ルネッサンス期の絵画を章毎に4枚取り上げて、その意味するところを掘り下げてみるという構成です。
各解説は、豊富な図版を交えながら、他の学者による解釈やその背景となる予備知識を説明し、最後に作者自身の解釈を提示するという構成になっています。この意味解釈を読んでいるだけでも面白いですし、より深く絵画を理解したいという人には、どのように絵画を読み解いていくかの一種のケーススタディになっていると思います。
初学者向けの短期講義がベースになっているそうですが、その目的どおり、絵画をただ見てきれいだな、といった感想を持つ段階から、もう一つ踏み込んで理解できるようになりたいと思っている人にお勧めできると思います。
イメージを読む (ちくま学芸文庫) 文庫 – 2005/4/1
若桑 みどり
(著)
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ISBN-104480089071
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ISBN-13978-4480089076
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出版社筑摩書房
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発売日2005/4/1
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本の長さ254ページ
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
絵画は美しいのみならず、描かれた時代の思想・宗教観を密かに映し出している。ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、デューラーの『メレンコリア』、ジョルジョーネの『テンペスタ(嵐)』。世界の名画のなかでもとくに謎に満ちたこれらの作品から、絵画の隠された謎をさぐる。画家が本当に描きたかったのは何か、何に託してその意図を伝えたか?美術研究の成果を存分に駆使しながら、絵画に描かれた思想や意味を鮮やかに読み解くスリリングで楽しい美術史入門。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
若桑/みどり
1935年、東京生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科専攻科修了。イタリア政府給付留学生としてローマに留学。千葉大学名誉教授。川村学園女子大学人間文化学部生活文化学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1935年、東京生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科専攻科修了。イタリア政府給付留学生としてローマに留学。千葉大学名誉教授。川村学園女子大学人間文化学部生活文化学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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2020年8月27日に日本でレビュー済み
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殿堂入りベスト500レビュアー
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著者は学生のための美術鑑賞入門書として出版したようだが、それほど易しい内容ではないことは事実だ。それは文章の晦渋さではなく、彼女の文章には常に直感的な閃きをベースにした敢然たる主張がある。何の準備も予備知識もない読者がそれに出くわすと理解不能な状態に陥ってしまうこともあるだろう。また彼女自身本文中でも明言しているように「芸術とは作るにせよ、享受するにせよ、きわめて思想的なこと」で、ある作品を前にしてその思想を探り、理解するということは単に一通りのイコノロジーを学ぶだけでは済まされない奥深さがある。芸術に限らず、解明されていない部分に直感を働かせて予想することはごく全うなアクションであり、それだけの裏付けに支えられた直感であれば真理に迫ることも可能な筈だ。美術史家として著者は常に挑戦的で、また正直な探求者だったと思う。私には彼女のそうした姿勢が興味深い。
一例を挙げればロイ・ドリナー及びベンジャミン・ブレックの共著によって2008年に出版されたThe Sistine Secrets『システィーナの秘密』はミケランジェロのフレスコ画を彼ら独自の検証と解釈でその秘密を明らかにした新しい論文だが、そこには既に若桑氏が生前予見していた「ミケランジェロが言いたくて、言えなかったこと」が事細かに証明されているし、また天井画を発注したユリウス二世への痛烈な揶揄も見て取れる。勿論総ての研究者が諸手を挙げて賛同しているわけではないが、非常に説得力があり、一読の価値はある。
本書はこうした美術作品の解明作業の手助けになるガイドとしてかなり高度な考察を要求しているので、入門書の域を出ている。またオリジナル作品を鑑賞することが大前提になるので、ここに掲載されている不鮮明な白黒写真はあくまでも便宜上のイメージとして参考にすべきものだ。むしろこの直後にNHKブックスから出された『絵画を読む』の方がより具体的な解説が加えられた、実用書として配慮されている。
