佐々涼子さんの新刊『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル・発行)を読み終えました。京都の診療所を舞台に、在宅医療に関わる医師や看護師、そして患者たちの6年間を追ったノンフィクション・・・と概要だけで片付けてしまうには余りにも重い内容でした。佐々さんはその診療所でひとりの男性看護師と出会います。ところが取材中、男性は自らもガンに冒され、49歳の若さで亡くなってしまいます。さらに佐々さんも、取材中に難病で母親を亡くします。在宅で献身的に母の介護を続ける父親の姿は、佐々さんにとって「家族とは何か」「自分の家で亡くなるとは何か」「生きる意味とは何か」・・・在宅看護の現場を取材する上で多くの示唆を与えてくれたことでしょう。看護師の男性との出会いと別れを縦軸に、佐々さん自身の体験を横軸に、幸せな命の閉じかたを考えさせてくれた、素晴らしい作品でした。陳腐な表現ですが、人は記憶の中で永遠に生き続ける・・・昨年、母を失って得た、「死」に対する私の感慨です。佐々さんの作品が、その思いを脳裡に甦らせてくれました。
※佐々さんのこの本、装丁もとても素敵です。ジャケットの写真も美しいですし、ジャケットを外すと、本体と標題紙の前にある遊び紙、さらに栞ひもがスカイブルーで統一されていて、重い内容を希望に満ちたものにするため、優しく包み込んでくれているようです。編集者のアイディアでしょうか。出版に関わった多くの方の愛情に包まれて産み出された幸せな本だなぁ、と思います。
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エンド・オブ・ライフ 単行本 – 2020/2/5
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「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2020年 ノンフィクション本大賞」受賞作
ベストセラー『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』の著者が、こだわり続けてきた「理想の死の迎え方」に真っ正面から向き合った。
2013年に京都の診療所を訪れてから7年間、寄り添うように見てきた終末医療の現場を感動的に綴る。
「命の閉じ方」をレッスンする。
200名の患者を看取ってきた友人の看護師が病を得た。「看取りのプロフェッショナル」である友人の、自身の最期への向き合い方は意外なものだった。
残された日々を共に過ごすことで見えてきた「理想の死の迎え方」とは。
在宅医療の取材に取り組むきっかけとなった著者の難病の母と、彼女を自宅で献身的に介護する父の話を交え、7年間にわたり見つめてきた在宅での終末医療の現場を静かな筆致で描く。
私たちに、自身や家族の終末期のあり方を考えさせてくれる感動ノンフィクション。
佐々涼子(ささ りょうこ)
ノンフィクション作家。1968年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒。
日本語教師を経てフリーライターに。
2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)で第10回開高健ノンフィクション賞を受賞。
2014年に上梓した『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(早川書房)は、紀伊國屋書店キノベス第1位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第1位、新風賞特別賞など数々の栄誉に輝いた。
2020年、『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)で第3回Yahoo!ニュース|本屋大賞 2020年 ノンフィクション本大賞を受賞。
「Yahoo!ニュース|本屋大賞 2020年 ノンフィクション本大賞」受賞作
ベストセラー『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』の著者が、こだわり続けてきた「理想の死の迎え方」に真っ正面から向き合った。
2013年に京都の診療所を訪れてから7年間、寄り添うように見てきた終末医療の現場を感動的に綴る。
「命の閉じ方」をレッスンする。
200名の患者を看取ってきた友人の看護師が病を得た。「看取りのプロフェッショナル」である友人の、自身の最期への向き合い方は意外なものだった。
残された日々を共に過ごすことで見えてきた「理想の死の迎え方」とは。
在宅医療の取材に取り組むきっかけとなった著者の難病の母と、彼女を自宅で献身的に介護する父の話を交え、7年間にわたり見つめてきた在宅での終末医療の現場を静かな筆致で描く。
私たちに、自身や家族の終末期のあり方を考えさせてくれる感動ノンフィクション。
佐々涼子(ささ りょうこ)
ノンフィクション作家。1968年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒。
日本語教師を経てフリーライターに。
2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)で第10回開高健ノンフィクション賞を受賞。
2014年に上梓した『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(早川書房)は、紀伊國屋書店キノベス第1位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第1位、新風賞特別賞など数々の栄誉に輝いた。
