買って損した「美術本」第2号でした。第1号は「西洋美術史ハンドブック」。
ある方が書かれている通り、「美術史の本、一冊分しかおくスペ-スがない、としたら、この本です」、加えて「コンパクト」にでしょう。画集、美術史、それぞれ単体として、本書は不完全です。印刷物として不完全なところが散見しています。高評価を挙げている人は、文章を読んでいないのでしょう。
それぞれ見ていきます。
1 .読みにくい文章
詰め込みすぎて、用語の羅列。読みやすさ、理解しやすさが、執筆者によってバラツキがある。体系的理解はできません。全般的に
・「~して」「~が」つなぎが多く、長文傾向
・意味不明な「~的~」が多い
・一文の中に外部参照の必要な語句が多くある(脚注にすればよかったのに)
2. 読みにくい文字配列
・フォント(サイズ、濃淡)に揺れが多い。
・1行の文字数が少なすぎる。内容の特性上、形容詞的複文が多く、上記のように長文傾向にあるのに、20文字で改行されて、読みにくい。
3. 見にくい① 目線の流れを無視した文章と挿絵の入れ方
解説部と絵画部を分けたほうが読みやすかったでしょう。解説に述べられる作品は、必ずしも同ページにあるわけでなく、掲載されていない作品・画家も多くあります。目の動きを阻害する配置に敢えてしなくてもいいのではと考えます。作品がもつ優雅さと衒学的な文章、非常にアンバランスです。
4. 見にくい②
なぜ、脚注(絵画名)を小さなフォントにしたのでしょう。また、揺れが顕著にあります。
5. 地図
綴じ部が見えません。見開きで2頁あります。1つめはイスタンブール、2つめはアンドラ公国、世界地図のこの辺り縦ラインで綴じられています。
このくらいに、見易さへの配慮がなされていません。縮小版"便覧"といった書籍です。
全くおすすめできません。
スマホ/タブレット/PCなど、適切な機器をお持ち方は、下記を駆使したほうがいいかもしれません。
Wikipedia
Youtube (解説の動画が多くあります。現在はフルHD、そのうち4Kになるでしょう)
Google Arts & Culture(App)
WikiArt(WEB & App)
その他、たくさんの方がWEBで解説しています
書籍でおすすめするとすれば、下記です。
① コンパクトに揃える
「愛蔵版 一生に一度は見たい西洋絵画BEST100」
サイズ、印刷、価格ともにお値打ち。A4サイズで大きく印刷されており、配色が特にきれいです。比較的薄い本なので"筋トレ"いらずです。
「鑑賞のための 西洋美術史入門 リトル キュレーター シリーズ」
視覚デザイン研究所、早坂 優子
・見やすい(さまざまな意味での"揺れ"がありません)
・作品定番を押さえている
・絵画の生まれた背景、美術用語、といった説明が適切な場所でわかりやすく記述されている
・一般人向けの解説です。
※たとえば、アルカイック/クラシック/ヘレニズム、こちらの本だと一目瞭然で理解できます。本書では、違いを把握できないでしょう。
②図書館での大型書籍の利用
大切なのはサイズです。図書館には、巨大な美術本が所蔵されているはずです。それらは誰にも手に取られず、ホコリを被っているでしょう。映画を、スクリーンで、大型テレビで、スマホで、観るとすれば、どれを選びますか。休日に、スマホやタブレットを持って、こういった大型美術書籍を数時間眺めたほうが有意義に過ごせます。小学館版 世界美術大全集がおすすめです。切り取り禁止です!
③ 一人の執筆者による成書、それと②やWEB
高階秀爾の文庫や新書
三浦篤 まなざしのレッスン1,2
書店で"美術史"本を探されるときは、一度は"別の美術史"本と比べてみてください。
●各章の執筆者一覧です。
第1章 原始美術と古代オリエント美術(青柳正規)
第2章 ギリシア美術とローマ美術(青柳正規)
第3章 中世I:初期キリスト教美術・ビザンティン美術・初期中世美術(西野嘉章)
第4章 中世II ロマネスク美術・ゴシック美術(西野嘉章)
第5章 イタリア初期ルネサンス美術・15世紀の北方美術(高橋達史)
第6章 イタリア盛期ルネサンス美術・マニエリスム・北方ルネサンス美術(高橋裕子)
第7章 バロック美術・ロココ美術(高橋裕子,鈴木杜幾子)
第8章 近代I 新古典主義・ロマン主義・写実主義(鈴木杜幾子)
第9章 近代II 印象主義・象徴主義・後期印象主義(太田泰人)
第10章 現代I(高階秀爾)
第11章 現代II(高階秀爾)
第12章 現代III(建畠哲)
増補新装 カラー版 西洋美術史 (日本語) 単行本 – 2002/12/10
高階 秀爾
(著, 監修, 監修)
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ISBN-104568400643
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ISBN-13978-4568400649
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版増補新装
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出版社美術出版社
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発売日2002/12/10
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言語日本語
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寸法21 x 14.8 x 2.5 cm
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本の長さ252ページ
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- カラー版 - 近代絵画史(上) 増補版 - ロマン主義、印象派、ゴッホ (中公新書)新書
