ガンジーが会議派に積極的に参画し、反英独立運動を加速化させる以前の自伝となっている。
出生からイギリスでの弁護士資格取得、南アフリカでの非服従運動、インド各地でのサッティヤーグラハ運動の記録と、その時々のガンジーの思想が綴られている。
私がこの本を読もうと思ったのは、理不尽極まる現代の政治状況の中で自分自身がどう政治と関わっていくか?何ができるか?という探求の答えを見つけるためであった。
読んでみて、ガンジーの生き方そのものが答えになっていると感じるのだが、具体的には、「サッティヤーグラハ運動」ということに尽きるだろう。
本書は、神と真実のために生涯をかけた「実験」が語られている。
ガンジーの思想と生き方は常に一貫しており、その思想と生き方から、ガンジー自身の生活、家族との接し方、ひいては政治運動へと展開していく。
頭脳や知識だけで政治を論じるのではなく、自身の思想と生き方の一貫性こそ、ガンジーの凄いところであり、人々に示そうとしたことであると思う。
そしてそれは、現代に生きる私たち一人一人にも突きつけられており、誰もが直面せざるを得ない課題なのである。
政治との関わりを真剣に考えるならば、一読必須の書であると思う。
ガンジー自伝 (中公文庫BIBLIO20世紀) (日本語) 文庫 – 2004/2/1
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本の長さ512ページ
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言語日本語
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出版社中央公論新社
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発売日2004/2/1
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ISBN-104122043301
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ISBN-13978-4122043305
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
真実と非暴力を信奉しつづけ、インド独立運動の精神的指導者として、民衆から聖人と慕われたその偉大な生涯。インド古来の思想を再生し、人間の品位と威厳を示した生きざまが、新たな感動をよぶ。ガンジー自身の筆による自伝的著作には『自叙伝』と『南アフリカにおける非服従運動』の二作がある。彼の死後、ガンジー著作編集委員会は一冊で完結した自伝の必要性を認め、二著作を再編集した新たな『自叙伝』を刊行した。本書はその英語版の全訳である。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ガンジー,マハトマ
1869年、グジャラート州ポルパンダルに生まれる。ヒンドゥー教ジャイナ派の教育を受け、英国で修学した後、89年弁護士の資格を得る。93年から1914年まで、南アフリカのナタールで商館訴訟を手掛ける。その間、現地のインド人労働者の受けていた差別虐待に抗議し平等権獲得闘争を指導、非暴力闘争の端緒を開く。帰印後は、労働運動、民族解放独立運動の指導に専念。英国のインド撤退を要求、不服従運動を提唱し、インド独立の父と慕われた。48年、狂信的ヒンドゥー教徒により暗殺された
蝋山/芳郎
1907年(明治40)、高崎市に生まれる。第一高等学校理乙に入学、29年(昭和4)中退。一高在学中よりアジアの民族運動の研究を続け、36年、連合通信社を経て、同盟通信社(現在の共同通信社)に入社。40年、インド特派員としてボンベイに赴任。太平洋戦争勃発によって抑留され、終戦をミャンマーで迎える。46年帰国、共同通信社に復帰、56年退社。アジア、アフリカ問題研究家として活躍。2001年1月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1869年、グジャラート州ポルパンダルに生まれる。ヒンドゥー教ジャイナ派の教育を受け、英国で修学した後、89年弁護士の資格を得る。93年から1914年まで、南アフリカのナタールで商館訴訟を手掛ける。その間、現地のインド人労働者の受けていた差別虐待に抗議し平等権獲得闘争を指導、非暴力闘争の端緒を開く。帰印後は、労働運動、民族解放独立運動の指導に専念。英国のインド撤退を要求、不服従運動を提唱し、インド独立の父と慕われた。48年、狂信的ヒンドゥー教徒により暗殺された
蝋山/芳郎
