースなど主人公が最強じゃない人気漫画が多い。個人的にはそれらの漫画も主人公が最強になってくると面白さが失速する印象があるので鬼滅の刃やハンターハンターのように「主人公の強さのバランス」をキープし続けている漫画のほうが面白いのだが、今巻でキングダムはそれを完全に崩してしまったように感じる。武力最強のホウケンに満身創痍の一騎打ちで勝ってしまったのだから、信が単騎の武力では最強ということになってしまう。信のこの強さが、絆を持たないホウケン相手だけのものなら逆にホウケンはどの武将にも勝てない弱小キャラという事になってしまう。
あとは気功とか術とか死後の世界とか、急激に「シビアな歴史もの」から「ファンタジー」方面に行ってしまった感がある。好きな作品だけに、この巻は非常に残念だった。
朱海平原の戦い自体の感想としては、王翦は長期的な戦いを指揮する「戦略」には優れていても、戦いそのものを指揮する「戦術」は凡庸な印象。何というか、現場の武将の判断任せで、結果として上手くいったから良かったね、といった戦いだった。作者が王翦をそういうキャラとして描くつもりならそれでも良いと思うのだが、優れた戦術家として描くつもりだったのなら失敗してるな、と思う。正直王翦は朱海平原ではほとんど何もしていない。蒙恬、王賁、信が活躍して戦局をひっくり返す=ひっくり返さないと勝てない状況を作ってしまっている王翦という図式になってしまうので作者としては悩ましい所だと思うが、信がフウキを打った時のオウキの旗のような、若い将が戦局を決める瞬間に発動する王翦の仕込みが欲しかった。というかこれだけ長い戦いなのにそういう熱い展開が無かったのも、戦を描く作者の力量が低下しているような気がする。
キングダム 58 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL) Kindle版
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言語日本語
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出版社集英社
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発売日2020/6/19
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ファイルサイズ83141 KB
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2020年6月20日に日本でレビュー済み
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Amazonで購入
575人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2020年6月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
*ネタバレ含みます。
毎巻楽しみにしてますが、この巻は正直きつかったです。
心臓止まって冷たくなってるのに、謎の術で生き返って割とピンピンしてる...
そういうのはこのマンガでは違うんじゃないでしょうか...
毎巻楽しみにしてますが、この巻は正直きつかったです。
心臓止まって冷たくなってるのに、謎の術で生き返って割とピンピンしてる...
そういうのはこのマンガでは違うんじゃないでしょうか...
2020年6月21日に日本でレビュー済み
私は全巻持っていますし、この巻も発売日に店頭で購入。次巻も買います。
ですが・・です。
つまらない。
龐煖との戦いがストレスでしかありません。
信の龐煖との戦いぶり・龐煖との実力差が、最初の戦いの時と変わっていない。
刃を合わせる度に吹っ飛ばされ、切り刻まれる。
信って強くなってないの? そう思ってしまう。
こんなことになるなら、もっと万全の状態で対峙させて欲しかった。 そう思ってしまう。
信が勝つ説得力を感じられなかった。
主人公だから勝った。それだけに見えてしまった。
2人の力の質の違いを描きたいのだと思います。個と絆の。
