指摘するのも野暮なんだろうけど、
指揮者はタクトを振る係の人ではない。
タクトの振り方ひとつですごいハーモニーが生まれるなら、AIロボットで済む。
音楽から離れていた寄せ集めオケだけど、ぶっつけ本番で当日に奇跡が起こる?
ないない。起こりません。
もしそれが起こるなら、逆に音楽への冒涜です。
9回裏で逆転勝利!とか、戦禍をかいくぐって生還!などとは、意味が違う。
文字通り血の代償を払うことになった30年前の日々も、すべて愚弄されてしまう。
アンドレイはパリに来るのに苦労はしたけど、音楽的には何もしてない。
当日タクトを振る必要もなかったんじゃないの?アンヌが指揮してるよね。
アンドレイが音楽を作り上げる話ならずっと良かった。
これも野暮なんだろうけど、
天才バイオリニストの娘が、外国で同じく天才バイオリニストになってました?
ないない。音楽一家っているけど、それは環境が作り上げるわけで。
生後数ヶ月で母親と生き別れてるのに、やっぱり血は争えないのね~ってのは無理がある。
DNAが仕事しすぎ。あるいは、ギュイレーヌさんの教育能力がすごすぎ。
命がけでアンヌを脱出させて育てるだけで大変なのに、
外国でプロまで上り詰める英才教育がよくできたね。その経済力はどこから?
二人の関係が異常にサバサバしている理由も謎。
乳児から育てて親子にも等しいはずなのに、ただの奏者とマネージャーにしか見えない。
ギュイレーヌが去る必要性もない。
にもかかわらず、ラストの感動がエゲツナイなこの映画は……。
音楽って偉大だと感じさせられます。
あと、このためにバイオリンをレッスンしたというアンヌ役の方、
女優魂がすごいですね。
感動させられたのに納得いかないっていう、なんだかモヤモヤする映画でした。