兄のリドリーと比較されて何時も下に見られるトニー・スコット監督だが、彼の作品には常に明確なアンチテーゼやテーマ性があり、それを過去や未来ではなく、現代の中で扱う姿勢に自分は共感している。確かに歴史スペクタクルやSF話題作にはならない映像的には普通の映画だが、扱いにくいテーマを比喩ではなく現在進行形の社会でストレートに出して勝負する姿勢は単純な様で凄く勇気ある監督だと思う。
本作も国家安全保障局や「通信の保安とプライバシー法」なる公安ポリシーと国民プライバシーの相剋を主題に、情報スキル満載の頭脳戦やカーアクション、家族愛も絡めて上手く構成している。行き過ぎた国家公安への批判は近年ではマット・ディモン主演の「ボーンシリーズ」が有名だが、1999年に先鞭を着けた本作の役割は大きい。
最新のスパイ映画に見馴れた今では普通に見えるストーリーは、当時は破格に上手く出来ていて、確りしたメイン軸と伏線の使い分けが巧みだ。特にジーン・ハックマンの登場をあそこまで引っ張る脚本が凄い。後半、彼の素性を紐解きながらの反撃はスリリングだ。ウィル・スミスとは仲間なのか敵なのか、二人の絶妙な距離感や力関係の変化が面白く、後年の同ジェリー・ブラッカイマー製作の「ザ・ロック」でのニコラス・ケイジとショーン・コネリーの関係に引き継がれている。
ウィル演じるディーンが次第に成長する様子に、国民が今後身構えるべき個人情報管理社会リスクが示され、ジーン演じるライルにホワイトハッカーの必要性が暗示されている。
脇役もインテリ悪役の定番ジョン・ヴォイトに、貫禄イタリアンマフィアのトム・サイズモア、オタク感満点のジャック・ブラック、好戦的な海兵工作員にバリー・ペッパーと曲者を揃え、全編に亘ってキャラそれぞれの慢心や焦り等の感情変化が味わえる。
その後に起こった9・11対テロ報復活動やデジタル監視社会化を鋭く予見した本作は、演者だけでなく早いテンポや渋いセリフ回しも含めて完成度が高く、ブラッカイマー好きには特にお薦めな社会硬派アクションの傑作です。
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