サラ・ポーリー監督作品ですが、割と(?)地味に公開された映画。
しかし内容は初監督とは思えないくらいしっかりしています。
ストーリーはシンプル。
老夫婦の妻がアルツハイマーを患い、施設に入所するものの、次第に症状が悪化してゆく・・・
そういう一歩間違えば、陳腐なただの「泣かせ」映画になるところを、
介護の現場をしっかりと捉え、そしてその家族の心情にまで踏み込んだ作品となっています。
俳優陣もみんな控え目な演技ながら、実に素晴らしい。
主人公夫婦もですが、施設の職員を演じている全てが素晴らしい。
演技に加えて、実際の介護の実情について。
実際に、
介護の現場を知っている人、
介護職に就いている人、
家族が施設に入所している人、
・・・誰でも、どこかで、少しでも経験があるのなら、
必ずどこかに自分を重ねることができると思います。
実は私は、この映画を見初めてから、施設に入所する描写をみて、
「サラ・ポーリー、って介護の現場を知らないんじゃないか」
と思っていました。
それくらい、表面的に、「キレイ事」ばかり描いていたからです。
しかし、施設ナースの登場により、徐々に施設の実情が明らかになってきます。
そう。「施設側の都合で入所者が扱われている」実態が描いています。
日本もアメリカもそうなんです。
「入所者が第一」、なんて言いながら、実は「施設の利益優先」で運営されているのが本当。
その点もしっかり描いている点も評価したい。
物語の、主人公夫婦、とりわけ夫のとった行動が良いかどうか、それは観客に委ねられます。
それはそれでよいと思います。
「これが正解」というのはないと思います。
最後に。
音楽の使い方がうまい。
ニール・ヤングの2曲「ハーヴェスト・ムーン」そして「ヘルプレス」
妻を施設に送るときに「ハーヴェスト・ムーン」が流れます。
この曲は、ニール・ヤングのアルバム
「ハーヴェスト・ムーン」のタイトルロールなわけですが、
これより20年ほど前に、
「ハーヴェスト」という素晴らしいアルバムがあり、
「ハーヴェスト・ムーン」はいわばその続編にあたるアルバムです。
つまり、この選曲は、まさにこの夫婦2人の20年間と、
ニール・ヤングの20年間にかぶせてあるのです。
そしてエンディングには「ヘルプレス」。
これはクロスビー・スティルズ・ナッシュ&ヤング時代の「デジャ・ヴ」の曲。
これは「ハーヴェスト」よりさらに前の作品。
そう、これこそ、夫婦2人が結婚した頃の曲、
一見地味ですが、こうして舞台となっているカナダ、そして
そのカナダ出身のニール・ヤングの楽曲で締めているところも好感がもてます。
出演者は高齢者ばかりですが、若い人こそ見てほしい、素晴らしい映画です。
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