6人の男女が、それぞれの視点で自らの結婚生活や異性関係を見つめ、自身の心を解剖するかのように語っていく物語。
登場人物たちそれぞれの目の前の日々の「満たされなさ」が氾濫し、時に絡み合い、ぶつかり合う。とにかく、一人一人が苦くて痛い。歪に変形した愛情や恋情の醜さ、虚しさをこれでもかと描く作品である。
登場人物たちにどっぷりと感情移入しながら物語を読むのが好きなのだが、この作品には水分が全くなく、自分自身の感情とどうにもうまく馴染まないので、途中からは観客席に移動して登場人物たちの思考や言動を傍から眺めるように読んだ。
それぞれが生きている環境の中でザラザラと荒れまくった感情。カラカラにひび割れた地面を、噴出寸前の何かを抱えながら歩かねばならない苦しさ。甘く喉を潤すようなものは、最後まで一切出てこない。
これは、異性と関わりながら生きることの「暗部」にのみスポットを当て、その生臭さを執拗なまでに描き出した作品なのだと思う。
そして読了後、自分自身の今についても静かに顧みたくなる。いま目の前にある日々の中の幸せを、自分は「幸せ」と自覚し、大切にできているか。それができなければ、何処を探しても幸せなど存在しないのだ。この作品は、そんなことを微かに諭しているような気もする。
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アタラクシア 単行本 – 2019/5/24
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【第5回渡辺淳一文学賞受賞作】
望んで結婚したのに、どうしてこんなに苦しいのだろう――。
最も幸せな瞬間を、夫とは別の男と過ごしている翻訳者の由依。
恋人の夫の存在を意識しながら、彼女と会い続けているシェフの瑛人。
浮気で帰らない夫に、文句ばかりの母親に、反抗的な息子に、限界まで苛立っているパティシエの英美。
妻に強く惹かれながら、何をしたら彼女が幸せになるのかずっと分からない作家の桂……。
「私はモラルから引き起こされる愛情なんて欲しくない」
「男はじたばた浮気するけど、女は息するように浮気するだろ」
「誰かに猛烈に愛されたい。殺されるくらい愛されたい」
ままならない結婚生活に救いを求めてもがく男女を、圧倒的な熱量で描き切る。
芥川賞から15年。金原ひとみの新たなる代表作、誕生。
【著者プロフィール】
金原ひとみ(かねはら・ひとみ)
1983年東京生まれ。
2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞。
04年、同作で第130回芥川賞を受賞。
ベストセラーとなり、各国で翻訳出版されている。
10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を受賞。
12年、パリへ移住。
同年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。
18年、帰国。
望んで結婚したのに、どうしてこんなに苦しいのだろう――。
最も幸せな瞬間を、夫とは別の男と過ごしている翻訳者の由依。
恋人の夫の存在を意識しながら、彼女と会い続けているシェフの瑛人。
浮気で帰らない夫に、文句ばかりの母親に、反抗的な息子に、限界まで苛立っているパティシエの英美。
妻に強く惹かれながら、何をしたら彼女が幸せになるのかずっと分からない作家の桂……。
「私はモラルから引き起こされる愛情なんて欲しくない」
「男はじたばた浮気するけど、女は息するように浮気するだろ」
「誰かに猛烈に愛されたい。殺されるくらい愛されたい」
ままならない結婚生活に救いを求めてもがく男女を、圧倒的な熱量で描き切る。
芥川賞から15年。金原ひとみの新たなる代表作、誕生。
【著者プロフィール】
金原ひとみ(かねはら・ひとみ)
1983年東京生まれ。
2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞。
04年、同作で第130回芥川賞を受賞。
ベストセラーとなり、各国で翻訳出版されている。
10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を受賞。
12年、パリへ移住。
同年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。
18年、帰国。
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2019/5/24
- 寸法13.3 x 2.2 x 19.2 cm
- ISBN-104087711846
- ISBN-13978-4087711844
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
擦り切れた愛。暴力の気配。果てのない仕事。そして、新たな恋。ままならない結婚生活に救いを求めてもがく男と女―。芥川賞から15年。危険で圧倒的な金原ひとみの最新長編。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
金原/ひとみ
1983年東京生まれ。2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞。04年、同作で第130回芥川賞を受賞、ベストセラーとなり、各国で翻訳出版されている。10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を受賞。12年、パリへ移住。同年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。18年、帰国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1983年東京生まれ。2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞。04年、同作で第130回芥川賞を受賞、ベストセラーとなり、各国で翻訳出版されている。10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を受賞。12年、パリへ移住。同年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。18年、帰国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 集英社 (2019/5/24)