一例を挙げればロイ・ドリナー及びベンジャミン・ブレックの共著によって2008年に出版されたThe Sistine Secrets『システィーナの秘密』はミケランジェロのフレスコ画を彼ら独自の検証と解釈でその秘密を明らかにした新しい論文だが、そこには既に若桑氏が生前予見していた「ミケランジェロが言いたくて、言えなかったこと」が事細かに証明されているし、また天井画を発注したユリウス二世への痛烈な揶揄も見て取れる。勿論総ての研究者が諸手を挙げて賛同しているわけではないが、非常に説得力があり、一読の価値はある。
本書はこうした美術作品の解明作業の手助けになるガイドとしてかなり高度な考察を要求しているので、入門書の域を出ている。またオリジナル作品を鑑賞することが大前提になるので、ここに掲載されている不鮮明な白黒写真はあくまでも便宜上のイメージとして参考にすべきものだ。むしろこの直後にNHKブックスから出された『絵画を読む』の方がより具体的な解説が加えられた、実用書として配慮されている。
2006年9月17日に日本でレビュー済み
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「イメージを読む'美術史入門」は著者の最初の啓蒙書、「絵画を読む'イコノロジー入門」はそのすぐ後に書かれた啓蒙書で、先を初級用、後を中級用と言っていますが、その二つを比較してみると、前者がより思想的であり、後者は個々の作品の解釈に重点がおかれているようです。
この書物は文庫化にあたって元の書物をいくらか改訂しています。改訂は読者にたとえこれが啓蒙書でもあって何らかの指示があるとうれしい。新たな解釈が出るたびにときには改訂をせまられるという事情が「歴史としての」美術史にはあるからです。日本の書物は改訂を拒否するのが慣例(当時の著者の立場を思い出にしたいという学問的脆弱性(甘え)がその理由)となっているから、逆に改訂したことを書いて欲しかった。
レオナルドとミケランジェロとの対決の場面。レオナルドはミラノに「晩餐」書いたあと、ミラノのフランス占領で、新たな手法(彼を特色づける有名な輪郭線のない明暗によるグラデーション手法'キアロスクーロ手法)をたずさえてフィレンツェに戻ってくる。大英博物館にある「聖アンナと聖母子」というカルトン、ただの紙に書かれたデッサン。大反響をよび、ミケランジェロもラッファエッロもこの絵を見にきています。これは彼の「絵画論」(ダ・ヴィンチの手記)に示されている最初の例示です。物体を知覚するのは光と網膜の現象によるというリアリズムは、バロックから印象派まで絵画の主流となります。
それに対してミケランジェロは「岩窟の聖母」に類似の聖母子、「ドーニ家の聖家族」を描く。この絵は色彩もあざやか、輪郭もくっきり、鮮明で影がない。マリアの着物は慈悲の赤、ヨセフは信仰の青。彼はこの絵で視覚の現象を描くものではなく、思想の表現の手段と考えて、レオナルドに対抗する。
マリアは裸足で大地に座り、大地の娘であり、イエスはマリアよりも高所から与えられたことを暗示。ドミニコ会の考えで、マリアを、イエスをみごもったときだけ純潔だとする。
絵画は芸術家の理論の実践の場であり、思想の表現の場でもあり、闘争の場でもあった。思想をことばではなく、作品で示す思想家のことを芸術家だと若桑はいう。
ここには彼女の美術史家としての立場がよく示されています。
この書物は文庫化にあたって元の書物をいくらか改訂しています。改訂は読者にたとえこれが啓蒙書でもあって何らかの指示があるとうれしい。新たな解釈が出るたびにときには改訂をせまられるという事情が「歴史としての」美術史にはあるからです。日本の書物は改訂を拒否するのが慣例(当時の著者の立場を思い出にしたいという学問的脆弱性(甘え)がその理由)となっているから、逆に改訂したことを書いて欲しかった。
レオナルドとミケランジェロとの対決の場面。レオナルドはミラノに「晩餐」書いたあと、ミラノのフランス占領で、新たな手法(彼を特色づける有名な輪郭線のない明暗によるグラデーション手法'キアロスクーロ手法)をたずさえてフィレンツェに戻ってくる。大英博物館にある「聖アンナと聖母子」というカルトン、ただの紙に書かれたデッサン。大反響をよび、ミケランジェロもラッファエッロもこの絵を見にきています。これは彼の「絵画論」(ダ・ヴィンチの手記)に示されている最初の例示です。物体を知覚するのは光と網膜の現象によるというリアリズムは、バロックから印象派まで絵画の主流となります。
それに対してミケランジェロは「岩窟の聖母」に類似の聖母子、「ドーニ家の聖家族」を描く。この絵は色彩もあざやか、輪郭もくっきり、鮮明で影がない。マリアの着物は慈悲の赤、ヨセフは信仰の青。彼はこの絵で視覚の現象を描くものではなく、思想の表現の手段と考えて、レオナルドに対抗する。
マリアは裸足で大地に座り、大地の娘であり、イエスはマリアよりも高所から与えられたことを暗示。ドミニコ会の考えで、マリアを、イエスをみごもったときだけ純潔だとする。
絵画は芸術家の理論の実践の場であり、思想の表現の場でもあり、闘争の場でもあった。思想をことばではなく、作品で示す思想家のことを芸術家だと若桑はいう。
ここには彼女の美術史家としての立場がよく示されています。
ベスト1000レビュアーVINEメンバー
「マニエリスム」についての解説が秀逸である。いまやごく一般的に使われだしたこの言葉の本来の意義を我々素人にもわかるように解説している。もともと大学等の講義録をまとめたものであるだけに文章がとてもこなれていて、私にとっては非常に読みやすく理解しやすいものであった。
