勢いのあるシングル曲2つを冒頭に据えた大胆な1stとは異なり、今回は1トラック目、2トラック目、シングルの3トラック目と、比較的優しい曲調で始まる。それでもそれら楽曲はやはり、ポジティブな力強さを内在しているように思う。
4曲目「魔法」から、ドライブが掛かっていき、6曲目「Don't back」から、その標題の通り振り返らず前進するような、シリアスではあるがやはりポジティブさに満ちた楽曲群が連続する。シングル「Desires」がクライマックスの位置(7トラック目)にあるのも見事な配置というほかない。9曲目「まどろみ」でふと緊張感を緩め勢いを落とし、収束を予感させる。10曲目「Sway」は薄くリバーブがかったアコースティックピアノとアコギが美しいバラードだ。
そして最後、アルバムタイトルでもあるアップテンポの「アイ」で、期待を裏切らず力強く締める。
もしかしたら、これはコンセプトアルバムなのかもしれない。5曲目グッバイで過去(それまでの優しい楽曲群)にサヨナラし、6曲目「Don't back」で振り返らないことを決意し、「Desires」で強く望む。「夜と遠心力」、「まどろみ」、「Sway」(揺れ動く)などは心の微妙な運動と彷徨だ。望まれたのは、最終曲「アイ」なのではないか。
まあ勝手な妄想ですが。
声優のCDは何回か聴いてそれきり、というものが多いのだが、沼倉さんの1stは今でも時折聞いて、元気を頂いています。この2ndも、それに劣らず充実した楽曲群が揃っており、また前作の最後あたりがバラードが続いて少し弛緩していたように思われたのに対し、今回は非常にバランスの取れた楽曲配置になっていると思う。何度も聴きたくなるアルバム。
それにしても沼倉さんの声は特徴的ですね。今後も音楽の方面でも精力的に活動して欲しいです。