2020年、『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)で第3回Yahoo!ニュース|本屋大賞 2020年 ノンフィクション本大賞を受賞。
- 本の長さ320ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社インターナショナル
- 発売日2020/2/5
- 寸法13.4 x 2.5 x 19.4 cm
- ISBN-104797673818
- ISBN-13978-4797673814
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「死ぬ前に家族と潮干狩りに行きたい…」患者の最期の望みを献身的に叶えていく医師と看護師たち。最期を迎える人と、そこに寄り添う人たちの姿を通して、終末期のあり方を考えるノンフィクション。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐々/涼子
ノンフィクション作家。1968年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒。日本語教師を経てフリーライターに。2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)で第一〇回開高健ノンフィクション賞を受賞。2014年に上梓した『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(早川書房)は、紀伊國屋書店キノベス!第1位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第1位、新風賞特別賞など数々の栄誉に輝いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
ノンフィクション作家。1968年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒。日本語教師を経てフリーライターに。2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)で第一〇回開高健ノンフィクション賞を受賞。2014年に上梓した『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(早川書房)は、紀伊國屋書店キノベス!第1位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第1位、新風賞特別賞など数々の栄誉に輝いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 集英社インターナショナル (2020/2/5)
- 発売日 : 2020/2/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 320ページ
- ISBN-10 : 4797673818
- ISBN-13 : 978-4797673814
- 寸法 : 13.4 x 2.5 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 8,353位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
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2020年2月17日に日本でレビュー済み
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96人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年2月12日に日本でレビュー済み
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人生という舞台の幕を下ろす時、私に関わってくれた人たちに贈り物をして旅立てるだろうか。笑顔と拍手で送り出してもらえるだろうか。
母の枕元で最後に話をしたあの日を、介護に追われ大好きな仕事から離れなければならなかった友人の日々を、最愛の伴侶を亡くし新たな道を進んでいる友人の哀しみの日々を…思い浮かべながら一気に読み終えた。
1日1日を大切に生きよう!
他人事と避けて通りたいテーマを誠実に取材し書き上げたノンフィクションライターの6年。
彼女の覚悟、迷い、苛立ち、葛藤が痛いほど伝わってくる。読み始めると一気に引き込まれ、何度も心揺すぶられる。そして読み終えた時、空気が透き通るように感じる作品。
彼女の作品はすべて、冷静でありながら取材対象者に寄り添い、最後まで妥協せずに書き上げている。
まるで「鶴の恩返し」だ。己の羽毛を引き抜きながら機を織る鶴のようだ。産みの苦しみを誰にも見せずに輝く錦を織り上げる。心揺すぶられる作品に仕上がるのは、そんな不器用にも見える仕事への向かい方だからであろう。
『エンド・オブ・ライフ』帯には「命の閉じ方」とあるけれど、「命を楽しむ生き方」のレッスンとなりました。
母の枕元で最後に話をしたあの日を、介護に追われ大好きな仕事から離れなければならなかった友人の日々を、最愛の伴侶を亡くし新たな道を進んでいる友人の哀しみの日々を…思い浮かべながら一気に読み終えた。
1日1日を大切に生きよう!
