分野の時代性があるので,この本がいつまでも残る名著になるという事は無いだろう。
でも,2020(令和2)年の半ばの時点において,この本があることで漸く分かる部分がかなりある。
日本語の本で中央銀行デジタル通貨まで含めてこれだけ分かり易くもしっかり書いてある本はかなり少ない。
前著もかなり奥深く突っ込んだ有難い本ではあったが,この3年での進展は大きい。
2019(令和元)年のリブラ構想1.0の発表とその挫折,その後や,デジタル人民元やカンボジアのバコンなどを初めとするCBDC(中央銀行デジタル通貨)の動きは1冊出る必要があるだけの進展といえるだろう。前著が出た2017(平成29)年の時点であれば,政府発行などを想定したCBDCはそこまで危機感を持って広がり始めるとはまだ思われていなかった。
特に,(CBDCの前に)ちゃんとテザーについて踏み込み,リブラ構想1.0とその後(2.0)に踏み込み,CBDCについて銀行の役割なども含めてしっかり踏み込んであって分かり易いのは有難い。デジタル通貨の1つにCBDCがあり,民間のデジタル通貨などもある点などは整理する上で非常に助かる。
ひとこと言うなら,中島先生なりの整理がされている部分があり,一般的な説明とは必ずしも言えない部分はある。これはこの本ならではの特性であり,これがすべてと思わないで欲しい,という部分はある。
例を挙げると「ビットコイン⇒アルトコイン⇒ステーブルコイン⇒デジタル通貨」という流れの説明がある。ここまで1本で書いてしまうと「えっ!?」とお感じの方も多いとは思うが,ある視点から見るとこういう流れにはなる。そうした所を適当に読んでしまうと,一般的な理解とは違うものを認識してしまう可能性がある。これとかはかなり考え抜いて出してきた,一般とは違う説明と理解すべき所である。
(ゼミ生にここ輪読でやらせたときに,この図だけ持ってきて上っ面の説明をしていて焦った記憶がある。)
ちなみにうちのゼミ生に聞いた所,この本と井上(2020)「デジタル円」日本経済新聞出版で決め切れなかった。
この分野を学ぶ上では2冊とも持っておきたい所。
アフター・ビットコイン2 仮想通貨vs.中央銀行 :「デジタル通貨」の次なる覇者 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2020/6/23
中島 真志
(著)
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本の長さ288ページ
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言語日本語
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出版社新潮社
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発売日2020/6/23
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寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
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ISBN-104103512822
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ISBN-13978-4103512820
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商品の説明
出版社からのコメント
迷走する「リブラ」。
先行する「デジタル人民元」。
動き始めた「デジタル円」――。
コロナ禍の裏で「デジタル通貨」の覇権争いが激化している!
デジタル通貨の実用化をめぐるIT企業・民間銀行・中央銀行の三つ巴の争いを、第一人者が鮮やかに描く。
「デジタル通貨」覇権を狙う多様なプレーヤーたち!
● リブラ:「フェイスブックの野望」は実現するのか。
● テザー:「疑惑のステーブルコイン」の奇妙な人気。
● JPMコイン:「大手米銀」初の実用化へ邁進中。
● デジタル人民元:「発行秒読み」に世界中が震撼。
● eクローナ: スウェーデンの「一発逆転」はなるか。
● デジタル・ユーロ: アクセルを踏み始めた「EU」。
● バコン:「日本企業」が開発したカンボジア版CBDC。
● サンド・ダラー: カリブ海で誕生した「ダークホース」。
「デジタル円」実現に向けてのポイントを学べる一冊!
中島真志(なかじま・まさし)
1958年生まれ。81年一橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。金融研究所、国際局、国際決済銀行(BIS)などを経て、麗澤大学経済学部教授。早稲田大学非常勤講師。博士(経済学)。単著に『アフター・ビットコイン:仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』『外為決済とCLS銀行』、『SWIFTのすべて』、『入門 企業金融論』、共著に『決済システムのすべて』『金融読本』など。決済分野を代表する有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加。
先行する「デジタル人民元」。
動き始めた「デジタル円」――。
コロナ禍の裏で「デジタル通貨」の覇権争いが激化している!
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「デジタル通貨」覇権を狙う多様なプレーヤーたち!
● リブラ:「フェイスブックの野望」は実現するのか。
● テザー:「疑惑のステーブルコイン」の奇妙な人気。
● JPMコイン:「大手米銀」初の実用化へ邁進中。
● デジタル人民元:「発行秒読み」に世界中が震撼。
● eクローナ: スウェーデンの「一発逆転」はなるか。
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● バコン:「日本企業」が開発したカンボジア版CBDC。
● サンド・ダラー: カリブ海で誕生した「ダークホース」。
「デジタル円」実現に向けてのポイントを学べる一冊!
