本書は、これからの人間社会を劇的に変えてしまうであろう技術「IoT」の通信基盤を担う「Bluetooth」の進化の状況と、それがもたらす、ビジネスや生活に訪れるであろう劇的な変化の内容を示唆した書籍だ。
Bluetooth、正確に書くと「Bluetooth 4.0」以降の同規格が実装する機器間の通信技術は、本書に沿って表現すると「デジタル情報とリアルの情報が密接に連携できる環境」を実現させた。この通信技術を実装したすべての機器がついに一種の自律的な知覚を備えた、ともいえる。スマートフォンのような端末機は、IoTの通信網という世界から見たら、単にハブ(集線装置)で、ユーザーに情報をわかりやすく提示する窓口の役割しか持たなくなる。
筆者は、それらの背景が無視できないこれからのビジネス市場において「デジタル情報とリアルの情報が密接に連携できる環境(プラットフォーム)」を、より大規模に、より使いやすい形で構築して市場に提供した事業者が『勝者』となることを、本書で言及している。実際、そうなっている。本書では触れていないが、本レビュー投稿時点における、いわゆる「IT5強」事業体はすべて、その点では共通しているのだから。
一方で、本書では、これからビジネスを起こす場合は、上記の「環境」によって整備された資金調達や生産工程の仕組みをうまく使うのが妥当であることも指摘している。ここはビジネスモデルにかかわる重要なことだ。先鋭的な技術やアイデアの開発もよいが、それらを上記「プラットフォーム」の特性にうまく統合させ、かつ、ユーザーに使いやすい形で提供するスタイルが、これからのビジネスに求められることを示唆しているからだ。
ただ、「情報」があまりにも「そのプラットフォームを提供する事業者」に集まるため、その事業者は、一種の至高神のような存在になる、とか、ハードウェアはゴミ、とか、極端な表記が目に付くことも、本書の特徴ではある。それは、筆者が「一昔前とはそれだけハードウェアの位置づけが違うし、もちろん、ビジネスの観点で、情報を持つ・活用する意義も全く違う」ことを強調して表現したものと推測できる。
このように、表現がエキセントリックだったり専門用語が多かったりするためか、読みづらい印象は受ける。が、本書で示唆しているこれからの社会、とりわけ、ビジネスの環境の変化については鋭く的を得ている内容だ。
本書のように、技術の進展の観点からビジネスの在り方を示唆する論旨内容はユニークだ。しかし、下手なIoT関連のビジネス書より、本書を読むほうがはるかによいと感じた。社会の変革の「源」となる技術を正しく知るほうが、はるかに理解が進むからだ。
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アップル、グーグルが神になる日~ハードウェアはなぜゴミなのか?~ (光文社新書) Kindle版
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身の回りの様々なモノがクラウドにつながる「モノのインターネット化」(IoT)。この急成長市場で、中心となっているのがアップルとグーグル。人が操作することなしに機器同士がデータをやりとりし、自動的に動いてくれたり、私たちの行動を決定づけたりする時代が目前にきている。ホームオートメーションからヘルスケア、自動車業界やサービス業まで、新しい「体験」をつくることで巨大IT企業は何をしようとしているのか。
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2015/4/20
- ファイルサイズ2216 KB
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
パソコンやスマートフォンだけでなく、身の回りの様々なモノがクラウドにつながる「モノのインターネット化」(インターネット・オブ・シングス=IoT)。2014年以降、この市場が急速に成長している。その中心となっているのが、アップルとグーグル。人が操作することなしに機器同士がデータをやりとりし、自動的に動いてくれたり、私たちの行動を決定づけたりする時代が目前にきている。ホームオートメーションからヘルスケア、自動車業界やサービス業まで、いまだかつてない新しい「体験」をつくることで、巨大IT企業は何をしようとしているのか?私たちのライフスタイルを、どのように変えていこうとしているのか―?進化するウェアラブルや、最先端テクノロジーもやさしく解説しながら、近い将来像について語る。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
上原/昭宏