他人事と避けて通りたいテーマを誠実に取材し書き上げたノンフィクションライターの6年。
彼女の覚悟、迷い、苛立ち、葛藤が痛いほど伝わってくる。読み始めると一気に引き込まれ、何度も心揺すぶられる。そして読み終えた時、空気が透き通るように感じる作品。
彼女の作品はすべて、冷静でありながら取材対象者に寄り添い、最後まで妥協せずに書き上げている。
まるで「鶴の恩返し」だ。己の羽毛を引き抜きながら機を織る鶴のようだ。産みの苦しみを誰にも見せずに輝く錦を織り上げる。心揺すぶられる作品に仕上がるのは、そんな不器用にも見える仕事への向かい方だからであろう。
『エンド・オブ・ライフ』帯には「命の閉じ方」とあるけれど、「命を楽しむ生き方」のレッスンとなりました。
2020年2月16日に日本でレビュー済み
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一気に読んだ。
320ページとぶ厚い本なのだが、それを感じさせなかった。
冒頭の、最期に家族で潮干狩りに行く話で、もう止まらなくなる。
途中で何度も涙腺が弛むシーンがあったが、読み終えてみると自分や身の回りの人たちへの心構えのようなものが自然と出来てくる。
テーマとしては重いものを扱っているのに、読後感はとても明るい。
同じ著者の「エンジェルフライト」もそうだったが、読んでいると場面が映像で立ち上がってくるような文章は、小説的と言ってもいいかもしれない。
だから、読者はどうしても自分の親族のことや近しい人のことを頭に思い浮かべて読んでしまうのではないだろうか。
それがこの作品の魅力だと思う。
著者はこの作品に7年かけたと書いているが、間違いなく彼女のライフワークになると思う。
320ページとぶ厚い本なのだが、それを感じさせなかった。
冒頭の、最期に家族で潮干狩りに行く話で、もう止まらなくなる。
途中で何度も涙腺が弛むシーンがあったが、読み終えてみると自分や身の回りの人たちへの心構えのようなものが自然と出来てくる。
テーマとしては重いものを扱っているのに、読後感はとても明るい。
同じ著者の「エンジェルフライト」もそうだったが、読んでいると場面が映像で立ち上がってくるような文章は、小説的と言ってもいいかもしれない。
だから、読者はどうしても自分の親族のことや近しい人のことを頭に思い浮かべて読んでしまうのではないだろうか。
それがこの作品の魅力だと思う。
著者はこの作品に7年かけたと書いているが、間違いなく彼女のライフワークになると思う。
2020年9月12日に日本でレビュー済み
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本書は著者が、「くにまるジャパン極」にラジオ出演した際に知った。
ちなみに著者は、エメラルドブルーの波間に花が浮かぶ表紙がとても気に入っており、
この装丁を手掛けた人とも何か縁があるような事を言っていたが忘れてしまった…
さて中身だが、文句無し。
こういった名著は本の側ではなく、いつだって読む側の問題。
何を受け取れるのか、読む側の感性、器量次第。
当方こういった本に出合った時、ひとつでいいから、本当にたったひとつでもいいから
末永く忘れないよう頭の片隅に爪痕を残しておきたいと思う。
本書でのそれが、これ。
「僕には、人に腹を立てたり、何かを悲しんだりする時間が無いんですよ」
主人公である森山氏のこの言葉、時が経っても忘れずにいたいと思う。
最近、芸人のだいたひかるさんが癌をはじめ、骨頭壊死などの病でネットに取り上げられることが増えた。
そこでチラッと読んだ記事で印象的だったのだが、
「いつまでも命が続くと思っていた時には、楽しむ事が下手だった気がします」と。
言うまでもないが、誰でも必ず死ぬ。
だから当然、時間は有限。
そこに視点があれば少なくとも今よりは、腹を立てたり悲しんだりするのは早めに切り上げ、
森山氏の発病から最後までの日々がそうであったように、そしてだいたひかるさんも言っているように、
楽しむ事にうまく時間を使える気がするのだ。
