ただの恋愛漫画…主人公の性格は悪く、覚悟もない。(すいません、長いです。ネタバレも少しあります。)
沢山レビューされているが本作は良くも悪くも恋愛漫画だと思います。まぁ、良いところは絵が上手い所くらいしか思いつかないが。
本作はまず、絵を描くことが大好きな貴族の娘が、家が破産?取り潰し?したのを機に画家として生きていこうとする所から話は始まる。ところが当時の絵の仕事というのは徒弟制。男社会であるその世界では弟子にさえ取ってもらえない。ただ、偶々変わり者の画家がいたため、その人になんとか頼み込んで、髪を切るという覚悟まで見せ弟子入りを果たす。当然主人公のアルテはそれが幸運だということを分かっており、絵1本で生きていくためにも、女を弟子に取った師匠の面子のためにも、この男社会で必死にやっていこう、と決意して物語が進んでいく。
ところがそこから数話もしないうちに主人公のアルテは師匠に恋をし始める。そして仕事に身が入らない。…はぁ?!いや、おかしいでしょう!もう帰るところもない、不利な環境で生きていかなければならない少女がしていい行動だろうか?自分の不名誉がそのまま男社会で女の弟子を取った師匠の評価を下げることになる事を知っている少女の行動だろうか?もし今の日本に住んでいる少女達(この本のターゲット層達)が唐突にこの主人公になったとしても、アルテ程頭のぶっ飛んだ行動は取らないと思う。まず最初は仕事を必死に覚えるべきでは…?ターゲットにしてる読者層を馬鹿にしすぎではないでしょうか。案の定師匠からはちゃんと仕事せえやと注意されるも、本人はドキドキ💓しちゃって仕事が身に入らな〜い!…マジかこいつ頭おかしいんじゃねぇの?とまず衝撃を受けた。
話が進んで、職人の工房に行くことになるアルテ(ごめんなさい、一巻じゃなかったかも)。その頃もうじうじ恋と(中途半端な)仕事に悩んで工房の人が来ないところで泣いていたアルテ(テメェん家のベッドで泣いてろ!)。そこに当て馬的なキャラが、どうしたの?泣かないで?と慰めに来る。するといきなりアルトはぶちギレ、優しくしないで!強く生きるの!と唐突にタイミング良く自分の初心を思い出し去っていく。…はぁ?!自分の職場でぐじぐじ泣いてる奴が居たらそりゃ声かけるだろ?普通の人間なら慰めるだろ?その人間に対して余りにも無礼ではないか?因みにこの慰めている少年はその後も度々出てくるが、毎回優しくしてくれてるのにもかかわらず、このアルテは毎回この人にだけ強気に、失礼な態度をとる。自分に優しくしてくれている、この人にだけ。自分に差別的な態度を取ってくる他の工房の男には強気に反発しない癖に、優しくしてくれる、自分を強く咎めない相手には無礼な態度をとる。正直ここら辺で彼女の性格が物凄く悪いのでは?と思い始めた。しかも主人公も、ひょっとしたら作者でさえも性格が悪いと思っていない節がある。自分の感情にさえ正直であれば、義理、人情、礼節を欠いても構わないと言わんばかりの行動に、気持ち悪ささえ感じ始めた。
さらにさらに話が進むと、今度は貴族様の家庭教師に就職のアルテ。因みに絵の家庭教師ではない。何を言ってるのか分からないと思うがその通りなのだからしょうがない。貴族のお転婆娘を躾けてくれみたいな話だったと思う。色々な人に迷惑を掛けて絵の弟子入りを果たしたくせに、美味しい仕事が来たら、私知ーらねっと言わんばかりにころっと鞍替えする。絵の師匠は、向こうに行っても頑張れと激励してくれるのにも係わらず、絵の練習は一切してなかった。最初の決意はどうなったの?絵で生きていくんでしょ?というツッコミをしたのは私だけではないはず。
正直な私の予想を話すと、おそらくテコ入れが入ったんだと思う。話が面白くないから、貧民街で挫けず頑張る(頑張ってない)少女よりも、貴族に囲まれた煌びやかな生活の中で、ドタバタ恋愛漫画する方がターゲット層に受けると踏んだんだろう。
しかしここで問題になってくるのが、中世イタリアフィレンツェに対する文化、歴史的なバックボーンの無さ。説得力のある描写をしてくれればまだ耐えられるが、ぶっちゃけそんなにこの時代のこと知らないよね?っていうのがなんとなーく透けて見える。そもそも中世イタリアフィレンツェではそこまで労働者として女性は差別されてなかった、というツッコミはしても良いのか悪いのか。おそらくお見合いや親のツテで結婚するのがメインな文化の中で、恋愛ばかり考えてる主人公の脳みそは、まるで普通の女の子だよねー、という感想を通り越し突然変異したミュータントばりの不気味さになってるとは言って良いのか悪いのか。話が戻るが、結局この背景のなさから日本のお金持ちとの恋愛以上の説得力は生まれず、この時代のこの場所でやる意味がわからなかった。