- 発売日 : 2019/5/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 296ページ
- ISBN-10 : 4087711846
- ISBN-13 : 978-4087711844
- 寸法 : 13.3 x 2.2 x 19.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 44,841位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 1,480位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1983(昭和58)年、東京生れ。2003(平成15)年『蛇にピアス』ですばる文学賞。翌年、同作で芥川賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 ハイドラ (ISBN-13: 978-4101313313 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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アタラクシア?って何?(無知をさらけ出しているようで恥ずかしいのですが・・・)なんかの造語かな?と思ってネットで調べたところ、どうも元はギリシャ語の哲学用語で以下の記述がありました。〘哲〙 他のものに乱されない,平静な心の状態。エピクロス学派が幸福の必須条件として主張したもので,幸福は快楽にあるが,外的なものにとらわれず欲望を否定した内的な平静こそが最大の快楽であるという。静安。金原ひとみ氏の作品は昔、芥川賞を受賞した「蛇にピアス」を読んだきりで、それ以降は手にしたことはなかったのですが、書評に「いい!」と書いてあったのを見て、早速拝読。「蛇にピアス」はスプリットタン(蛇みたいに割れた舌。舌ピアスの穴をすこしずつ大きくしていくことによってできる。)に憧れる主人公の話で、通常の人が住む日常とは全く異質な強烈な世界感を描いた作品でしたが、本作は、もっと身近な世界の話です。おそらく同じような世界に住む方も沢山いると思うのですが、実際に心の内をこれだけ分析して語れる人はまずいない筈で、金原氏は、そういった人間の内面を精密な文章で描くことにより、赤裸々なドロドロ感を見事に客観視していると思います。主な登場人物は以下の6名。由衣:元モデルで自身に究極に忠実。暫くパリに住んでおり、そこで瑛人と知り合う。現在はファッション関係の翻訳などをして生計を立てている。瑛人:パリでの料理修行から戻り、自身のフランス料理店を友人と共同経営している。由衣と不倫中。英美:瑛人の店で働くパテイシエ。分をわきまえない母親、浮気を繰り返す夫、問題児の息子の4人家族。常にストレスを抱えており、不安定な精神状態なるも、辛うじて踏み止まっている。桂:由衣の夫。そこそこ有名な作家であったが、盗作疑惑で一気に仕事が無くなり、精神的にも作品が書けなくなる。由衣を若干変質的に愛している。真奈美:由衣の友人の雑誌編集者。同じ会社の同僚と不倫をしている。夫は、過去有名なミュージシャンであったが、時代の波に取り残され、真奈美に暴力を振るうようになる。枝里:由衣の妹。姉と全く相いれない性格で、もっとも付き合うのが苦手な人種だと思っている。ホストに純愛しているが、結局は振り回されており、援交で小遣い稼ぎをしている。本作は何か、終わりがある物語になっているわけではなく、それぞれの、内面に抱えている闇、また他人をどう見ているのか、が語られます。周りには勝手な性格と思われている、自身に究極に忠実な由衣でさえ、一見、思い通りに軽く生きているような真奈美の不倫相手でさえ、それは例外ではなく、様々な闇と対峙しています。自分の思うとおりに生きようとしても、生きられない世間で、快楽を追求しようとしても、追求できない社会で、如何に平静を得るのか?人間にとって闇とはやはり避けられないものなのか?そんな永遠の課題を投げかけられたような気がしました。さらっと読むと、読み過ごしてしまいますが、一つ、「ゲッ!」という事実というか繋がりが出てきますので、その深い闇も是非、ご堪能下さい。(ご堪能というと言葉が悪いですね・・・。ご確認下さいに訂正いたします。)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年12月23日に日本でレビュー済み
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6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2019年6月2日に日本でレビュー済み
芥川賞受賞作品が何となく読む気になれず、それでもなぜか気になる作家で…
受賞から15年も経ったんだ、思い切って読んで見ようと笑、
また不倫がテーマかと、期待感は薄かったが、読んでいくうちに、流石は芥川賞作家だと思わせられた。
難解というわけではなく、不倫しているにもかかわらず、自分を正当化し、相手を論破しようとする会話に、ある種の爽快感を感じた。
中でも、
「ご飯は?」
「炊けばある」
という会話は、デジャヴだ!と、私もなんか言ったことあるような?笑
それぞれの違う、クセのある人達の会話、思考を、1人の作家の脳内で作られている凄さ。
そして、それぞれの行く末を読者に想像させる凄さ。
読み応えのある作品でした。
受賞から15年も経ったんだ、思い切って読んで見ようと笑、
また不倫がテーマかと、期待感は薄かったが、読んでいくうちに、流石は芥川賞作家だと思わせられた。
難解というわけではなく、不倫しているにもかかわらず、自分を正当化し、相手を論破しようとする会話に、ある種の爽快感を感じた。
中でも、
「ご飯は?」
「炊けばある」
という会話は、デジャヴだ!と、私もなんか言ったことあるような?笑
それぞれの違う、クセのある人達の会話、思考を、1人の作家の脳内で作られている凄さ。
そして、それぞれの行く末を読者に想像させる凄さ。
読み応えのある作品でした。
2020年2月27日に日本でレビュー済み
金原さんってモテるんだろうな〜と思う。毎回男女の話ばっかりなので、ちょっと飽きるかなぁ...
