本書、前半と後半で読後感がまったく違います。
前半はまさに、「古き良き国鉄時代」の話。
長距離列車が日本をくまなく走り、交通の主役が鉄道だった時代。
そんな中で巻き起こる悲喜こもごもの人情話が中心だ。
主人公の荻野カレチの予定(今日は西鹿児島、明日は・・・)を読むだけでも、なんだかにやけてくる。
当時のダイヤに従って、分単位で到着・発車時刻が示されるのも時刻表ファンには嬉しい。
何かで読んだところによれば、本書は自国だけでなく、列車や駅の細部まで、非常に忠実に当時を再現しているらしい。
それが、後半になるにしたがって徐々に暗い話が増え始め、5巻では内容が激変。
国鉄民営化に向けたリストラの矢面に立たされた主人公の苦難が描かれる。
国鉄を愛し、仕事を愛してきた主人公や周囲の人たちが否応なく混乱に巻き込まれていく様子は、読んでいて辛い。正直、救いもない。
ただ、それでも著者は書かざるを得なかったのだろう。
別業種に転身した元・国鉄マンには、実際に何人もお会いしたことがある。
それぞれの人がそれぞれに、こうしたドラマを抱えていたことに、改めて思い至る。
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カレチ(1) (モーニング KC) コミック – 2009/12/22
この作品は、乗客のために一生懸命になり過ぎる新米カレチ(※)・荻野の成長を、昭和の鉄道旅行のノスタルジーたっぷりに描き出す、読み切りシリーズです。
※カレチ=長距離列車に乗務する、客扱専務車掌。
昭和40年代後半、大阪車掌区──。乗客のために一生懸命になりすぎる新米カレチ・荻野の奮闘と成長を描く懐かしさ一杯の読み切りシリーズ! ちばてつや賞大賞受賞作『RAIL GIRL~三河の花~』と、特別描き下ろし『みどりの昭和の鉄道たんけん』も収録!!
※カレチ=長距離列車に乗務する、客扱専務車掌。
昭和40年代後半、大阪車掌区──。乗客のために一生懸命になりすぎる新米カレチ・荻野の奮闘と成長を描く懐かしさ一杯の読み切りシリーズ! ちばてつや賞大賞受賞作『RAIL GIRL~三河の花~』と、特別描き下ろし『みどりの昭和の鉄道たんけん』も収録!!
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2009/12/22
- ISBN-104063728641
- ISBN-13978-4063728644
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商品の説明
著者について
池田 邦彦
1965年生まれ、東京都出身。駅に住む母子を情愛豊かに描いた『RAIL GIRL~三河の花~』で第54回ちばてつや賞・大賞を受賞。その後は、昭和40年代後半の国鉄を舞台に、新米車掌の成長を描く『カレチ』(読み切りシリーズ)を不定期連載中。
1965年生まれ、東京都出身。駅に住む母子を情愛豊かに描いた『RAIL GIRL~三河の花~』で第54回ちばてつや賞・大賞を受賞。その後は、昭和40年代後半の国鉄を舞台に、新米車掌の成長を描く『カレチ』(読み切りシリーズ)を不定期連載中。
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著者について
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1965年東京生まれ。書店勤務を経てライター/イラストレーターとして独立。2008年、読み切り作品の「RAIL GIRL 〜三河の花」で講談社主催の「ちばてつや賞」大賞を受賞、以後は漫画作品を各誌に発表。
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.5
星5つ中の4.5
94 件のグローバル評価
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年4月17日に日本でレビュー済み
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10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年9月1日に日本でレビュー済み
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旧国鉄の話だが、感動的に書かれている。しかし、子供の頃、田舎から送られた荷物が破れて中身がなくなっていたこともあり、国鉄にこんな美談が本当にあるのと思った。カレチとは、長距離列車の客室乗務員らしいが、夜行列車に乗り、出かけた時に、午前5時に目的地に着くのだが、眠り込んでしまったのを、何分前だか、身支度するのにピッタリな時間に起こされて、こんなサービスもあるのかと、感動をした。全社員がなかなか模範社員とはいかない。国鉄が、国有鉄道なのに親方日の丸でサービスが悪いと非難されて消えてしまったのは、残念であり、職務に忠実であった社員の皆さんには災難だったと思う。しかし、駅の臭く汚れたトイレはJRになって、綺麗になったと思う。郷愁を誘う話ばかりだが、知らないことばかり、今はないのか。廃線の鉄路を見ると、公共鉄道は国民に奉仕しなくてはならないから、赤字も致し方ないと思う。孟子ではないが、なぜ利ばかりをいい、なぜ義を求めないのか。今は戦国の劣等なモラルが支配しているのか。思わず、昔はこんなに良かったのかねえと。郷愁を感じた。