また、漫画という絵を扱うジャンルであることから、絵に対する雑学、知識、この時代の有名な絵画や画家についても言及してくれるのかと思ったが、そういった話は殆ど無かった。いや一切無かったかも。この時代のルネサンス期の絵画なんて絵を扱う人種からしたら語りたくて語りたくてしょうがない話かと思ったが、そうではなかったらしい。絵を描く際の技術的な話ももちろん、ない。
以上の感想から以下のようなことではなかったのかと類推する。
絵の上手い漫画家がいる。有名な森薫ぐらいの腕だ。じゃあ森薫みたいな漫画描かせよう。当然アジアの遊牧民族の話はダメだ。そうだ中世ヨーロッパが良いだろう、貴族社会だし、好きな女の子多いでしょ?(これすら既にやってるが。)でも特に語るほどのこだわりはないなぁ、じゃあとりあえず恋愛漫画で行こう。漫画だし中世だしルネサンスで絵を描く女の子にしようか。テーマ?じゃあ…最近流行りの強い女性にしよう。差別と戦う感じで。といった感じで決まったのでは?と思ってしまう。正直作者が自主的に進んで描いてるとは思えない。編集に適当に決められたのでは?と勘ぐってしまう。それほどこの舞台への熱が感じられない。
ここまで絵が上手く漫画としての表現が上手いという事は、作者は相当な努力を重ねた事と思う。努力できるという事は何かを描くという事に熱が無ければ出来ないと思う。つまりはこだわりが無ければ出来ないことだ。この漫画は作者のこだわりを描いてるとは思えない。いつかこの作者が自分のこだわりを存分に叩きつけた作品に出会える事を願ってやまない。
正直絵の上手い恋愛漫画としてなら星3つ程をつけたかった。しかし余りにも主人公アルテが身勝手で性格が悪くどうしても好きになれない。本当に申し訳ないが不快感すらある。そういった理由でもって星1つとさせていただきました。
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アルテ 1 (ゼノンコミックス) コミック – 2014/4/19
大久保圭
(著)
16世紀初頭・フィレンツェ。
芸術など文化活動が花開いたルネサンス発祥の地。
そんな活気あふれる華やかなる時代に、貴族家生まれのアルテが画家工房への弟子入りを志願する。
女性がひとりで生きて行くことに理解のなかった時代、様々な困難がアルテを待ち受ける。
芸術など文化活動が花開いたルネサンス発祥の地。
そんな活気あふれる華やかなる時代に、貴族家生まれのアルテが画家工房への弟子入りを志願する。
女性がひとりで生きて行くことに理解のなかった時代、様々な困難がアルテを待ち受ける。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社徳間書店
- 発売日2014/4/19
- ISBN-104199802037
- ISBN-13978-4199802034
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商品の説明
著者について
2011年に鳴海圭名義で「ハンマーハンマー」(フェローズ18号)でデビュー。2012年からは大久保圭にペンネームを変更。2013年から初連載となる「アルテ」を開始している。
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カスタマーレビュー
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2019年2月10日に日本でレビュー済み
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282人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年1月29日に日本でレビュー済み