1975年京都府生まれ。奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科博士前期課程修了。工学博士。デジタルカメラメーカーにてASIC開発、(株)ニデックにて人工視覚システム研究開発に従事した後、2011年、(株)エージーリミテッド役員就任。現在は、合同会社わふう代表社員、リインフォース・ラボ個人事業主
山路/達也
1970年三重県生まれ。東京大学文学部卒。ライター/エディターとして環境、IT分野で活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
1975年京都府生まれ。奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科博士前期課程修了。工学博士。デジタルカメラメーカーにてASIC開発、(株)ニデックにて人工視覚システム研究開発に従事した後、2011年、(株)エージーリミテッド役員就任。現在は、合同会社わふう代表社員、リインフォース・ラボ個人事業主
山路/達也
1970年三重県生まれ。東京大学文学部卒。ライター/エディターとして環境、IT分野で活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
登録情報
- ASIN : B00VW7ZFPA
- 出版社 : 光文社 (2015/4/20)
- 発売日 : 2015/4/20
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 2216 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 164ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 206,783位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 1,505位光文社新書
- - 9,060位工学 (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
著者について
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奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科博士前期課程修了。
2000年デジタルカメラメーカでのASIC開発を経て2002年から生体埋植デバイスの研究開発に従事。博士(工学)。
2012年、合同会社わふう代表社員。

雑誌編集者を経て、フリーの編集者・ライターとして独立。ネットカルチャー・IT・環境系解説記事などで活動中。
著作は『Googleの72時間』(林信行氏との共著)、『新しい超伝導入門』、『インクジェット時代がきた!』(山口修一氏との共著)、『日本発!世界を変えるエコ技術』、『弾言』(小飼弾氏@dankogaiとの共著)など。
http://www.binword.com/blog/
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VINEメンバー
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2015年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
第1章はBluetooth LE,第2章はIoT,第3章はビジネスエコシステム.
章が進むにつれて内容が凡庸になるので,読後感は悪い.
「ゴミ」という単語の真意は「ユーザーが価値を認めているのは体験であり,それは
クラウドに支えられているので,ハードウェアに執着はない(=価値がない)」という
ニュアンスのようだが,内容はともかく言葉の選び方は今一つ.
しかも帯がApple Watchで,Apple Watchはモノに執着してもらうようなデザインに
なっているので,チグハグな印象を受けた.
(チグハグな印象は他にも散見される.著者か編集か,どちらのせいか分かりませんが.)
ハードウェアの技術屋さんが読むには面白いのかもしれません.
得られる情報はあるので星3つ.
章が進むにつれて内容が凡庸になるので,読後感は悪い.
「ゴミ」という単語の真意は「ユーザーが価値を認めているのは体験であり,それは
クラウドに支えられているので,ハードウェアに執着はない(=価値がない)」という
ニュアンスのようだが,内容はともかく言葉の選び方は今一つ.
しかも帯がApple Watchで,Apple Watchはモノに執着してもらうようなデザインに
なっているので,チグハグな印象を受けた.
(チグハグな印象は他にも散見される.著者か編集か,どちらのせいか分かりませんが.)
ハードウェアの技術屋さんが読むには面白いのかもしれません.
得られる情報はあるので星3つ.
