植草甚一は主に戦後から邦訳のない洋書の目利きとして信頼され、ミステリばかりか映画・ジャズにも通暁し、エンタテインメントとしての評論をリードしました。
本書は彼の本領といえるアメリカ小説を紹介した文章を長短あわせ50篇以上、集録しています。そのうち第2部にまとめられた「ぼくの好きな五十冊の小説」には、ちくま文庫『こんなコラムばかり新聞や雑誌に書いていた』に入っているのと同じエッセイがかなりありましたが、それはあまり気になりません。
植草甚一さんが好む作家はかならずしも私の好みとは一致せず、また彼は「つまらない」と思いながらある作品を詳しく解説したりするので、油断なりません。気になった作家はベティ・マクドナルド、ジェイムズ・ファレル、ローレンス・トリート、ベン・ヘクトなど。 ジョン・オハラの紹介文は特によかったです。当時すでに評価が定まっていたナボコフについても書いていますが、いまだに読まず嫌いです。
できれば月報(1976年6月15日から24日までのJ. J氏の日記)が付いた本を購入したほうがよろしいかと。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。