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エマ、乙嫁語りに関連したオススメとして表示されたのと、Kindle一巻無料だったので読みました。
全く合いませんでした。
その2作品のレベルを期待したのが間違いでした。
主人公が兎に角受け付けない。
少女漫画をある程度読んでいたら食傷気味のドジっ子主人公。
突如現れる意地悪だけど世話をやいてくれるイケメン。
髪を切り落として覚悟なんて正に「女」らしいですね。
巻数を重ねていけば主人公の成長が見られるのかもしれませんが、無理に読みたくもないので2巻以降の購入は無しです。
全く合いませんでした。
その2作品のレベルを期待したのが間違いでした。
主人公が兎に角受け付けない。
少女漫画をある程度読んでいたら食傷気味のドジっ子主人公。
突如現れる意地悪だけど世話をやいてくれるイケメン。
髪を切り落として覚悟なんて正に「女」らしいですね。
巻数を重ねていけば主人公の成長が見られるのかもしれませんが、無理に読みたくもないので2巻以降の購入は無しです。
2020年1月26日に日本でレビュー済み
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やたらと長文で悪態レビューされている方が居りますが、そんなレビューを読む時間が有るなら先ずは本作を読んで欲しい。
女性軽蔑の激しい時代、それに立ち向かうアルテの姿は力強く見える一方で、恋心を持ちつつも恋愛に疎いアルテは仕事の妨げになると葛藤している様はもどかしく、つい応援したくなる、
一人では乗り越えられない壁でも周りの人の助けで乗り越えたり、始めは蔑ろにしていた人もアルテの努力を認めて考えを変えたり、アルテ自信も次第に成長している姿が読んでいて気持ち良かった。
Kindleで0円だからと、お試しで読み初めたつもりが、翌日には既刊読破、翌々日にはコミックス揃えちゃいました(笑
アニメ化が決定してると聞いて納得です!
女性軽蔑の激しい時代、それに立ち向かうアルテの姿は力強く見える一方で、恋心を持ちつつも恋愛に疎いアルテは仕事の妨げになると葛藤している様はもどかしく、つい応援したくなる、
一人では乗り越えられない壁でも周りの人の助けで乗り越えたり、始めは蔑ろにしていた人もアルテの努力を認めて考えを変えたり、アルテ自信も次第に成長している姿が読んでいて気持ち良かった。
Kindleで0円だからと、お試しで読み初めたつもりが、翌日には既刊読破、翌々日にはコミックス揃えちゃいました(笑
アニメ化が決定してると聞いて納得です!
ベスト50レビュアー
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世界観や雰囲気、時代設定などには魅力を感じました。
ただ、巻が進むごとに女性画家を目指すアルテの行動についていけない、軸がブレブレで主人公としての魅力を感じられないため作品としての評価も低いです。
覚悟を持って女流画家の道を目指しているのかと思いきや?そうでもない。恋愛要素があってもいいが、恋愛にうつつをぬかすのは早すぎるだろうと思うし、画家としての修業よりも主人公が恋愛脳をこじらせている印象で…。
ただ、巻が進むごとに女性画家を目指すアルテの行動についていけない、軸がブレブレで主人公としての魅力を感じられないため作品としての評価も低いです。
覚悟を持って女流画家の道を目指しているのかと思いきや?そうでもない。恋愛要素があってもいいが、恋愛にうつつをぬかすのは早すぎるだろうと思うし、画家としての修業よりも主人公が恋愛脳をこじらせている印象で…。
2020年3月8日に日本でレビュー済み
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男社会の中に、努力と才能を武器に飛び込んでいく女主人公という、昭和の昔から、いや昭和の昔こそたくさんあるテーマの作品の一つ。だが、その中で特に跳びぬけたものがない凡作と言わざるを得ない。ムダゴマが多いので話が冗長に感じ、画家を目指す話なのに、肝心の絵がわからないので説得力に欠ける。
無料期間で2巻まで手に入れたけど、1巻の途中で読むのをやめる。