「システィナ礼拝堂の天井画」「モナ・リザ」「メレンコリア'T」「テンペスタ」の4作品について、その作品が意味するところを解説する書物であるが、いかんせんこの文庫本は、モノクロ写真を使っているので、本文で述べられている画面の色彩等を正確にフォローすることは不可能である。とはいっても、世はインターネット時代。画集を持っていなくても「ウィキペディア」等でカラーの画像を確認することはできる。若桑はこの4作品について、古今東西の碩学の解説を披露した後で、著者独自の見解を述べている。自他共に認めているらしいが過激ともいえる発言もあってなかなかのものである。
最終章の「絵画が意味を持っている時代は過ぎ去った」とでも受け取れる発言は、情報発信の手段が種々様々な媒体に置き換わってしまった現代には仕方のないことかもしれない。オリジナル版は1992年に出版されたそうだが、若桑本人が言っているように「年月がたっている割には、内容的には古くなっていない。」とまで言い切る自信満々のこの女史のご高説、ゴリッパ。
「システィナ礼拝堂の天井画」「モナ・リザ」「メレンコリア'T」「テンペスタ」の4作品について、その作品が意味するところを解説する書物であるが、いかんせんこの文庫本は、モノクロ写真を使っているので、本文で述べられている画面の色彩等を正確にフォローすることは不可能である。とはいっても、世はインターネット時代。画集を持っていなくても「ウィキペディア」等でカラーの画像を確認することはできる。若桑はこの4作品について、古今東西の碩学の解説を披露した後で、著者独自の見解を述べている。自他共に認めているらしいが過激ともいえる発言もあってなかなかのものである。
最終章の「絵画が意味を持っている時代は過ぎ去った」とでも受け取れる発言は、情報発信の手段が種々様々な媒体に置き換わってしまった現代には仕方のないことかもしれない。オリジナル版は1992年に出版されたそうだが、若桑本人が言っているように「年月がたっている割には、内容的には古くなっていない。」とまで言い切る自信満々のこの女史のご高説、ゴリッパ。
ベスト500レビュアー
北海道大学で行われた講義を元にした、美術史入門。
ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、デューラーの『メレンコリア』、ジョルジョーネの『テンペスタ(嵐)』の4つの絵を取り上げ、そこには何が描かれているのかを、いろいろな解釈を紹介している。
著者によれば、そうした作品が何を描いているかということは、実はよくわかっていないという。
その上で、学生たちに、他人の解釈には捉われず、大胆に、自分の目で解釈することを奨めている。
ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、デューラーの『メレンコリア』、ジョルジョーネの『テンペスタ(嵐)』の4つの絵を取り上げ、そこには何が描かれているのかを、いろいろな解釈を紹介している。
著者によれば、そうした作品が何を描いているかということは、実はよくわかっていないという。
その上で、学生たちに、他人の解釈には捉われず、大胆に、自分の目で解釈することを奨めている。
2005年7月5日に日本でレビュー済み
西洋絵画の図像学の入門書。取り上げられた作品について深く知りたい人向けの本です。
西洋絵画の流れを知りたい人向けの本ではありません。
扱っている作品は、第1章で目次にも出ているミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画と関連して同じ礼拝堂の「最後の審判」。
第2章はレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」「最後の晩餐」「岩窟の聖母」。
第3章はデューラーの「メレンコリアI」
第4章はジョルジョーネの「テンペスタ(嵐)」
第1章~第3章は著者の豊富な知識から、書かれている物の意味、同時代の画家との比較などで構成され、特にダ・ヴィンチの作品では多くのページが割かれている。
第4章は著者の意見と言うよりは、過去の研究者の多くの解釈を紹介し最後に自分の信じる解釈を披露している。
星3つにしたのは、デューターの版画の図版が同価格の他の本より解像度が劣ることと、この著者に他の作品にも共通して言える事ですが、高階秀爾さん等同世代の美術史家に比べ、入門書であるにもかかわらず、文章(日本語)が判りにくいからです。
西洋絵画の流れを知りたい人向けの本ではありません。
扱っている作品は、第1章で目次にも出ているミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画と関連して同じ礼拝堂の「最後の審判」。
第2章はレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」「最後の晩餐」「岩窟の聖母」。
第3章はデューラーの「メレンコリアI」
第4章はジョルジョーネの「テンペスタ(嵐)」
第1章~第3章は著者の豊富な知識から、書かれている物の意味、同時代の画家との比較などで構成され、特にダ・ヴィンチの作品では多くのページが割かれている。
第4章は著者の意見と言うよりは、過去の研究者の多くの解釈を紹介し最後に自分の信じる解釈を披露している。
星3つにしたのは、デューターの版画の図版が同価格の他の本より解像度が劣ることと、この著者に他の作品にも共通して言える事ですが、高階秀爾さん等同世代の美術史家に比べ、入門書であるにもかかわらず、文章(日本語)が判りにくいからです。