まず、この本で指摘されていない点について触れておきたい。
サリン事件被害者の会はこの後でオウムおよび、その後継組織であるAlephに対して数十億円の賠償を求めた訴訟を起こしており、賠償金を得ている。
一人当たり最低でも数千万円。被害の大きかった方には数億円の賠償があったはずである。また賠償金の支払は2020年現在でも続いており、さらなる支払を団体は要求している。
被害者の会の発言として印象的なものに「我々の賠償金請求が国が行うことのない組織犯罪の抑止力として機能している」というものがある。このような発言からも被害者の会参加者の人間性が浮き彫りになる。団体にはこの本に登場するインタビューイーも多数参加している。
本文を読めば分かることだが、被害者の中にはかなり人間性に問題のある人がいる。被害者に同情するのは簡単だが、その裏側にある事実を認識すべきだと思う。
一方で村上氏のこの本におけるインタビューの姿勢は極めて誠実なものである。
彼は上記のようなインタビューイーの人間的愚かさを理解したうえで、個々の分析対象に過剰に感情移入することなく、集合的自我とでも呼ぶべき事件の全貌を中立的視点から浮かび上がらせることに成功している。
また、被害者サイドだけでなくオウムサイドからも事件を分析することにより、メディアの報道とは大きく異なる形で事件の真相に迫っている(詳しくは「約束された場所で」を御一読されたし)。
現代社会における悪とは何か、人の心の弱さと宗教の関係などについて考えるとき、この本から多くを学ぶことができると思う。
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アンダーグラウンド (講談社文庫) 文庫 – 1999/2/3
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1995年3月20日の朝、東京の地下でほんとうに何が起こったのか。同年1月の阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム真理教団による地下鉄サリン事件。この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているのか、62人の関係者にインタビューを重ね、村上春樹が真相に迫るノンフィクション書き下ろし。
- 本の長さ780ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日1999/2/3
- 寸法10.8 x 3 x 14.8 cm
- ISBN-104062639971
- ISBN-13978-4062639972
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
1995年3月20日の朝、東京の地下でほんとうに何が起こったのか。同年1月の阪神大震災につづいて日本中を震撼させたオウム真理教団による地下鉄サリン事件。この事件を境に日本人はどこへ行こうとしているのか、62人の関係者にインタビューを重ね、村上春樹が真相に迫るノンフィクション書き下ろし。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (1999/2/3)
- 発売日 : 1999/2/3
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 780ページ
- ISBN-10 : 4062639971
- ISBN-13 : 978-4062639972
- 寸法 : 10.8 x 3 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 10,525位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 2位その他の事件・犯罪関連書籍
- - 6位事件一般関連書籍
- - 116位講談社文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。
1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。
カスタマーレビュー
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2017年6月9日に日本でレビュー済み
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久しぶりに村上ワールドへと思い、Kindle版を探すも村上春樹氏の作品のKindle版は異常に少なく、アンダーグラウンドを購入してみました。
小説ではなく、1995年3月20日の地下鉄サリン事件に巻き込まれた方々62名へのインタビュー集です。
当たり前ですが、被害者一人ひとりにはそれぞれの背景があり、特に遺族の話しには目頭が熱くなります。
非常に深く、重い本です。読み終わるのも時間が掛かりました。
が、読むべき本だと思います。
小説ではなく、1995年3月20日の地下鉄サリン事件に巻き込まれた方々62名へのインタビュー集です。
当たり前ですが、被害者一人ひとりにはそれぞれの背景があり、特に遺族の話しには目頭が熱くなります。
非常に深く、重い本です。読み終わるのも時間が掛かりました。
が、読むべき本だと思います。
2018年8月2日に日本でレビュー済み
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「慟哭 小説・林郁夫裁判 」を先に読み、これを読みました。きっかけは、先日、オウムの死刑囚の刑が執行され、なんとなく気になり、色々調べているうちにこの二冊にたどり着きました。
地下鉄サリン事件実行犯としてただひとり、死刑にならなかった林郁夫。彼は今、何を思い日々を過ごしているのか。そのようなことを考えているうち、どうしても被害にあわれた方々の言い分も聞いてみたくなりました。