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ベスト500レビュアー
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大体のストーリーは
女性が蔑視されている時代に「大好きな絵」で生きていこうとする若い女性画家の話。
女は教養もなく生んで育てる機械のような扱いのなか、
主人公アルテのポジティブな行動力が未来を切り拓いていく。
とにかく主人公が魅力的で前向きで、その行動が良い方向に物語を進ませる様を見ているのは
とても楽しいです。
鬱な展開はほとんどなく、順調に才能を成長させて、徐々に周囲からも認められていく主人公です。
しかしこれをご都合主義とかヌルい展開とか波乱が足りないなんて思いませんでした。
なぜならこの「良い結果・展開」というのがちゃんとアルテの努力によるものと理解できるから。
「努力・勇気・絆」…王道の少年漫画のような気持ちのよい作品です。
女性が蔑視されている時代に「大好きな絵」で生きていこうとする若い女性画家の話。
女は教養もなく生んで育てる機械のような扱いのなか、
主人公アルテのポジティブな行動力が未来を切り拓いていく。
とにかく主人公が魅力的で前向きで、その行動が良い方向に物語を進ませる様を見ているのは
とても楽しいです。
鬱な展開はほとんどなく、順調に才能を成長させて、徐々に周囲からも認められていく主人公です。
しかしこれをご都合主義とかヌルい展開とか波乱が足りないなんて思いませんでした。
なぜならこの「良い結果・展開」というのがちゃんとアルテの努力によるものと理解できるから。
「努力・勇気・絆」…王道の少年漫画のような気持ちのよい作品です。
ベスト50レビュアーVINEメンバー
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中世イタリアの市民階層の豊かさはのちのオランダの市民文化の先駆けともいえるもので、貴族に匹敵する経済力を持つ市民が社会の中核を占めつつあった。その嗜好は貴族的だが貴族そのものではなく、むしろ自分達の経済力を誇ることに基盤があった。名誉とか権威より経済を牛耳っているのは自分達だという自信を肖像画に描き込ませた。それだけに絵画への注文は厳しくレベルが高い。反面、報酬も糸目をつけない。そんな画家たちは都市的な職業として認知されつつあった。
そんな時代に大黒柱を失った貴族の姫君が自分のよって立つ足場に選んだのが絵というで弟子入りを志願するところから物語は始まる。結婚しなければ十分な生活が保障されない立場に反発してのことだ。しかし男社会の画家の世界で弟子入りを許すものもなく、髪を切って男として扱ってくれとまで言い出す。そこへ、一人で工房を経営している親方が居合わせた。落とすためのテストをクリアした主人公は画家の弟子となり、やがて初の注文を獲得するというあたりまでが第一巻。
そこで注文主とのやりとりから親方への気持ちに気付いてしまうのが第二巻への引き。ただ、ちょっと展開が早いかもしれない。あまり早く気持ちに気付いては主人公の自立の物語なのかただのラブストーリーか微妙になる。極端に言えば恋の要素は当分なくても面白いのにと思う。
とはいうもののテンポのよさと言い、歴史的な背景と言い本格的な歴史劇になりうる骨組みがある。面白い作品です。
そんな時代に大黒柱を失った貴族の姫君が自分のよって立つ足場に選んだのが絵というで弟子入りを志願するところから物語は始まる。結婚しなければ十分な生活が保障されない立場に反発してのことだ。しかし男社会の画家の世界で弟子入りを許すものもなく、髪を切って男として扱ってくれとまで言い出す。そこへ、一人で工房を経営している親方が居合わせた。落とすためのテストをクリアした主人公は画家の弟子となり、やがて初の注文を獲得するというあたりまでが第一巻。
そこで注文主とのやりとりから親方への気持ちに気付いてしまうのが第二巻への引き。ただ、ちょっと展開が早いかもしれない。あまり早く気持ちに気付いては主人公の自立の物語なのかただのラブストーリーか微妙になる。極端に言えば恋の要素は当分なくても面白いのにと思う。
とはいうもののテンポのよさと言い、歴史的な背景と言い本格的な歴史劇になりうる骨組みがある。面白い作品です。