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- 続 西洋・日本美術史の基本「美術検定」実行委員会単行本(ソフトカバー)
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
古代から20世紀末まで、西洋美術の流れをコンパクトにまとめ、図版340点をオール・カラーで掲載。用語解説、カラー年表及び関連地図を添えた、美術愛好者の手引きとして、また、学生の参考書として最適の美術史入門書。
内容(「MARC」データベースより)
美術書最大のベストセラーに新たに事項索引及び各項目に用語解説が付き、より充実。最新10年の現代美術のデータも加え、年表も一新。美術入門者にも美術愛好家にも最適。90年刊に次ぐ増補新装。
出版社より
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美術出版ライブラリー 歴史編 日本美術史 | 増補新装 カラー版 日本美術史 | 増補新装 カラー版 西洋美術史 | 増補新装 カラー版 20世紀の美術 | 増補新装 カラー版 世界デザイン史 | |
内容 | 時代ごとの重要項目がひと目でわかる見開き完結の画期的な 構成で、日本美術の通史を網羅。第一線で活躍する25名の研究 者による「最新」美術史を通じて、日本美術とは何か、そしてわ たしたち日本人とは何かを知る手がかりとなる一冊。 | 古代から20世紀末まで、日本美術の流れをコンパクトにまと め、図版297点をオール・カラーで掲載。用語解説、カラー年表、 仏像各部の名称や寺院建築各部の名称図付き、美術の系譜を通 観、学習するのに最適の書。 | 古代から20世紀末まで、西洋美術の流れをコンパクトにまと め、図版340点をオール・カラーで掲載。用語解説、カラー年表 及び関連地図を添えた、美術愛好者の手引きとして、また、学生 の参考書として最適の美術史入門書。 | 歴史上最大の変転を見せた20世紀の美術の流れをコンパクト にまとめた、近・現代美術の入門書。増補新装版では、新たな章 として「2001年以降の美術の動向」を加えた。カラー図版385 点、用語解説、年表、参考文献付き。 | 近代から現代まで、世界と日本のデザインの流れを図版389点 とともにコンパクトにまとめた、デザイナー、学生必携の入門 書。現代のデザイン傾向をひもといたコラムと新章を加えた新 装版は、よりわかりやすさと使い勝手を追求。 |
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増補新装 カラー版 西洋建築様式史 | 増補新装 カラー版 日本建築様式史 | 増補新装 カラー版 東洋美術史 | 増補新装 カラー版 日本やきもの史 | 増補新装 カラー版 世界服飾史 | |
内容 | 古代から21世紀の現代までの西洋建築の流れを、様式を中心に コンパクトにまとめた一冊。建築関係者はもとより、美術愛好 者・海外旅行者の手引き、学生の参考書としてもおすすめ。340 点のビジュアルでわかりやすく解説する。 | 先史時代から、モダニズム建築の限界が自覚されたポスト・モ ダン、さらに21世紀に入りこれらの二極化と不透明性の時代へ と進む現代に至るまで、日本建築様式史の過程を279点の写 真・図面、巻末資料により、コンパクトな一冊に凝縮。 | 西アジアから南アジア、東南アジア、東アジアへとわたる広大 な地域の芸術表現のあり様を、先史から近代に至るまでを展望できる東洋美術史参考書の決定版。同シリーズ『西洋美術史』 と『日本美術史』をつなぐ一冊。 | 縄文土器から現代工芸の新展開までを総覧できる一冊。また日 本陶磁の技術・様式系統図、近・現代やきもの関連年表、平安・鎌 倉・室町・江戸時代の主要窯場地図、用語解説付き。やきものの 学習と鑑賞に必須の入門書。 | 服飾とその歴史が持つ多様性、及ぼす影響の大きさを考察する のに最適の手引きとして編集された、世界の服飾史解説書。デ ザインの宝庫である服飾の巧みな技術や、輝かしい手仕事の 数々を豊富なビジュアルで紹介する。 |
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2019年10月7日に日本でレビュー済み
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27人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2018年1月7日に日本でレビュー済み
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美術は門外漢。
最近美術館に行く楽しさを覚えましたが、まったく知識がないのでどことなく上っ面をなぞっているだけのような鑑賞に不満がありました。
そこでこの本を購入。
ぎゅっとつまった情報量に対して、作品の写真は少ないように感じてしまいますが、内容が素晴らしいからもっと作品見たいーと思ってしまうんでしょう、大満足です。
巻末に用語集もありますし、読書に慣れている方なら問題なく読めると思います。
この本をきっかけにして、作品を中心に扱った本を読みたくなりました。
美術作品に興味を持ち始めた方にはおススメです。
最近美術館に行く楽しさを覚えましたが、まったく知識がないのでどことなく上っ面をなぞっているだけのような鑑賞に不満がありました。
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美術作品に興味を持ち始めた方にはおススメです。
2018年11月24日に日本でレビュー済み
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新品同様の質であったため、透明なブックカバーをつけ、大切に活用しております。