1907年(明治40)、高崎市に生まれる。第一高等学校理乙に入学、29年(昭和4)中退。一高在学中よりアジアの民族運動の研究を続け、36年、連合通信社を経て、同盟通信社(現在の共同通信社)に入社。40年、インド特派員としてボンベイに赴任。太平洋戦争勃発によって抑留され、終戦をミャンマーで迎える。46年帰国、共同通信社に復帰、56年退社。アジア、アフリカ問題研究家として活躍。2001年1月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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VINEメンバー
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いわずと知れたマハトマ・ガンジーの自伝。書かれたのが1925年なので、収められているのはガンジーの出生から1920年前後までとなっている。そのため普通ガンジーと聞いて我々が連想するような20〜40年代におけるインドの反英独立運動の盛り上がりや、47年の独立達成などについてはカバーされていない。前半生を収める本書では、基本的には南アでの経験が過半を占めている。差別に直面し、政治的に意識化を遂げ、サチャーグラハの思想を深化させていく過程である。所々で奥さんの大変さも垣間見れて苦笑させられもする。
「ガンジー=聖人君子」という眼鏡をかけて読むならば、その思想・人格の萌芽的形成の過程を本書における若き日のガンジーに読み取ることもできよう。だが、個人的に興味深かったのはやはりガンジーの指導する運動の市民権戦略の変容についてだ。南アでインド系住民差別の問題に直面したガンジーは、イギリス帝国の戦争に積極的に協力する。南ア時代のガンジーは帝国臣民としての忠誠と貢献の見返りに市民としての諸権利を要求する戦略を採用していた。
「イギリスの支配に対する忠誠心に駆られて、私はイギリス側に立ってその戦争に参加した・・・。そのころわたしは、イギリス帝国の枠内で、またそれを通してのみ、インドは完全な解放を達成できる、という見解を持っていた。」(P165)
「当時私は、「イギリス帝国は世界の福祉のために存在している」と信じていた。」(P209)
後のガンジーを念頭に置くならば、南ア時代のガンジーの思想と運動は非常に興味深いものがある。インド帰国後のガンジーは一体どのように非暴力不服従へと思想的変遷を遂げていくのか。ガンジーの生涯から終始一貫した思想を読み取り、何かを学ぼうとするのももちろん意味のある読み方だが、帝国の植民地エリートとしてのガンジーの出発点とその後の思想の変化に注目して読むのも意義のあることだと思う。
「ガンジー=聖人君子」という眼鏡をかけて読むならば、その思想・人格の萌芽的形成の過程を本書における若き日のガンジーに読み取ることもできよう。だが、個人的に興味深かったのはやはりガンジーの指導する運動の市民権戦略の変容についてだ。南アでインド系住民差別の問題に直面したガンジーは、イギリス帝国の戦争に積極的に協力する。南ア時代のガンジーは帝国臣民としての忠誠と貢献の見返りに市民としての諸権利を要求する戦略を採用していた。
「イギリスの支配に対する忠誠心に駆られて、私はイギリス側に立ってその戦争に参加した・・・。そのころわたしは、イギリス帝国の枠内で、またそれを通してのみ、インドは完全な解放を達成できる、という見解を持っていた。」(P165)
「当時私は、「イギリス帝国は世界の福祉のために存在している」と信じていた。」(P209)
後のガンジーを念頭に置くならば、南ア時代のガンジーの思想と運動は非常に興味深いものがある。インド帰国後のガンジーは一体どのように非暴力不服従へと思想的変遷を遂げていくのか。ガンジーの生涯から終始一貫した思想を読み取り、何かを学ぼうとするのももちろん意味のある読み方だが、帝国の植民地エリートとしてのガンジーの出発点とその後の思想の変化に注目して読むのも意義のあることだと思う。
2015年1月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ガンジーの自伝は、びっくりするほど淡々としていました。
ガンジーは普通の人だったら自慢したくなるような社会的政治的成果について自分では書いていないのです。なんと言ってもガンジーの代名詞とも言える「インド独立運動」について触れられていません。
この自伝が書かれたのは1920年代の後半で、イギリスからの完全独立はまだ果たされていないものの、独立運動は盛り上がりを見せていた頃らしいです。せっかく自伝を出版するんだから、「ここは一発、俺様の政治的主張をたっぷり盛り込んで、民衆を導いてやろうじゃねえかい。」って思わなかったのかと俗人の私は思ってしまいます。
それでは何が書かれているのか。
「私の行った数々の真実に関する実験について話をしようと思っているにすぎない」とガンジーは言います。
ガンジーは自らの生を、「真実に関する実験」であると考えていた。
