ホイールダック2号という仮想ロボットキャラの冒険物語仕立てという構成を、読む前は有りがちなマンガでわかると題された一般向けの読み物ぐらいに思っていたのですが、読まれた方は知ってのとおり、実物は大学の講義での使用を想定した専門書です。
ですが、実際に読んでみると、迷路を抜けて宝物を探してスフィンクスと対決するというストーリーが非常に面白いし分かりやすかったので星5つです。著書の先生のコンセプトの勝利だと思います。
取り上げている題材も多彩なのにストーリーが無理なく展開しているのも流石です。
ちなみにこの本を読む人は当然承知のことと思いますが、昨今人工知能扱いされている (パーセプトロンを含む)ニューラルネットワークは申しわけ程度しか顔を出しませんが、この本のかちを下げるものではないと思います。
逆に読みどころを挙げるとしたら、著者の先生の専門がロボット系の人口知能のためだと思いますが、他の人工知能の教科書ではまず見かけない制御系の話題のカルマンフィルタと粒子フィルタ(パーティクルフィルタとも表記がされるようです)の解説だと思います。
いずれにしても最後のスフィンクスの謎かけがあまり謎になっていない気がするので、いつの日か改訂版を出すときが来れば、最近の深層学習系の自然言語処理の話題を踏まえた、もうひと捻りした謎かけ(良く有る例で言えば分散表現のking - man + womanとか)にしてもらえれば最高ではないかと思います。
ところで、この大手出版社の他の学術書と同様に、この本も色刷りの一方で紙質が良くないわけですが、主役のホイールダック2号が出口と宝箱を求めてさ迷うダンジョンには、この紙質が合っている気もします。
それとそもそもの「イラストで学ぶ」という書名ですが、表紙にもあるとおり本文中の随所にイラストが挿入されているわけですが、ほとんどがそこで解説されている話題の説明には関係しないのでちょっと違う気がしたりもします。
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