それだけ日常的に男女の関係が身近(実際に体の関係になるとかでなくですよ)なんだろうと思います。
作家にとって身近な男女関係・性から離れたものが読みたいし、それが書けるのが真の小説家なんではないでしょうか。
同年代なので期待しています!
それから子供産むと女性作家さんってそればっかりになるけど、そのくせインタビューなどで「子供産んだからって変わらない」とかいうのは何故なんだろう...
本音では自慢したいのが透けて見えるし、それが女性作家が大したことないと差別される一助になっちゃってると思う。子供産んでも離婚してもそれをいちいちそればっかり大げさにテーマに持ってこない、純粋な表現者(宇多田ヒカルさんとか)が小説界にももっと出てこないもんかな〜と思います。
それだけ日常的に男女の関係が身近(実際に体の関係になるとかでなくですよ)なんだろうと思います。
作家にとって身近な男女関係・性から離れたものが読みたいし、それが書けるのが真の小説家なんではないでしょうか。
同年代なので期待しています!
それから子供産むと女性作家さんってそればっかりになるけど、そのくせインタビューなどで「子供産んだからって変わらない」とかいうのは何故なんだろう...
本音では自慢したいのが透けて見えるし、それが女性作家が大したことないと差別される一助になっちゃってると思う。子供産んでも離婚してもそれをいちいちそればっかり大げさにテーマに持ってこない、純粋な表現者(宇多田ヒカルさんとか)が小説界にももっと出てこないもんかな〜と思います。
2019年6月24日に日本でレビュー済み
ぐいぐい引き込まれ、読ませる一冊でした。
人の感情を、ここまで考察して書いてたら著者自身病んだりしないのかと心配になるくらい、抉る抉る。
独白部分とか、少し村上龍さんと近いものがあるな、と。が、龍さんが描く人物には全て
龍さんを感じるけど、本作は本当に一人の人がこんなにも多様な人々の感情の機微を書き分けられるものなのかと驚きました。
ただ、由依にだけはずっと違和感が。彼女が、モデルを目指すような性格とはとても思えず、物語の間中、そこがずっとひっかかりました。圭となぜ結婚することにしたのかも謎…。
全てを語る必要はないと言われればそれまでですが、登場人物たちの中でも多くのページを割かれているキャラクターであるだけに、なんだか消化不良感が残りました。
人の感情を、ここまで考察して書いてたら著者自身病んだりしないのかと心配になるくらい、抉る抉る。
独白部分とか、少し村上龍さんと近いものがあるな、と。が、龍さんが描く人物には全て
龍さんを感じるけど、本作は本当に一人の人がこんなにも多様な人々の感情の機微を書き分けられるものなのかと驚きました。
ただ、由依にだけはずっと違和感が。彼女が、モデルを目指すような性格とはとても思えず、物語の間中、そこがずっとひっかかりました。圭となぜ結婚することにしたのかも謎…。
全てを語る必要はないと言われればそれまでですが、登場人物たちの中でも多くのページを割かれているキャラクターであるだけに、なんだか消化不良感が残りました。







