今年は特殊相対論誕生100年。その特殊相対論の基本的考え方はポアンカレがアインシュタイン以前にすべて出している、ということをポアンカレやアインシュタインその他の人々が書いた論文/文章を豊富に引用しながら実証している本。タイトルは過激だが、トンでも本ではなく、文献にあたって実証しているまじめな本。登場する主要人物は、ローレンツ、ポアンカレ、アインシュタインの3人。数式はほとんど使用せず、時間に関する哲学的な内容や、それぞれの人物の伝記的な話なども交えることで、専門家以外の人にもわかりやすく、かつ興味深く読めるように配慮している。アインシュタインの業績と考えられている相対論について、ポアンカレが特殊相対論の父であることを納得させられる本である。
アインシュタインの特殊相対性理論。しかし実際は、ポアンカレが積み重ねたアイディアと結果であり、アインシュタインより1か月近くも早く発表している。特殊相対論の「発見」について、数々の貴重な文献にあたって丹念に検証するとともに、本来は説明すべき実験結果である「光速度一定」が公準(原理)とされたわけや、時間の概念、相対性原理など、特殊相対論の本質について再検討する。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
深川/洋一
1983年東京大学大学院理学系研究科(物理学専攻)博士課程修了。翻訳者、独立の研究者。医師の協力のもと、“タンパク質の音楽”を応用した新しい医療に力を注ぐ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)