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アリストテレス 生物学の創造 上 単行本 – 2019/9/18
アルマン・マリー・ルロワ
(著),
森 夏樹
(翻訳)
購入を強化する
〈どのページも、アリストテレスの眼を通して見た
この世界の美しさを追体験させてくれる〉──ネイチャー誌
■アリストテレスは超一級の生物学者だった──しかも、史上一人目の。自身も進化と発生学の研究者である著者は、『動物誌』を中心にアリストテレスの生物学を調べあげ、2400年前の超人的先駆者の着眼と構想を掘り起こした。形態、発生、代謝、分類、老化、情報の継承まで──それは古くて新しい、ブリリアントな生物学だ。本書のどのページもアリストテレスのセンス・オブ・ワンダーと呼ぶべきものに満ちており、哲人を魅了した生物界の不思議さと精妙さに、読む者もまた魅入られてしまう。
■知りうる限りの生物種について記述し、自ら動物の解剖を繰り返し、生物界の部分と全体をシステムとして分析したアリストテレス。彼が「仕事を終える頃には、素材、形、目的、変化などはもはや思弁哲学のおもちゃではなく、研究のプログラムとなっていた」。自然のありのままの体系に重ね合わせようと周到に編まれた理論には、生き物たちの多様さの中に張り巡らされたパターン性、生命の連続性と差異化についての深い洞察が織り込まれている。
■本書はそんなアリストテレスの生物学的仕事の全貌を鮮やかに描き出すとともに、時代を超えて探求され続ける生物学の精髄を読み解く。
全2巻
--------------------------------------------------------------
[目次抄]上巻
エラトー書店にて
島
人智の及ぶところ
解剖
自然
イルカのいびき
道具
鳥の風
コウイカの霊魂
泡
参考文献解題
参考文献リスト
用語集
I 専門用語/II 本書で言及された動物
[目次抄]下巻
ヒツジの谷
カキのレシピ
イチジク、蜜蜂、魚
石の森
宇宙
ピュラー海峡
補遺
謝辞
訳者あとがき
図版について
参考文献解題
索引
--------------------------------------------------------------
この世界の美しさを追体験させてくれる〉──ネイチャー誌
■アリストテレスは超一級の生物学者だった──しかも、史上一人目の。自身も進化と発生学の研究者である著者は、『動物誌』を中心にアリストテレスの生物学を調べあげ、2400年前の超人的先駆者の着眼と構想を掘り起こした。形態、発生、代謝、分類、老化、情報の継承まで──それは古くて新しい、ブリリアントな生物学だ。本書のどのページもアリストテレスのセンス・オブ・ワンダーと呼ぶべきものに満ちており、哲人を魅了した生物界の不思議さと精妙さに、読む者もまた魅入られてしまう。
■知りうる限りの生物種について記述し、自ら動物の解剖を繰り返し、生物界の部分と全体をシステムとして分析したアリストテレス。彼が「仕事を終える頃には、素材、形、目的、変化などはもはや思弁哲学のおもちゃではなく、研究のプログラムとなっていた」。自然のありのままの体系に重ね合わせようと周到に編まれた理論には、生き物たちの多様さの中に張り巡らされたパターン性、生命の連続性と差異化についての深い洞察が織り込まれている。
■本書はそんなアリストテレスの生物学的仕事の全貌を鮮やかに描き出すとともに、時代を超えて探求され続ける生物学の精髄を読み解く。
全2巻
--------------------------------------------------------------
[目次抄]上巻
エラトー書店にて
島
人智の及ぶところ
解剖
自然
イルカのいびき
道具
鳥の風
コウイカの霊魂
泡
参考文献解題
参考文献リスト
用語集
I 専門用語/II 本書で言及された動物
[目次抄]下巻
ヒツジの谷
カキのレシピ
イチジク、蜜蜂、魚
石の森
宇宙
ピュラー海峡
補遺
謝辞
訳者あとがき
図版について
参考文献解題
索引
--------------------------------------------------------------
- 本の長さ368ページ
- 言語日本語
- 出版社みすず書房
- 発売日2019/9/18
- ISBN-104622088347
- ISBN-13978-4622088349
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商品の説明
出版社からのコメント
内容(「BOOK」データベースより)