2021年1月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
善人しか出てこない。お涙頂戴という批評、確かにそうだと思います。
昭和、戦後ってそれほど美化できる時代じゃなかったのかも知れません。
国鉄が皆この本に登場するようなプロフェッショナル集団だったらあんな結末にはならなかったはずです。
その点美化しすぎという批判もわかります。
が、この漫画は非常に面白かったです。私は好きです。
鉄道ファンでなくても楽しめますが、鉄道好きなら絶対オススメします。
食堂車、長距離特急、寝台など今では見られなくなった列車が舞台となります。
ストーリーも良質ですし、1話完結で読みやすいです。
お気に入りは運転士と車掌のプロ意識の対立と邂逅を描いた「車掌弁」です。
昭和、戦後ってそれほど美化できる時代じゃなかったのかも知れません。
国鉄が皆この本に登場するようなプロフェッショナル集団だったらあんな結末にはならなかったはずです。
その点美化しすぎという批判もわかります。
が、この漫画は非常に面白かったです。私は好きです。
鉄道ファンでなくても楽しめますが、鉄道好きなら絶対オススメします。
食堂車、長距離特急、寝台など今では見られなくなった列車が舞台となります。
ストーリーも良質ですし、1話完結で読みやすいです。
お気に入りは運転士と車掌のプロ意識の対立と邂逅を描いた「車掌弁」です。
ベスト1000レビュアー
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カレチ(旅客列車長)の主人公を中心に国鉄で働く人々を描く(レビューは全巻を通して)。
仕事への愛、プライド、責任感。仕事をするとはどういうことかが伝わってきて、職業教育に非常に使える内容になっている。
元々は鉄道のイラストレーターで43歳で漫画家デビューした池田邦彦さん。電車が好きというだけでなく、鉄道で働く人達への愛が感じられる。
最終章では国鉄民営化の苦悩が描かれている。JR北海道の問題が問われる現在、改めて民営化が正しかったのかを考えるきっかけもこの本は与えてくれる。
電車好きの小中学生に読んでもらいたい鉄道と仕事の名作漫画。
仕事への愛、プライド、責任感。仕事をするとはどういうことかが伝わってきて、職業教育に非常に使える内容になっている。
元々は鉄道のイラストレーターで43歳で漫画家デビューした池田邦彦さん。電車が好きというだけでなく、鉄道で働く人達への愛が感じられる。
最終章では国鉄民営化の苦悩が描かれている。JR北海道の問題が問われる現在、改めて民営化が正しかったのかを考えるきっかけもこの本は与えてくれる。
電車好きの小中学生に読んでもらいたい鉄道と仕事の名作漫画。
2020年1月29日に日本でレビュー済み
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1巻に関しては昭和40年代の国鉄時代を舞台にいくつかの参考文献をベースに新米長距離列車の車掌を主人公として乗客との1話完結型の「心温まるストーリー」集になっています。
女子供の乗客が困っているのを、男気を出して悪名高き国鉄のお役所的な規則を自らの責任において破って助けて感謝され、厳しいベテラン職員にも許されてめでたしめでたしといった昭和的な人情物語の連作になっています。
「一杯のかけそば」のような表層だけのヒューマニズムあふれる手ごろな「泣ける話」を望む人向きではありますが、その点が主人公の荻野車掌をかえって薄っぺらく、己の自己満足的な親切行為のために多数の乗客に迷惑をかけても平気な自己中心的な人物に映してしまい、読む人を白けさせ序盤で食傷気味にしてしまう点が否めません。
もう少し、組織のルールや他の鉄道員とと個人の感情との葛藤や、泣く泣く非情に徹さなければならない場面等があった方が、多くの人の共感を呼んだのではないかとも思われます。
女子供の乗客が困っているのを、男気を出して悪名高き国鉄のお役所的な規則を自らの責任において破って助けて感謝され、厳しいベテラン職員にも許されてめでたしめでたしといった昭和的な人情物語の連作になっています。
「一杯のかけそば」のような表層だけのヒューマニズムあふれる手ごろな「泣ける話」を望む人向きではありますが、その点が主人公の荻野車掌をかえって薄っぺらく、己の自己満足的な親切行為のために多数の乗客に迷惑をかけても平気な自己中心的な人物に映してしまい、読む人を白けさせ序盤で食傷気味にしてしまう点が否めません。
もう少し、組織のルールや他の鉄道員とと個人の感情との葛藤や、泣く泣く非情に徹さなければならない場面等があった方が、多くの人の共感を呼んだのではないかとも思われます。