中島真志(なかじま・まさし)
1958年生まれ。81年一橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。金融研究所、国際局、国際決済銀行(BIS)などを経て、麗澤大学経済学部教授。早稲田大学非常勤講師。博士(経済学)。単著に『アフター・ビットコイン:仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』『外為決済とCLS銀行』、『SWIFTのすべて』、『入門 企業金融論』、共著に『決済システムのすべて』『金融読本』など。決済分野を代表する有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加。
内容(「BOOK」データベースより)
デジタル人民元の衝撃!リブラの迷走。中央銀行の逆襲。IT企業、民間銀行、中銀の三つ巴の争いを第一人者が鮮やかに読み解く。
著者について
1958年生まれ。81年一橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。金融研究所、国際局、国際決済銀行(BIS)などを経て、麗澤大学経済学部教授。早稲田大学非常勤講師。博士(経済学)。単著に『アフター・ビットコイン:仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者』『外為決済とCLS銀行』、『SWIFTのすべて』、『入門 企業金融論』、共著に『決済システムのすべて』『金融読本』など。決済分野を代表する有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
中島/真志
1958年生まれ。81年一橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。金融研究所。国際局、国際決済銀行(BIS)などを経て、麗澤大学経済学部教授。早稲田大学非常勤講師。博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1958年生まれ。81年一橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。金融研究所。国際局、国際決済銀行(BIS)などを経て、麗澤大学経済学部教授。早稲田大学非常勤講師。博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2020/6/23)
- 発売日 : 2020/6/23
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 288ページ
- ISBN-10 : 4103512822
- ISBN-13 : 978-4103512820
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
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2020年10月2日に日本でレビュー済み
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リブラ(Libra)を教養程度に知っておこうと思っているうちに、今月(2020年12月)、LibraからDiemへと名称が変更になってしまった。また、中央銀行デジタル通貨(CDBC)が、次々と正式運用段階に入っている。実に目まぐるしいテーマについて、本書は分かりやすく解説している。おススメ。
まず民間企業による発行の動き。2019年6月、Libra構想が発表された。通貨発行益(シニョレッジ)は巨額であり、一攫千金を狙って、ビットコインやイーサリアムなど有名どころの他、4000種以上の仮想通貨があるというから驚きだ。現行の金融制度にタダ乗りしているという点では、Libraに限らず、どの仮想通貨も同じだと思うが、Libra はビットコインで指摘されていた欠点が改良され、価値の安定したステーブルコインとして設計されていた上に、FacebookやVISA、MasterCardなどと連携していたので、通貨に代わる決済手段としての潜在成長力が桁外れに大きく、各国政府・中央銀行の逆鱗に触れたようだ。Diem(旧Libra)が実現するかどうかは、本レビュー掲載時点(2020.12)では不明。
ところで、筆者によると、仮想通貨の安全性は思ったほど盤石ではない。管理が杜撰な仮想通貨取引所における流出事件は何度か報道されたが、ブロックチェーン自体も、オープンなPoW (プルーフ・オブ・ワーク)を採用している小規模通貨の中には51%攻撃で破られている例がある。香港発のステーブルコインのテザーに至っては、裏付け資産が本当にあるかどうか極めて怪しいにもかかわらず、既に大きなシェアを獲得してしまっているので、価値が維持されているのだという。悪貨が良貨を駆逐している例に思える。
「信用が重要」となると、金融機関が思い浮かぶ。民間金融機関の間でも決済用デジタル通貨(裏付け資産があり、法定通貨と完全にペッグ)の発行が検討されてはいる。ただ、最も信用ある金融機関はどこかといえば中央銀行である。中央銀行デジタル通貨(CBDC)で先行しているのが、中国、カンボジア、スウェーデン、バハマ、東カリブの5中銀で、既に実証実験からパイロットテスト段階に入っている(本書の発刊後の2020年10月、バハマ中銀とカンボジア中銀が本格運用に入っており、中国人民銀行も来年2021年中に本格運用の見込み)。Libraの動きや中国の実証実験の進捗を見て、慎重だった中銀も重い腰を上げつつある。