アリストテレスは超一級の生物学者だった―しかも、史上一人目の。自身も進化と発生学の研究者である著者は、『動物誌』を中心にアリストテレスの生物学を調べあげ、2400年前の超人的先駆者の着眼と構想を掘り起こした。形態、発生、代謝、分類、老化、情報の継承まで―それは古くて新しい、ブリリアントな生物学だ。本書はそんなアリストテレスの生物学的仕事の全貌を鮮やかに描き出すとともに、時代を超えて探求され続ける生物学の精髄を読み解く。
著者について
著者 アルマン・マリー・ルロワ Armand Marie Leroi
インペリアル・カレッジ・ロンドン、進化発生生物学教授。1964年、ニュージーランド、ウェリントン生まれ。国籍はオランダ。ニュージーランド、南アフリカ、カナダで幼少年期を過ごす。ダルハウジー大学(ハリファックス、カナダ)で学士号を取得後、カリフォルニア大学アーバイン校(アメリカ)で博士号を取得。マイケル・ローズ博士のもとでショウジョウバエを対象に老化の進化生物学研究に携わる。ついでアルバート・アインシュタイン医科大学のスコット・エモンズ博士のもとでポストドクトラル・フェローを勤め、線虫の成長の研究を始める。1996年からインペリアル・カレッジ・ロンドンで講師、2001年から進化発生生物学部門リーダーを務める。
初の著書MUTANTS: On Genetics Variety and the Human Body (Viking Penguin, 2003)(邦訳は上野直人監修・築地誠子訳『ヒトの変異──人体の遺伝的多様性について』、2006、みすず書房)により、Guardian First Book Awardを受賞。著書THE LAGOON: How Aristotle Invented Science (Bloomsbury Publishing Plc., 2014)(邦訳は森夏樹訳『アリストテレス 生物学の創造』全2巻、2019、みすず書房)により、London Hellenic Prize 2015およびRunciman Prize 2015を受賞。イギリスではBBCチャンネル4、ディスカヴァリー・チャンネル、ナショナル・ジオグラフィックなどのテレビ番組で放送作家兼ナビゲーターも務め、科学コミュニケーターとしてもよく知られている。
訳者 森夏樹(もり・なつき)
1944年大阪生まれ。翻訳家。
訳書に、フォックス『アレクサンドロス大王』(上下、2001)、ウィルソン『聖なる文字ヒエログリフ』(2004)、ケイヒル『ギリシア人が来た道』(2005)、ターク『縄文人は太平洋を渡ったか』(2006)、クラッセン『ユダの謎解き』(2007)、ダッドリー『数秘術大全』(2010)、ミズン『渇きの考古学』(2014)、ブランディング『古地図に憑かれた男』(2015)、アダムス『アトランティスへの旅』(2015)(以上、青土社)、ジャット『記憶の山荘■私の戦後史』(2011)、ルロワ『アリストテレス 生物学の創造』(全2巻、2019、以上みすず書房)、ほか。
インペリアル・カレッジ・ロンドン、進化発生生物学教授。1964年、ニュージーランド、ウェリントン生まれ。国籍はオランダ。ニュージーランド、南アフリカ、カナダで幼少年期を過ごす。ダルハウジー大学(ハリファックス、カナダ)で学士号を取得後、カリフォルニア大学アーバイン校(アメリカ)で博士号を取得。マイケル・ローズ博士のもとでショウジョウバエを対象に老化の進化生物学研究に携わる。ついでアルバート・アインシュタイン医科大学のスコット・エモンズ博士のもとでポストドクトラル・フェローを勤め、線虫の成長の研究を始める。1996年からインペリアル・カレッジ・ロンドンで講師、2001年から進化発生生物学部門リーダーを務める。
初の著書MUTANTS: On Genetics Variety and the Human Body (Viking Penguin, 2003)(邦訳は上野直人監修・築地誠子訳『ヒトの変異──人体の遺伝的多様性について』、2006、みすず書房)により、Guardian First Book Awardを受賞。著書THE LAGOON: How Aristotle Invented Science (Bloomsbury Publishing Plc., 2014)(邦訳は森夏樹訳『アリストテレス 生物学の創造』全2巻、2019、みすず書房)により、London Hellenic Prize 2015およびRunciman Prize 2015を受賞。イギリスではBBCチャンネル4、ディスカヴァリー・チャンネル、ナショナル・ジオグラフィックなどのテレビ番組で放送作家兼ナビゲーターも務め、科学コミュニケーターとしてもよく知られている。
訳者 森夏樹(もり・なつき)
1944年大阪生まれ。翻訳家。
