爽快でアッパーな曲や、優しい美メロが際立って人気があったFEEDER。
アルバム『silentcry』以来休止してしまったと思ったら、『レネゲイズ』で目が覚めるような再スタートを切り、続くアルバム『ジェネレーションフリークショウ』で、レネゲイズで見せた荒々しい激情ダイレクトなロックと以前までのFEEDERの美メロや爽快なポップ性を融合して、ファンに応えたFEEDER。
それから4年?だろうか。今度は公に活動休止を宣言し、グラントもタカも、それぞれが好きなように動いていた。そこで深まり生じた音楽性が、かなりあったのだろう。
この再始動の狼煙のアルバム『オールブライトエレクトリック』には、そういったものが詰まっているようだ。
はっきり言って、悪い意味では、
「久々のFEEDERだー!やったー!」という気持ちで購入したひとは、「FEEDERっぽくないじゃないですかー!ヤダー!」となってしまうアルバムだと思う。
それだけ、今までとは違うことでかなり魅せてきたアルバム。
ただ、それでもずっとFEEDERを愛してきたファンには、間違いなく買いの一枚だと思う。
これはパーティでもして迎えるべき、そんなアルバムではないか。グラントとタカがそれぞれのやりたいことをやった4年。それでもFEEDERという姿でやっていくことを選んでくれたのだ。そして旅で得た音楽性の広がりを、このアルバムで披露してくれた。
YouTubeでプロモーションされた3曲「エスキモー」「ペーパーウェイト」「アナザーデイオンアース」は、比較的ポップで、すっと心に鳴っては消える、清々しさのある曲だ。
ただ、その他の曲は、非常に深みや陰影のある音世界になっている。
一曲一曲が、とても味わい深い絵画のようになっている。
流し聴きには向かないアルバム。しかし素晴らしく上質な深い音楽表現で埋め尽くされている。
2017年9月末には(非常に嘆かわしいことに日本版の発売はなかったが)
再始動を記念してか、二枚目のベスト・アルバムが発売された。
YouTube視聴してチェックしている人はご存知だろうが、もうこのアルバム以降の新曲が発表されていて、やはりレネゲイズのあとのジェネレーション〜同様、
新しい表現を手に入れてアルバムにしたあとには、それまでのFEEDERの良さと最高に融和させたような、とても気持ちがいいアルバムを出してくれる曲たちだ。
「the best of」の3枚組のデラックスエディションには、このオールブライト〜以降にネット上で発表した曲をつめた『arrow』というミニアルバムがついている。
きっとオールブライトエレクトリックで魅せたディープさと、それまでの爽やかでアッパーなフィーダーらしさの融合した姿をみんなにみせてくれることだろう。
とにかく、このアルバムは、フィーダーの得た新たな深みある表現が詰まっている。
新生フィーダーの起点になったアルバムとして、そして高い芸術性に、賞賛を送らざるを得ない。よくこんなバンドにまで成長してくれた、と。
まあポップじゃなかったけどね。シリアスなりミステリアスな繊細な曲が多いのです。けど次のarrowに入る新曲は、本当に明るくて美しい。
フィーダーはその『深い美』を手に入れた
このアルバムは、それを示したアルバムだと思います。
これからもファンだなぁという人、そしてベスト・アルバム以降ファンになった人には、チェックすべきアルバムだと思います。
たぶん今後のフィーダー次第で評価が上がってくる一枚でしょう。