前記5行のCBDCは金利を付けないタイプだったが、巻末では金融政策の新しいツールとしてCBDCへの付利についても簡単に考察している。マイナス付利には日銀は関心あるだろうなあ。しかし、現金が残っている状況でCBDCにマイナス付利しようとしても人々は現金に逃げてしまうから、キャッシュレス社会の定着がマイナス付利の前提である。
まず民間企業による発行の動き。2019年6月、Libra構想が発表された。通貨発行益(シニョレッジ)は巨額であり、一攫千金を狙って、ビットコインやイーサリアムなど有名どころの他、4000種以上の仮想通貨があるというから驚きだ。現行の金融制度にタダ乗りしているという点では、Libraに限らず、どの仮想通貨も同じだと思うが、Libra はビットコインで指摘されていた欠点が改良され、価値の安定したステーブルコインとして設計されていた上に、FacebookやVISA、MasterCardなどと連携していたので、通貨に代わる決済手段としての潜在成長力が桁外れに大きく、各国政府・中央銀行の逆鱗に触れたようだ。Diem(旧Libra)が実現するかどうかは、本レビュー掲載時点(2020.12)では不明。
ところで、筆者によると、仮想通貨の安全性は思ったほど盤石ではない。管理が杜撰な仮想通貨取引所における流出事件は何度か報道されたが、ブロックチェーン自体も、オープンなPoW (プルーフ・オブ・ワーク)を採用している小規模通貨の中には51%攻撃で破られている例がある。香港発のステーブルコインのテザーに至っては、裏付け資産が本当にあるかどうか極めて怪しいにもかかわらず、既に大きなシェアを獲得してしまっているので、価値が維持されているのだという。悪貨が良貨を駆逐している例に思える。
「信用が重要」となると、金融機関が思い浮かぶ。民間金融機関の間でも決済用デジタル通貨(裏付け資産があり、法定通貨と完全にペッグ)の発行が検討されてはいる。ただ、最も信用ある金融機関はどこかといえば中央銀行である。中央銀行デジタル通貨(CBDC)で先行しているのが、中国、カンボジア、スウェーデン、バハマ、東カリブの5中銀で、既に実証実験からパイロットテスト段階に入っている(本書の発刊後の2020年10月、バハマ中銀とカンボジア中銀が本格運用に入っており、中国人民銀行も来年2021年中に本格運用の見込み)。Libraの動きや中国の実証実験の進捗を見て、慎重だった中銀も重い腰を上げつつある。
前記5行のCBDCは金利を付けないタイプだったが、巻末では金融政策の新しいツールとしてCBDCへの付利についても簡単に考察している。マイナス付利には日銀は関心あるだろうなあ。しかし、現金が残っている状況でCBDCにマイナス付利しようとしても人々は現金に逃げてしまうから、キャッシュレス社会の定着がマイナス付利の前提である。
2020年11月3日に日本でレビュー済み
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ビットコインの中核技術、ブロックチェーンの応用や将来性を取り上げたのが前著で、続く本書では、デジタル通貨をめぐる昨今の動きを分かりやすく解説する。デジタル通貨は、民間企業、民間銀行、中央銀行の3者が、それぞれの目的に基づいて発行を目指し、競争しているとの現状がある。
民間企業によるものとしては、フェイスブックによる「リブラ」が代表的だ。その特徴は、発行主体や裏付け資産がある、通貨価値にペッグするなど、ビットコインとは異なる優れた仕組みにある。著者はこれを評価する一方で、一民間企業による通貨発行の是非や通貨主権に対する侵害の可能性、さらには各国通貨の信認にフリーライドする行為を指摘し、元日銀マンらしい痛烈な批判を展開する。リブラの「真の目的」に切り込んだこの指摘はなかなか興味深い。
民間銀行もデジタル通貨の発行を模索しているが、裏付け資産を持つデジタル通貨の前提として、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)やステーブルコイン(価格を安定させた仮想通貨)の存在がある。JPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴが個別に構想を進めているが、いずれもドルに価値をリンクしているデジタル・キャッシュを、ブロックチェーン上で移動させる仕組みのものだ。
そして中央銀行が発行し、デジタルの形式をとる法定通貨が、中銀デジタル通貨(CBDC)である。特に一般の人向けに、現金のデジタル化を目的とする「小口決済用CBDC」は、既にいくつかの中央銀行がテスト運用の段階にこぎ着けており、中でも先頭を走っているのが中国だ。(深圳での実証実験開始がつい最近報道されたばかりだ)中国のデジタル人民元についても、その仕組みや導入に向けての動きが本書で詳細に解説されるが、よく言われる「人民元の国際化」が狙いとの指摘に対しては、そもそも国内のリテール決済を目的としていることを理由に、直接的には関係ないことだと著者は解説する。