一点だけ注意と言うかテーマがテーマなだけに仕方ないのだが、読んでいて思わずネガティブな方に
グッと引っ張られる辛い現実も本書には描かれている。
だから自分のメンタルがマズイ状況だなと思う方は、少しだけ腹に力を入れとくと言うか、
ガードを上げとく必要があることも、あえて追記しておきたい。
ちなみに著者は、エメラルドブルーの波間に花が浮かぶ表紙がとても気に入っており、
この装丁を手掛けた人とも何か縁があるような事を言っていたが忘れてしまった…
さて中身だが、文句無し。
こういった名著は本の側ではなく、いつだって読む側の問題。
何を受け取れるのか、読む側の感性、器量次第。
当方こういった本に出合った時、ひとつでいいから、本当にたったひとつでもいいから
末永く忘れないよう頭の片隅に爪痕を残しておきたいと思う。
本書でのそれが、これ。
「僕には、人に腹を立てたり、何かを悲しんだりする時間が無いんですよ」
主人公である森山氏のこの言葉、時が経っても忘れずにいたいと思う。
最近、芸人のだいたひかるさんが癌をはじめ、骨頭壊死などの病でネットに取り上げられることが増えた。
そこでチラッと読んだ記事で印象的だったのだが、
「いつまでも命が続くと思っていた時には、楽しむ事が下手だった気がします」と。
言うまでもないが、誰でも必ず死ぬ。
だから当然、時間は有限。
そこに視点があれば少なくとも今よりは、腹を立てたり悲しんだりするのは早めに切り上げ、
森山氏の発病から最後までの日々がそうであったように、そしてだいたひかるさんも言っているように、
楽しむ事にうまく時間を使える気がするのだ。
一点だけ注意と言うかテーマがテーマなだけに仕方ないのだが、読んでいて思わずネガティブな方に
グッと引っ張られる辛い現実も本書には描かれている。
だから自分のメンタルがマズイ状況だなと思う方は、少しだけ腹に力を入れとくと言うか、
ガードを上げとく必要があることも、あえて追記しておきたい。
2020年12月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
帯にある「こんなにも心を揺さぶられるノンフィクション」「今年いちばん泣けた本」「闘病モノは読みたくない。そんな先入観は飛び去り、すぐに引きずり込まれた」という好評に惹かれ早速読んでみたが、かなり涙もろい私に、この本は全くつまらなかった。
先ず、それぞれの患者さんやその家族・友人達の苦悩や苦痛にスッと入っていけないのだ。患者さんの心の動きを探り出し描写する代わりに、周囲の景色を縷々細々と書き表すという、著者独特の詩歌・韻文的な表現手法に今一馴染めなかったせいか?
この手の本が屡々引用する「シシリー・ソンダースの 4種類の痛み (p.71)」と「エリザベス・キューブラー・ロスの死の受容までの 5段階 (p.77)」も例に漏れず出てくるが、折角数ページをかけて解説が加えらているその「理論」が、個々の患者さんの現状を詳らかにしている訳でもない。
また、それぞれのエピソードが、「2013年:今から 6年前のこと」に始まり、「2018年: 現在」に移り、2013年と 2018年を行ったり来たりした後で「2019年: (これは未来か?)」に飛び、再び 2013年、2014年、2019年と、時間軸上を恣意的に往来する(右往左往する)手法にも、私は上手く乗っていけなかった。
もしかしたら、これは私自身の責任か? 2年半前に、1年2ヶ月の壮絶な闘病治療の甲斐無く、一人息子を急性白血病で亡くし、現在では自分自身が食道ガンの宣告を受けている。心がカサカサになってしまったのだろうか? いや、それは考えられない。他に心を揺さぶられた本は今年出版されたモノの中に何冊もあるからだ。
著者と読者の相性としか思えない。他の書評諸氏には申し訳ないが、私にはこの本の良さが分からなかった。
先ず、それぞれの患者さんやその家族・友人達の苦悩や苦痛にスッと入っていけないのだ。患者さんの心の動きを探り出し描写する代わりに、周囲の景色を縷々細々と書き表すという、著者独特の詩歌・韻文的な表現手法に今一馴染めなかったせいか?
