前作よりも実践的な内容。
「私たちはいまどういう状況にあるのか」
「では、企業はなにを目指すべきか」
「そのために、事業部はなにをすべきか」
この3つに応えていて、事例の話だけになりがちな前作より、同僚にすすめやすい。
…もちろん、例示されている手法が自社に合うかは、各社で考えるべきことですが。
特に、事業会社のデジマケ担当者が読むといいのでは。
エンタメ的な面白さよりも、実務寄りって感じ。
------------
【前作との差分】
前作『アフターデジタル』には批判も多かった。
主に「中国礼賛だ」「監視社会への危機感がない」「事例だけならネットで知れる」などが散見されたように思う。
続編の本作は、それらの批判への応答にくわえて、思想と手法との体系化まで深掘りしている。
なので、批判者だけでなく、前作を無邪気に称賛していた人たちにもオススメ。
また、共著ではなく単著となり、全体を通してストーリーとしても読みやすくなった。
------------
【特に良かった点】
「 UI(デジタルに閉じない、もともとの広義の意味での "顧客が相対するもの" )を、アーキテクチャ(ヒトの行動を規定する環境)として、企業が自覚的に捉えるべき。 」
このメッセージが個人的に響いた。
正直なところ、私がたびたび仕事で直面するのは、このメッセージが目指している社会とは反対の現実だ。
すなわち、” 顧客との「情報の非対称性」を利用する不誠実さ ” が企業利益の源泉になりがち、という現実。
「〇〇で社会に貢献する」と謳っている企業はいくらでもあるが、社訓に共感して入社しても内実はちがう、そんな経験をした人も多いのではないか。
私も「社会の厳しさ」という名目でホンネとタテマエの使い分けを叩き込まれた一人だ。
後ろめたさは年々うすれ、「三方よし」も結局はお飾りでしかない、なんて感じる場面もよくある。
先述のメッセージも、このメッセージ単体では "世間知らずの性善説" として流されるようなものだろう。
ちょうどいま、企業の利己的なUI(ダークパターン)が量産され、問題視されてもいる。
だが、前作でも述べられている構造変化が進めば、これらのタテマエがそのまま "現実的な企業戦略" にもなりうる。
本書の内容が世の経営陣にも広まって「三方よし」が利益の源泉になるといいね、そう素朴に思った。
私だって、「お客のため」と思えることをして、それでお金をもらいたいのだ。できるなら。
…あの震災からもう約10年経つ。
直後、国内ではいろんな論が出て、変化が来ると誰もが騒いでいた。
でも結局、社会も企業も私たちも、根本は変わらなかった。
コロナでは、どうだろう?
構造変化は、実際どれくらい進むのだろうか。
そして、企業の姿勢が変わるだけの潮流を私たちは作れるのだろうか。
今後も注視していきたいですね。
------------
※追記
動画やパワポなど、関連コンテンツのURLが書籍に記載してありましたが、
紙本からは飛びにくいし、レビューにはURLメモれないし、ちょっと残念。
セミナーもやってるとのこと。
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
無料アプリを入手するには、Eメールアドレスを入力してください。

1分以内にKindleで アフターデジタル2 UXと自由 をお読みいただけます。
Kindle をお持ちでない場合、Get your Kindle here Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
Kindle をお持ちでない場合、Get your Kindle here Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
【1/21 発売】『Exit イグジット』 Books
テレビ・新聞を見ているだけでは分からない、あまりにも深刻な日本の財政危機。エンタテインメントでありながら、日本の危機がリアルに伝わる、まさに金融業界を取材した著者の本領が存分に発揮された小説。 今すぐチェック