デジタル通貨は、マネロン対策と匿名性ニーズの両立が求められるが、例えばECBのデジタル・ユーロでは、一定額までの小口取引を匿名とすることでプライバシーを確保する仕組みを検討しており、この点はなかなか実用的なアイデアである。(対してデジタル人民元は、おそらくこのような発想は持ち得ないのだろうが)
通貨のデジタル化はやがて世界の多くの国に広がっていき、歴史的に見れば避けることはできないものであると、著者は結論付ける。日本でCBDCが普及するとすれば、Suicaのように使えることを個人的には願いたい。
民間企業によるものとしては、フェイスブックによる「リブラ」が代表的だ。その特徴は、発行主体や裏付け資産がある、通貨価値にペッグするなど、ビットコインとは異なる優れた仕組みにある。著者はこれを評価する一方で、一民間企業による通貨発行の是非や通貨主権に対する侵害の可能性、さらには各国通貨の信認にフリーライドする行為を指摘し、元日銀マンらしい痛烈な批判を展開する。リブラの「真の目的」に切り込んだこの指摘はなかなか興味深い。
民間銀行もデジタル通貨の発行を模索しているが、裏付け資産を持つデジタル通貨の前提として、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)やステーブルコイン(価格を安定させた仮想通貨)の存在がある。JPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴが個別に構想を進めているが、いずれもドルに価値をリンクしているデジタル・キャッシュを、ブロックチェーン上で移動させる仕組みのものだ。
そして中央銀行が発行し、デジタルの形式をとる法定通貨が、中銀デジタル通貨(CBDC)である。特に一般の人向けに、現金のデジタル化を目的とする「小口決済用CBDC」は、既にいくつかの中央銀行がテスト運用の段階にこぎ着けており、中でも先頭を走っているのが中国だ。(深圳での実証実験開始がつい最近報道されたばかりだ)中国のデジタル人民元についても、その仕組みや導入に向けての動きが本書で詳細に解説されるが、よく言われる「人民元の国際化」が狙いとの指摘に対しては、そもそも国内のリテール決済を目的としていることを理由に、直接的には関係ないことだと著者は解説する。
デジタル通貨は、マネロン対策と匿名性ニーズの両立が求められるが、例えばECBのデジタル・ユーロでは、一定額までの小口取引を匿名とすることでプライバシーを確保する仕組みを検討しており、この点はなかなか実用的なアイデアである。(対してデジタル人民元は、おそらくこのような発想は持ち得ないのだろうが)
通貨のデジタル化はやがて世界の多くの国に広がっていき、歴史的に見れば避けることはできないものであると、著者は結論付ける。日本でCBDCが普及するとすれば、Suicaのように使えることを個人的には願いたい。
ベスト500レビュアーVINEメンバー
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皆さんは怪しげな仮想通貨にまつわる案件を一つは耳にしたり実際にオファーされたこともあるだろうと思います。
その時にほとんどすべての仮想通貨案件がビットコインで入金してテザーで出すという流れなことが私にはとても不思議だったのですが本書を読んでその謎の一端が溶けた気がします。
「テザー社の口座には発行されているテザーと同額の米ドルが準備金として保管されているはずなのですが74%しか存在していない上に会計監査も受けずドル保有の証拠も示さない。怪しさの根っこにあるのはテザー社の親会社にあたるビットフィネックス社との関係。テザー社とビットフィネックス社(香港の仮想通貨取引所)の経営幹部は最高責任者が全く同じ。実質的にはビットフェニックス社の別稼働部隊で自由に使える存在。テザー社からビットフィネックス取引所に対して大量にテザーが発行されそこから主要な取引所に送金されてビットコイン買いが行われビットコインは値上がりする。こうした取引は主にビットコインの価格帯が軟調な時間帯に行われテザーを対価とするビットコイン買いが行われるとビットコインの価格が力強く反転しているのが確認されている。」
と記述されているところで私はかなり仰天しました。
本書に示されているもっと深くて重い事実が諸々羅列されているわけですがそれが公になると仮想通貨業過全体の時限爆弾になりうる可能性を秘めているのは事実ですね。
それを知ったうえでテザーが絡んでいる取引をするべきだということがよく分かります。
「カンボジアのバコンは日本のブロックチェーン技術を使って世界初のデジタル通貨発行国になる可能性がある」
「デジタル通貨にマイナス金利をつけて流通の速度を促す」
「自由に発行できる民間マネーというのは長持ちしない」
「中央銀行は制度上の優位性と技術利用の劣位性があるのでそのバランスをとることが重要」
色んな内容が詰まっているんですが私が一番面白かったのはテザーにまつわるかなり多くの頁を割かれているところです。これは仮想通貨に係る人にとっては当たり前の事実かもしれませんが一般の個人投資家レベルで知っておかなくてはいけないことだろうと思います。めちゃくちゃ面白かったですね。
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