しかし、死んだ仲間の力を借り「過ぎた」描写。この絆を強調し過ぎた描写のせいで、「信本人の力」が見えない。
龐煖と戦っているのは「信の力」ではなく「絆の力」。
これがスカッとしない。
わからなくはないんです。今後のことを考えれば、現段階で信を強くし過ぎるわけにはいかないでしょうから。
でも、つまらなかった。
自分の力に仲間の力を乗せた力が「信の力」じゃなかったんでしょうか。
七分でも、いや五分でもいい。他の誰よりも龐煖に対抗できるほど成長した信を見たかった。
だけどまだ及ばない、その部分だけを漂たちの力で補ってほしかった。
私は読者なので、無責任なもんです。じゃあどうすればよかったかの答えば持ち合わせていません。
大きくし過ぎた龐煖は扱いが難しかったと思います。
信のキャラクターを考えたうえで、王騎・龐煖の「関係」をここで決着させるという判断だったのかもしれません。
でも初めて新刊を読み飛ばしました。
前巻もイマイチでしたけど、読み飛ばしはしなかった。
信の蘇生や、重体で戦い続ける王賁などは、私には(ギリ)許容範囲です。(むしろ松左・去亥には心打たれました)
桓騎は彼らしく役割を果たしていたと思いますし、摩論とのやりとりの中、言外に王翦への信頼感を匂わせた描写などはとても好きです。(王翦の凡人感は嫌でしたけど)
亜花錦はじめ、魅力的な新キャラクターもたくさんいます。
でも、「早く次の巻をよこせ!」と興奮して読んだ合従軍戦と違い、今回の趙との戦いは「早く次の展開にならないかな」としか思えなかった。新刊の発売日がちっとも待ち遠しくなかった。
使い捨て感ありありの敵(特に犬戎の連中と舜水樹)、間延びした展開。
ピンチを演出するために味方にバカな行動させるのも萎えます。
私はこの漫画が好きです。
多分心配しなくても、また面白くなるだろうと思っています。
なぜなら龐煖が退場したので。
でも心配しています。
ヒット作にありがちな「全部描いちゃう状態」になっているからです。
もう何があっても最後まで打ち切られることなどないでしょう。
でもだからこそ、「削る」作業を大事にしていただきたい。
好きに描けるであろう今こそ、それを大事にしていただきたい。
応援しています。
ですが・・です。
つまらない。
龐煖との戦いがストレスでしかありません。
信の龐煖との戦いぶり・龐煖との実力差が、最初の戦いの時と変わっていない。
刃を合わせる度に吹っ飛ばされ、切り刻まれる。
信って強くなってないの? そう思ってしまう。
こんなことになるなら、もっと万全の状態で対峙させて欲しかった。 そう思ってしまう。
信が勝つ説得力を感じられなかった。
主人公だから勝った。それだけに見えてしまった。
2人の力の質の違いを描きたいのだと思います。個と絆の。
しかし、死んだ仲間の力を借り「過ぎた」描写。この絆を強調し過ぎた描写のせいで、「信本人の力」が見えない。
龐煖と戦っているのは「信の力」ではなく「絆の力」。
これがスカッとしない。
わからなくはないんです。今後のことを考えれば、現段階で信を強くし過ぎるわけにはいかないでしょうから。
でも、つまらなかった。
自分の力に仲間の力を乗せた力が「信の力」じゃなかったんでしょうか。
七分でも、いや五分でもいい。他の誰よりも龐煖に対抗できるほど成長した信を見たかった。
だけどまだ及ばない、その部分だけを漂たちの力で補ってほしかった。
私は読者なので、無責任なもんです。じゃあどうすればよかったかの答えば持ち合わせていません。
大きくし過ぎた龐煖は扱いが難しかったと思います。
信のキャラクターを考えたうえで、王騎・龐煖の「関係」をここで決着させるという判断だったのかもしれません。
でも初めて新刊を読み飛ばしました。
前巻もイマイチでしたけど、読み飛ばしはしなかった。
信の蘇生や、重体で戦い続ける王賁などは、私には(ギリ)許容範囲です。(むしろ松左・去亥には心打たれました)
桓騎は彼らしく役割を果たしていたと思いますし、摩論とのやりとりの中、言外に王翦への信頼感を匂わせた描写などはとても好きです。(王翦の凡人感は嫌でしたけど)
亜花錦はじめ、魅力的な新キャラクターもたくさんいます。
でも、「早く次の巻をよこせ!」と興奮して読んだ合従軍戦と違い、今回の趙との戦いは「早く次の展開にならないかな」としか思えなかった。新刊の発売日がちっとも待ち遠しくなかった。