真実とは「最も微々たる被造物をも同一のものとして愛する非殺生の精神」です。彼は真実に至ろうと努力しているにも関わらず、完全になれない己の姿を真摯に見つめています。
「子ども時代の学校では教師たちをあらゆるアダ名で呼ぶこと以外には何も覚えなかった」だとか、「金銀財宝の贈り物を受け取るか否かで奥さんと喧嘩した話」とか、聖人ぶることもなく、率直に書いています。
彼は自分をまったく偉いと思っていない。自分はあたりまえのことを実行しているだけで、結果は後からついてくると思っている。弁護士時代に南アフリカで差別と戦った話は書いても、インド独立運動の話については、「私のこれまでの活動から自然に導かれることだから述べるまでもないでしょう」とばかりに筆を置いてしまうのです。
ガンジーの偉大さは本人の自伝だけを読んで理解するのは困難です。本人と、周りの人と、後世の評価を合わせることでようやく、この人を少し理解できると思います。
ガンジーは普通の人だったら自慢したくなるような社会的政治的成果について自分では書いていないのです。なんと言ってもガンジーの代名詞とも言える「インド独立運動」について触れられていません。
この自伝が書かれたのは1920年代の後半で、イギリスからの完全独立はまだ果たされていないものの、独立運動は盛り上がりを見せていた頃らしいです。せっかく自伝を出版するんだから、「ここは一発、俺様の政治的主張をたっぷり盛り込んで、民衆を導いてやろうじゃねえかい。」って思わなかったのかと俗人の私は思ってしまいます。
それでは何が書かれているのか。
「私の行った数々の真実に関する実験について話をしようと思っているにすぎない」とガンジーは言います。
ガンジーは自らの生を、「真実に関する実験」であると考えていた。
真実とは「最も微々たる被造物をも同一のものとして愛する非殺生の精神」です。彼は真実に至ろうと努力しているにも関わらず、完全になれない己の姿を真摯に見つめています。
「子ども時代の学校では教師たちをあらゆるアダ名で呼ぶこと以外には何も覚えなかった」だとか、「金銀財宝の贈り物を受け取るか否かで奥さんと喧嘩した話」とか、聖人ぶることもなく、率直に書いています。
彼は自分をまったく偉いと思っていない。自分はあたりまえのことを実行しているだけで、結果は後からついてくると思っている。弁護士時代に南アフリカで差別と戦った話は書いても、インド独立運動の話については、「私のこれまでの活動から自然に導かれることだから述べるまでもないでしょう」とばかりに筆を置いてしまうのです。
ガンジーの偉大さは本人の自伝だけを読んで理解するのは困難です。本人と、周りの人と、後世の評価を合わせることでようやく、この人を少し理解できると思います。
2012年11月9日に日本でレビュー済み
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インドを旅行しながらこの本を読み、インドでこのレビューを書いています。
まずこの本ですが、ガンジーの半生のみを紹介しており、
イギリスからの独立などの後半の時代は書かれておりません。
それは、ガンジー自身がそのような政治的活動が中心となった時期については、
敢えて自伝の中には書くべきではないとの判断をしたためです。
本書はガンジー自身が自分の内面を見つめ、どのように考えて、
どのような行動をとったかが、正直に描かれています。
ガンジーの内省の鋭さと無私の精神の強さには、ただただ驚かされてしまいます。
自分の心の声に従って、究極まで誠実であろうとしたガンジー、
このような方がいたことは奇跡に思える一方で、我々も同じ人間で、
同じような可能性を持っていることに救いを感じます。
この本を読んだ後は、外から見たガンジー、そしてその全生涯を知るために、
リチャード・アッテンボローの映画「ガンジー」をきっと見たくなると思います。
文庫本としてはお高く、前半の半生のみということで★は4つにさせてもらいましたが、
内容的にはお勧めの一冊です。
まずこの本ですが、ガンジーの半生のみを紹介しており、
イギリスからの独立などの後半の時代は書かれておりません。
それは、ガンジー自身がそのような政治的活動が中心となった時期については、
敢えて自伝の中には書くべきではないとの判断をしたためです。
本書はガンジー自身が自分の内面を見つめ、どのように考えて、
どのような行動をとったかが、正直に描かれています。
ガンジーの内省の鋭さと無私の精神の強さには、ただただ驚かされてしまいます。
自分の心の声に従って、究極まで誠実であろうとしたガンジー、
このような方がいたことは奇跡に思える一方で、我々も同じ人間で、
同じような可能性を持っていることに救いを感じます。
この本を読んだ後は、外から見たガンジー、そしてその全生涯を知るために、
リチャード・アッテンボローの映画「ガンジー」をきっと見たくなると思います。
文庫本としてはお高く、前半の半生のみということで★は4つにさせてもらいましたが、
内容的にはお勧めの一冊です。