訳書に、フォックス『アレクサンドロス大王』(上下、2001)、ウィルソン『聖なる文字ヒエログリフ』(2004)、ケイヒル『ギリシア人が来た道』(2005)、ターク『縄文人は太平洋を渡ったか』(2006)、クラッセン『ユダの謎解き』(2007)、ダッドリー『数秘術大全』(2010)、ミズン『渇きの考古学』(2014)、ブランディング『古地図に憑かれた男』(2015)、アダムス『アトランティスへの旅』(2015)(以上、青土社)、ジャット『記憶の山荘■私の戦後史』(2011)、ルロワ『アリストテレス 生物学の創造』(全2巻、2019、以上みすず書房)、ほか。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ルロワ,アルマン・マリー
インペリアル・カレッジ・ロンドン、進化発生生物学教授。1964年、ニュージーランド、ウェリントン生まれ。国籍はオランダ。ニュージーランド、南アフリカ、カナダで幼少年期を過ごす。ダルハウジー大学(ハリファックス、カナダ)で学士号を取得後、カリフォルニア大学アーバイン校(アメリカ)で博士号を取得。マイケル・ローズ博士のもとでショウジョウバエを対象に老化の進化生物学研究に携わる。ついでアルバート・アインシュタイン医科大学のスコット・エモンズ博士のもとでポストドクトラル・フェローを勤め、線虫の成長の研究を始める。1996年からインペリアル・カレッジ・ロンドンで講師、2001年から進化発生生物学部門リーダーを務める。初の著書MUTANTS:On Genetic Variety and the Human Body(Viking Penguin,2003)(邦訳は上野直人監修・築地誠子訳『『ヒトの変異―人体の遺伝的多様性について』,2006,みすず書房)により、Guardian First Book Awardを受賞。『アリストテレス 生物学の創造』により、London Hellenic Prize2015およびRunciman Prize2015を受賞。イギリスではBBCチャンネル4、ディスカヴァリー・チャンネル・ナショナル・ジオグラフィックなどのテレビ番組で放送作家兼ナビゲーターも務め、科学コミュニケーターとしてもよく知られている
森/夏樹
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
インペリアル・カレッジ・ロンドン、進化発生生物学教授。1964年、ニュージーランド、ウェリントン生まれ。国籍はオランダ。ニュージーランド、南アフリカ、カナダで幼少年期を過ごす。ダルハウジー大学(ハリファックス、カナダ)で学士号を取得後、カリフォルニア大学アーバイン校(アメリカ)で博士号を取得。マイケル・ローズ博士のもとでショウジョウバエを対象に老化の進化生物学研究に携わる。ついでアルバート・アインシュタイン医科大学のスコット・エモンズ博士のもとでポストドクトラル・フェローを勤め、線虫の成長の研究を始める。1996年からインペリアル・カレッジ・ロンドンで講師、2001年から進化発生生物学部門リーダーを務める。初の著書MUTANTS:On Genetic Variety and the Human Body(Viking Penguin,2003)(邦訳は上野直人監修・築地誠子訳『『ヒトの変異―人体の遺伝的多様性について』,2006,みすず書房)により、Guardian First Book Awardを受賞。『アリストテレス 生物学の創造』により、London Hellenic Prize2015およびRunciman Prize2015を受賞。イギリスではBBCチャンネル4、ディスカヴァリー・チャンネル・ナショナル・ジオグラフィックなどのテレビ番組で放送作家兼ナビゲーターも務め、科学コミュニケーターとしてもよく知られている
森/夏樹
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : みすず書房 (2019/9/18)
- 発売日 : 2019/9/18
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 368ページ
- ISBN-10 : 4622088347
- ISBN-13 : 978-4622088349
- Amazon 売れ筋ランキング: - 428,075位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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星5つ中の4.4
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トップレビュー
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2020年1月26日に日本でレビュー済み