使い捨て感ありありの敵(特に犬戎の連中と舜水樹)、間延びした展開。
ピンチを演出するために味方にバカな行動させるのも萎えます。
私はこの漫画が好きです。
多分心配しなくても、また面白くなるだろうと思っています。
なぜなら龐煖が退場したので。
でも心配しています。
ヒット作にありがちな「全部描いちゃう状態」になっているからです。
もう何があっても最後まで打ち切られることなどないでしょう。
でもだからこそ、「削る」作業を大事にしていただきたい。
好きに描けるであろう今こそ、それを大事にしていただきたい。
応援しています。
2020年6月22日に日本でレビュー済み
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最近昭和の少年ジャンプ 「リングにかけろ」や「北斗の拳」「ドラゴンボール」のように同じことの繰り返すが多くなってきた印象でしたが、ついに死んだ人間を蘇らせるという少年ジャンプの王道になってしまいました
蘇りに手を出してしまうと、もう購読は止めようと思います
これからも同じことの繰り返しと主要キャラは死なずの定期的にサブキャラを人気してから
殺すパターンの繰り返しになると思うので。
蘇りに手を出してしまうと、もう購読は止めようと思います
これからも同じことの繰り返しと主要キャラは死なずの定期的にサブキャラを人気してから
殺すパターンの繰り返しになると思うので。
2020年6月20日に日本でレビュー済み
ホウケンがよくわからんけど死んだ。
めんどくさいから適当に殺したとしか思えないでき。
ほんとなんなの。
作者やる気ないの?
というか、展開遅すぎでしょ
ホウケンとかで時間稼ぎして引き伸ばす必要ないんじゃないの?
まだ一国も倒してないよ?
読者の皆さん
作者の勘違いを正すには、正直な感想(低評価など)を入れるしかありません
低評価の嵐、皆さんの正直な声を聞けば作者も勘違いを直すでしょう
皆さん、正直な評価をしましょう
嘘の好評価は読者のためになりませんよ
めんどくさいから適当に殺したとしか思えないでき。
ほんとなんなの。
作者やる気ないの?
というか、展開遅すぎでしょ
ホウケンとかで時間稼ぎして引き伸ばす必要ないんじゃないの?
まだ一国も倒してないよ?
読者の皆さん
作者の勘違いを正すには、正直な感想(低評価など)を入れるしかありません
低評価の嵐、皆さんの正直な声を聞けば作者も勘違いを直すでしょう
皆さん、正直な評価をしましょう
嘘の好評価は読者のためになりませんよ
ベスト1000レビュアー
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長きにわたった朱海平原の戦いに決着!
というとそれはもう劇的なクライマックスを期待してしまうのだけれど、武神さんとどつき合い、限界まで続けた挙句、思いの強い方が勝つ、という何度も見てきたいつも通りの展開だった。
これだけ読んだらきっと胸高鳴っただろう、迫力満点の戦い。でもいつもこれだから、その迫力にかえって「またか」と胸焼けしそうだった。
これぞキングダム、という、伝統芸みたいになってきた。
「飛信隊!」とでも合いの手を入れながら様式美を楽しめればいいのかもしれない。
その後に信の身に起きたことは衝撃的で、確かに新しいものだったのだけれど、案の定事なきを得た上に、結局はオカルトで解決という、どう受け止めていいのか微妙な展開だった。
マンネリと迷走と、不安を感じた本巻だった。
というとそれはもう劇的なクライマックスを期待してしまうのだけれど、武神さんとどつき合い、限界まで続けた挙句、思いの強い方が勝つ、という何度も見てきたいつも通りの展開だった。
これだけ読んだらきっと胸高鳴っただろう、迫力満点の戦い。でもいつもこれだから、その迫力にかえって「またか」と胸焼けしそうだった。
これぞキングダム、という、伝統芸みたいになってきた。
「飛信隊!」とでも合いの手を入れながら様式美を楽しめればいいのかもしれない。
その後に信の身に起きたことは衝撃的で、確かに新しいものだったのだけれど、案の定事なきを得た上に、結局はオカルトで解決という、どう受け止めていいのか微妙な展開だった。
マンネリと迷走と、不安を感じた本巻だった。