途中、胸がつまり、読めなくなりそうになりましたが、最後まで読んで思うことは、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表したいということと、被害にあわれた方々、そのご家族にはただただ、少しでも穏やかな人生を歩んでいかれることを願ってやみません。
地下鉄サリン事件実行犯としてただひとり、死刑にならなかった林郁夫。彼は今、何を思い日々を過ごしているのか。そのようなことを考えているうち、どうしても被害にあわれた方々の言い分も聞いてみたくなりました。
途中、胸がつまり、読めなくなりそうになりましたが、最後まで読んで思うことは、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表したいということと、被害にあわれた方々、そのご家族にはただただ、少しでも穏やかな人生を歩んでいかれることを願ってやみません。
ベスト500レビュアー
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オウム事件の死刑囚に死刑が執行されたのを機に再読しました。
1995年に起きた地下鉄サリン事件に遭った人たち62人に村上春樹がインタビューしたノンフィクション。
オウム=加害者、市民=被害者の構図をひとまず措いて、それぞれの生い立ち、あの日のことが淡々と語られます。
口を開いた人のなかには、寝たきり状態になってしまった妹に寄り添う兄、夫が事件の犠牲になったときは妊娠中だった妻やその親族もおられました。なぜ自分たちが。とりわけその章は理不尽に押しつぶされるようで読むのが辛かった。
巻末では、私たちはなぜオウムを毛嫌いし、目を背けようとしたのか、オウムと我々は合わせ鏡のようなものではないかと考察。「普通」とは何か、考えるヒントが隠されているような気がします。
1995年に起きた地下鉄サリン事件に遭った人たち62人に村上春樹がインタビューしたノンフィクション。
オウム=加害者、市民=被害者の構図をひとまず措いて、それぞれの生い立ち、あの日のことが淡々と語られます。
口を開いた人のなかには、寝たきり状態になってしまった妹に寄り添う兄、夫が事件の犠牲になったときは妊娠中だった妻やその親族もおられました。なぜ自分たちが。とりわけその章は理不尽に押しつぶされるようで読むのが辛かった。
巻末では、私たちはなぜオウムを毛嫌いし、目を背けようとしたのか、オウムと我々は合わせ鏡のようなものではないかと考察。「普通」とは何か、考えるヒントが隠されているような気がします。
2021年9月21日に日本でレビュー済み
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地下鉄サリン事件の被害者に村上春樹が行ったインタビューを書籍化したもの
物凄い労力を要した仕事だと思うし、かなり辛い思いをしながら出来上がったものだと思います
著者の努めて被害者のありのままを書こうとした姿勢にも共感できます
こうした本が出ることの社会的意義も感じ取ることができます
村上春樹が感じてしまったこの事件のやるせなさに私も心を揺さぶられました
でも、読んでてこっちも辛くなってくる上に、インタビューも膨大で、しかも淡々と語られるんです
私は半分くらいで挫折、ずっと飛ばして巻末だけ読みました
不真面目な人には向かないです
物凄い労力を要した仕事だと思うし、かなり辛い思いをしながら出来上がったものだと思います
著者の努めて被害者のありのままを書こうとした姿勢にも共感できます
こうした本が出ることの社会的意義も感じ取ることができます
村上春樹が感じてしまったこの事件のやるせなさに私も心を揺さぶられました
でも、読んでてこっちも辛くなってくる上に、インタビューも膨大で、しかも淡々と語られるんです
私は半分くらいで挫折、ずっと飛ばして巻末だけ読みました
不真面目な人には向かないです
2018年12月16日に日本でレビュー済み
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現在20代の自分にとっては、ほとんど当事者意識のない過去の事件でした。
戦争で使われるレベルの化学兵器が、一般市民に対して無差別に使用されたという事がどれほど恐ろしい事だったのか。数百ページもある生々しいインタビューの内容を読んでいるといやでも実感させられました。
内容はとても重いものですが、この日本で起こった事実を詳細に知っておくために、本書はとても役立つと思います。
決して人ごとではなく、明日自分の身に起こったらという姿勢で読むと、より一層事の重大さを感じながら読み進める事が出来るかと思います。
戦争で使われるレベルの化学兵器が、一般市民に対して無差別に使用されたという事がどれほど恐ろしい事だったのか。数百ページもある生々しいインタビューの内容を読んでいるといやでも実感させられました。
内容はとても重いものですが、この日本で起こった事実を詳細に知っておくために、本書はとても役立つと思います。
決して人ごとではなく、明日自分の身に起こったらという姿勢で読むと、より一層事の重大さを感じながら読み進める事が出来るかと思います。
2020年7月3日に日本でレビュー済み
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地下鉄サリン事件について、村上さんがこの本に取り組んでくださったことに感謝いたします。オウムの信者へのインタビューを集めた『約束された場所で』とあわせて読みました。『アンダーグラウンド』からは、複数の地下鉄で起こった事件の複雑な様相はもちろんですが、そこに居合わせた方々の人生や人柄を身近に感じることができ、事件を自分の身近な人に起こったことのように生身の感覚で感じました。今でも読むと涙がでてきます。また、『約束された場所で』からは、オウムの信者というと特別な人びとのように思ってしまいがちだったのですが、どこにでもいる普通の人がふとしたきっかけでそうした世界に入っていく様子や、オウムの信者と言ってもいろいろな方がいることがわかりました。この作品とあわせて読むと、事件の背後にあったものの様相を深く考えさせられます。