2015年4月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
タイトルと目次から想像した通り非常に面白い本で、Bluetooth Low Energyというテクノロジーがスマートフォンとのミッシングリンクをつないだことによって可能になった多様なエンドデバイスとバックエンドのサービスによって実現する世界観とビジネス、生態系をロジカルに紹介しています。
また、Mark Hatchの『Makerムーブメント宣言―草の根からイノベーションを生む9つのルール』を引用してMakerムーブメントとの関わりについて述べた部分も非常に興味深いところです。TechShopにおいて様々な人々が実際にスモールビジネスを立ち上げて行ったことを例に、機器の開発が劇的に簡単になったと同時に生産と資金調達の仕組みが整備されたこのタイミングを正確に分析しています。
これは、エンジニアとして実際の案件に関わってきた上原氏(たち)だから書けることで、外部から上辺だけのデータを集めているだけのコンサルには絶対に書けない内容でしょう。IoTをキーワードに、ちょっとした情報格差「だけ」をアドバンテージに中間マージンだけを搾取することを目的にした人々に騙されないためにも、ものづくりに関わる全ての経営者は読んでおいて損はないと思います。
また、Mark Hatchの『Makerムーブメント宣言―草の根からイノベーションを生む9つのルール』を引用してMakerムーブメントとの関わりについて述べた部分も非常に興味深いところです。TechShopにおいて様々な人々が実際にスモールビジネスを立ち上げて行ったことを例に、機器の開発が劇的に簡単になったと同時に生産と資金調達の仕組みが整備されたこのタイミングを正確に分析しています。
これは、エンジニアとして実際の案件に関わってきた上原氏(たち)だから書けることで、外部から上辺だけのデータを集めているだけのコンサルには絶対に書けない内容でしょう。IoTをキーワードに、ちょっとした情報格差「だけ」をアドバンテージに中間マージンだけを搾取することを目的にした人々に騙されないためにも、ものづくりに関わる全ての経営者は読んでおいて損はないと思います。
2018年1月28日に日本でレビュー済み
iPhone4sを入手した時、Bluetoothが4.0にバージョンアップされていたのは知っていたが、その裏にこの様な狙いがあったことまでは正しく理解していなかった。
BLE(Bluetooth Low Energy)が前提としているのは、無数の機器が存在する世界だ。ひと昔に提唱されたユビキタス・コンピューティングの世界を超えているかもしれない。なぜならIoTはあらゆるものがデータ採取の対象となっているからだ。
今後は我々の行動が全て把握されることになる。便利になる一方で我々自身がデータ化されていく。さらにヘルスケアと連動することによって、データ化されることを拒絶することは恐怖を伴うようになるかもしれない。
便利な世界に一旦身を置くと、他のプラットフォームへ移ることはどんどん難しくなっていくだろう。そしてユーザーの囲い込みが完成し、アップルやグーグルが国家以上の力を持つプラットフォームになっていく。
BLE(Bluetooth Low Energy)が前提としているのは、無数の機器が存在する世界だ。ひと昔に提唱されたユビキタス・コンピューティングの世界を超えているかもしれない。なぜならIoTはあらゆるものがデータ採取の対象となっているからだ。
今後は我々の行動が全て把握されることになる。便利になる一方で我々自身がデータ化されていく。さらにヘルスケアと連動することによって、データ化されることを拒絶することは恐怖を伴うようになるかもしれない。
便利な世界に一旦身を置くと、他のプラットフォームへ移ることはどんどん難しくなっていくだろう。そしてユーザーの囲い込みが完成し、アップルやグーグルが国家以上の力を持つプラットフォームになっていく。
2018年12月29日に日本でレビュー済み
究極的につまらない本だ。90年代のTRON電脳住宅、2000年代初頭のネット家具が普及しなかったのは、ビジネス環境がそろっていなかったからだと言う。それに比べ2015年現在、IOTはそれが整っており、アップル・ウォッチを筆頭にIOTの市場規模が2017年には15兆円ほどになっているはずだという。さて、事実はというと、5兆8千億程度だという(2022年のIoT市場規模は11.7兆円、スマートホームやスマートグリッド普及でソフトウェア/サービスがけん引――IDC調べ)。全ての機器がクラウドで管理できるようになれば、そのクラウドを管理するアップルやグーグルが神だというわけだ。未来予測はおおむね外れる。掛け金は当たるか否かではなく、その背景にある思想の面白さなのだろうが、この本の場合、商品紹介にとどまってしまっている。ハードはゴミだというが著者は、資本主義はゴミを生産し続ける体制だということを知らないようだ。