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2400年前に生きた方が、いかに世界と全力で向き合ったかを魅力的に語りかけてくる内容で、アリストテレスの一面がよくわかる著書でした。学問をまさに「創造」した粘着力が感じられ、それが生物学にとどまらず、さまざまな学問の祖となっていることに、偉大な人は偉大だと改めて感じ入ってしまいました。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2021年5月14日に日本でレビュー済み
迷信や神話がまことしやかに語られた時代に、アリストテレスがどのような姿勢で生物、自然に向き合っていたかがエッセイ調に語られる。自然科学の祖と言われるが、著作からは手放しにそれとばかり礼賛できるわけではないと批判的なところもある。そういうアリストテレスの自然科学に対して論点を示してくれる点が読みどころの一つだろう。
本書の英名はThe Lagoon。トルコに程近い沖合い数キロのレスボス島を舞台に、生物学者の著者が実際そこを訪ね、地中海の情景を描写しながら、約2300年前の人物の事績を追っていく。Google Earthで調べると、レスボス島は真ん中がちょうどくりぬかれたように入り江になっていて、まさにそのほとりでアリストテレスは居を構えて海の生物を観察し調べまくっていたというのだ。2300年前のラグーンは航空地図を見る限り、あまり姿を変えず残っているように錯覚して、タイムスリップしたような気分になる。
ちなみにこのレスボス島はレズビアンの語源となりLGBT関連の訴訟が起こったり、2015年頃にはシリア難民がトルコからギリシャに渡る際に訪れたりと、静かな島というわけではなさそうだ。
アリストテレスの生物を見る観察眼について、現代科学に照らして正否を論じているのもおもしろいが、師のプラトンが迷信に引きずられた見解に満ち満ちているなかでの、この洞察力を思うとずば抜けていると思わずにはいられない。
顕微鏡のない時代にここまで見極めていたのもすごいが、生命の原理、生命のシステムを推論していたことに着目して、本書ではその見解を論じている。例えば、当時の自然哲学者たち(ピュシオロゴイ)は生物の発生が髪や目や手足ができた状態でそのままどんどん大きくなると考えていたが、アリストテレスは細胞分裂して分化しながら臓器が新たにつくられることを指摘した。また一つの臓器が他の臓器の発生を促すということも見出だしている。
アリストテレスの誤解や間違いについても、しっかり明かしている。生命の活動に法則を見つけようとするのはいいが、見つけた法則をどんな動物にも当てはめようとしている。心臓がすべての活動に対して指令を出す中枢だと考えているなど。また、観察から得た事実と言いつつ、海の生物なら漁師からの情報や著名な学者の論なども結構採用しているようだ。
もしいきなり原文を読みはじめていたら、このような深読みはできなかっただろう。アリストテレスが論を著した背景や原文の解釈がもらえることが、本書の利点の一つだ。
アリストテレスが関わった人物や書物も登場する。家庭教師として関わったアレクサンドロス大王、ソクラテス、プラトン、シチリアのエンペドクレス。ヘロドトスが記したイルカと竪琴奏者の話は、イルカに乗った少年の元になったようだ。
生物に関しては、ウニの口、ゾウ、イワシ、ナマズ、ラグーンに迷いこんだイルカ(ギリシャではイルカの神聖視していたが、ラグーンでは捕獲されていた)。最後では生物の生殖について、タコの触腕の一つは生殖器?!、ニワトリの無精卵、ヒトの性、性欲などなど。
アリストテレスは師であるプラトンのイデアを非科学的だとして、観念的なものを退けて実在するものを追い求めた。生物を動かす「霊魂」という用語を使うが、これも現代でいうオカルトの魂ではなく、生理学的なものを指していて、「生物の機能的特性」「生物の変化」「生物の生き残りと生殖」に関わるものとする。当時のギリシャでは物質は空気、水、火、土でできているという時代に、それらをすべて退けたのである。
憶見や慣習、風潮に流れず、物事を観察し、観察される事実から何が本質か見極めていく姿勢(p188)を学ぶことができる。しかしアリストテレスが「科学的視点」を生み出してから1000年、ルネサンス期が訪れるまでこの視点は廃れて、また迷信的、神話的な時代に戻ってしまったのは驚きもあるが、人間の洞察力・思考力・認識力の脆さを思わないではいられない。生物学はまさに肉眼では見えないところに真実があったために、単に観察するだけでは突き止められなかった。いや顕微鏡ができた後、200年間にも発生に関する議論は続いたという。
アリストテレスが見た個々の生物の観察記録として読むのは一つの楽しみだが、生物は何が動かしているのか、活動の本質を見つけようとした賢人の姿勢こそが本書の論点の一つだろう。現代になって観察できるテクノロジーは飛躍的に進歩したが、本質を見る姿勢はそれほど進歩していないと警鐘を鳴らす書と言えば、それは深読みのし過ぎだろうか。