この手の本が屡々引用する「シシリー・ソンダースの 4種類の痛み (p.71)」と「エリザベス・キューブラー・ロスの死の受容までの 5段階 (p.77)」も例に漏れず出てくるが、折角数ページをかけて解説が加えらているその「理論」が、個々の患者さんの現状を詳らかにしている訳でもない。
また、それぞれのエピソードが、「2013年:今から 6年前のこと」に始まり、「2018年: 現在」に移り、2013年と 2018年を行ったり来たりした後で「2019年: (これは未来か?)」に飛び、再び 2013年、2014年、2019年と、時間軸上を恣意的に往来する(右往左往する)手法にも、私は上手く乗っていけなかった。
もしかしたら、これは私自身の責任か? 2年半前に、1年2ヶ月の壮絶な闘病治療の甲斐無く、一人息子を急性白血病で亡くし、現在では自分自身が食道ガンの宣告を受けている。心がカサカサになってしまったのだろうか? いや、それは考えられない。他に心を揺さぶられた本は今年出版されたモノの中に何冊もあるからだ。
著者と読者の相性としか思えない。他の書評諸氏には申し訳ないが、私にはこの本の良さが分からなかった。
2020年9月25日に日本でレビュー済み
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生と死の間には境があるのだろうか。私の次男は悪性の脳腫瘍で約8ヶ月の入院闘病の末、16歳の若さで旅立ちました。来月の命日で4年になります。本著作を読んでいて、何箇所も現実と重なる記述があり、そのたびに目頭が熱くなってしまいました。でも涙を流すことはやめようと思いました。理由はわかりません。闘病途中、医師から延命措置を行うかどうか相談されました。家族の意見は分かれましたが、最終的にはしない旨を医師に回答しました。それが正しかったのかどうか、次男の意思に叶っていたのかは今でもわかりません。私はもうすぐ54歳となります。あと20〜30年の人生だと思いますが、答えが見つかるのかどうか。先逝く人は遺された人に幸福に生きるためのヒントを与えると記述がありました。毎朝、仏壇に手を合わせ、日々の行動を報告していますが、特に不幸なことはここ2年程起きていません。それから、旅立つ人はみんなにとって一番いい日を選ぶと記述がありました。次男の命日は私たち夫婦の結婚記念日です。これからも生きることの意味を考えさせられる良書でした。
2020年3月30日に日本でレビュー済み
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生きるとは…死ぬとは…。病気で期限を切る様に医者に言われた時にやはり認める事すら私にはできませんでした、そして別の病気が発覚した時にも…すがり、拒絶と受入を交互に繰り返す前に自分に向き合うことすらもしなかった…。私にはこの本は教科書にもバイブルにも思えます。以前別の作家さんが人間には明日死ぬと分かった時にも良き人生だったと言える、人間にはその力があると言ってましたが、友人であった氏の生き様、看取りと向き合った、佐々さんはそれを文字に起こし一冊の本にまとめました。死だけでなく、今の生、医療に、寄り添ってます…素晴らしい作品をありがとうございました。
2020年5月9日に日本でレビュー済み
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エンゼルフライトに引き続き、本書を読みました。人が実際に亡くなるにあたって、その人が何を思い、どう生きるのか様々なエピソードを通じて改めて考えさせられます。死は誰にでも訪れるものですが自分には無縁と思いながら人は生きているものです。自分の親を亡くし、周囲で知っている人が亡くなっていく年齢になると死というものを感じ始めます。日々その瞬間を大切に生きること、自分が最後まで大切にしていきたいものは何なのかということを考えさせられました。実際の死にはいろいろなパターンがあり、ここに取り上げているような感動、余韻を残すもの(死者に教えられる、死者が残された人に贈り物を残す等)ばかりではなく、周囲を巻き込み、苦しませ壮絶な終わりを迎えるものもあります。この本にもそうした例も若干ですが記載されていました。本書にも引用されていうキューブラ・ロスの本と併せて読むとよいように思います。この本で取り上げられている人の多くはたどり着いているようですが、ロスが示している最後の段階 受容 まで人はなかなかたどり着かない。私が死を迎えるときはどうであろうか。いろいろなことを考えさせてくれる良書で、涙し胸が熱くなる部分も多々あります。佐々さんの文書はとても読みやすく心に入ってきます。