オープンソースについては、「無償ソフトウェア」に代表されるように誤解されていることも多い。オープンソースを利用している人たちだけでなく、開発している人でさえ、オープンソースを正しく理解しているとは限らない。オープンソースの定義はあっても、その解釈は人によって様々である。そんなオープンソースを、本書は少しひいた位置から様々な角度から光を当てて浮かびあがらせている。定番のオープンソースの概要、ライセンス、軌跡について解説してあるが、単にオープンソースのソフトウェアを紹介するような部分的な議論をばっさり省き、オープンソースという概念を理解するために、メリット、現状、課題について必要な議論を広げており、オープンソース自体から今に至るまで、知識として身につけられるようになっている。
もう少し深い議論を期待したいところであるが、読み物としてのオープンソース本としては、ここがぎりぎりの範囲であり、これ以上の議論となると木を見て森を見ずになってしまうかもしれない。
帯にある『オープンソースは、「無償」ではありません。オープンソースは、「著作権を放棄」していません。』も、ドキッとする本質を突いたキャッチであり好感が持てる。
オープンソースを点で理解するのではなく、面で理解するのには最適の一冊。オープンソース関係者ばかりではなく、商用ソフトウェア一筋の方にもぜひ読んでいただきたい。
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