本書の英名はThe Lagoon。トルコに程近い沖合い数キロのレスボス島を舞台に、生物学者の著者が実際そこを訪ね、地中海の情景を描写しながら、約2300年前の人物の事績を追っていく。Google Earthで調べると、レスボス島は真ん中がちょうどくりぬかれたように入り江になっていて、まさにそのほとりでアリストテレスは居を構えて海の生物を観察し調べまくっていたというのだ。2300年前のラグーンは航空地図を見る限り、あまり姿を変えず残っているように錯覚して、タイムスリップしたような気分になる。
ちなみにこのレスボス島はレズビアンの語源となりLGBT関連の訴訟が起こったり、2015年頃にはシリア難民がトルコからギリシャに渡る際に訪れたりと、静かな島というわけではなさそうだ。
アリストテレスの生物を見る観察眼について、現代科学に照らして正否を論じているのもおもしろいが、師のプラトンが迷信に引きずられた見解に満ち満ちているなかでの、この洞察力を思うとずば抜けていると思わずにはいられない。
顕微鏡のない時代にここまで見極めていたのもすごいが、生命の原理、生命のシステムを推論していたことに着目して、本書ではその見解を論じている。例えば、当時の自然哲学者たち(ピュシオロゴイ)は生物の発生が髪や目や手足ができた状態でそのままどんどん大きくなると考えていたが、アリストテレスは細胞分裂して分化しながら臓器が新たにつくられることを指摘した。また一つの臓器が他の臓器の発生を促すということも見出だしている。
アリストテレスの誤解や間違いについても、しっかり明かしている。生命の活動に法則を見つけようとするのはいいが、見つけた法則をどんな動物にも当てはめようとしている。心臓がすべての活動に対して指令を出す中枢だと考えているなど。また、観察から得た事実と言いつつ、海の生物なら漁師からの情報や著名な学者の論なども結構採用しているようだ。
もしいきなり原文を読みはじめていたら、このような深読みはできなかっただろう。アリストテレスが論を著した背景や原文の解釈がもらえることが、本書の利点の一つだ。
アリストテレスが関わった人物や書物も登場する。家庭教師として関わったアレクサンドロス大王、ソクラテス、プラトン、シチリアのエンペドクレス。ヘロドトスが記したイルカと竪琴奏者の話は、イルカに乗った少年の元になったようだ。
生物に関しては、ウニの口、ゾウ、イワシ、ナマズ、ラグーンに迷いこんだイルカ(ギリシャではイルカの神聖視していたが、ラグーンでは捕獲されていた)。最後では生物の生殖について、タコの触腕の一つは生殖器?!、ニワトリの無精卵、ヒトの性、性欲などなど。
アリストテレスは師であるプラトンのイデアを非科学的だとして、観念的なものを退けて実在するものを追い求めた。生物を動かす「霊魂」という用語を使うが、これも現代でいうオカルトの魂ではなく、生理学的なものを指していて、「生物の機能的特性」「生物の変化」「生物の生き残りと生殖」に関わるものとする。当時のギリシャでは物質は空気、水、火、土でできているという時代に、それらをすべて退けたのである。
憶見や慣習、風潮に流れず、物事を観察し、観察される事実から何が本質か見極めていく姿勢(p188)を学ぶことができる。しかしアリストテレスが「科学的視点」を生み出してから1000年、ルネサンス期が訪れるまでこの視点は廃れて、また迷信的、神話的な時代に戻ってしまったのは驚きもあるが、人間の洞察力・思考力・認識力の脆さを思わないではいられない。生物学はまさに肉眼では見えないところに真実があったために、単に観察するだけでは突き止められなかった。いや顕微鏡ができた後、200年間にも発生に関する議論は続いたという。
アリストテレスが見た個々の生物の観察記録として読むのは一つの楽しみだが、生物は何が動かしているのか、活動の本質を見つけようとした賢人の姿勢こそが本書の論点の一つだろう。現代になって観察できるテクノロジーは飛躍的に進歩したが、本質を見る姿勢はそれほど進歩していないと警鐘を鳴らす書と言えば、それは深読みのし過ぎだろうか。
2021年5月1日に日本でレビュー済み
アリストテレスは何といってもプラトンと並ぶ哲学者として知られていますが、実は、動物を観察したり解剖して動物学ひいては生物学の祖でもあります。実際、最新のアリストテレス全集20巻のうち4巻が動物研究の著書に充てられています。本書はあまり読まれないアリストテレスの動物研究の価値を再評価したもので読んでいて興味がつきません。
また、アリストテレスの哲学の起点が動物研究にあったことも本書を読んで理解することができました。アリストテレスの哲学に興味のある人も一読の価値があります。
また、アリストテレスの哲学の起点が動物研究にあったことも本書を読んで理解することができました。アリストテレスの哲学に興味のある人も一読の価値があります。








