漫画「ゴールデンカムイ」はアイヌ文化を広く知らせる上で大いに貢献した。その監修をしているアイヌ語研究家の中川裕による本書は、ゴールデンカムイのサブテキストであり、アイヌ文化をさらに深く理解するための好著である。
アイヌ民族と日本民族は、江戸時代に入る前までは、交易を行うなどほぼ対等な立場であったものが、江戸時代に松前藩が確立して以降は、アイヌにとっての不利益交易、砂金目的の移民が北海道に押し寄せたことにより、徐々にアイヌの生活は苦しくなり、有名なシャクシャイン戦争などが起きる。しかし、「アイヌ内部のことはアイヌにまかせる」という方針によって、アイヌ文化は保たれていた。それが明治維新以降、北海道開拓の名のもとに日本人の「侵略」が進み、アイヌの同化政策が進められる。明治時代に定められ、1997年まで生きていた「旧土人保護法」は、アイヌの土地の没収、収入源であり文化であった漁業・狩猟の禁止、アイヌ固有の習慣風習の禁止、日本語使用の義務、日本風氏名への改名による戸籍への編入を定めたため、昭和には、アイヌ文化は観光地の見世物となり、差別の対象となり、アイヌ語を話す人もいなくなり、平成にはアイヌ文化は消えようとしていた。
法律名称にある土人という言葉からして、差別的だ。
アイヌ民族から、はじめて国会議員となった萱野茂によって旧土人保護法は廃止され、いま、アイヌ民族の復権、アイヌ文化の継承、アイヌ語の復活を目指してアイヌ自らが声を上げる運動が起こっている。
こうした歴史の流れのなかで、「ゴールデンカムイ」のアイヌ文化紹介は、日本人にアイヌの存在を知らしめ、アイヌ文化への理解を深め、アイヌの尊厳の
復権へ果した役割は大きかったとおもう。
アイヌ民族は文字を持たない。アイヌ語を禁止されれば文化は絶滅してしまう。
アイヌは狩猟の民である。土地を奪われ、狩猟が禁止されれば、生きるすべを失う。
アイヌの狩猟文化の考え方の基本は、本書でも紹介されているカムイという言葉に表わされている。著者は「人間とカムイ=環境はお互いがお互いを必要とするパートナー」であり「環境からの恩恵を当たり前のものと思わず、その恩恵を感謝して受け取ることによって、環境を悪化させないように配慮することができるようになる」と「カムイ」を解説している。
食べ残しは、カムイに「そんなことをするならあそこの家には土産を持っていくものか」と飢饉や飢餓につながる恐れをもたせ、必要以上に採らない事につながっている。「カムイ」に対する感謝がアイヌ民族の文化だ。イオマンテ(熊送り)という不思議な儀式の詳細も解説されている。食べ残しを禁止する法律を作らなければならないと言っている日本人にこそ、知るべき考え方だろう。
トゥレンペという憑神についての考え方も「無意識」と同意。アイヌはすべてのものに魂が宿ると考えている。
ゴールデンカムイでも度々アイヌ料理の話が出てくるが、本書ではそのレシピも詳述されていて興味深い。
本書の表紙は盛装して、祖先供養の場で祖先の霊にお酒を捧げるアシリパ。
アシリパの本書の表記は本当はリの字が小さい。私のワードで小さいリの字が変換しない。ゴールデンカムイに紹介されるアイヌ語表記はブ・ツ・ク・ム・シ・ラ・リ・ル・レ・ロ・ハ・ヒ・フ・へ・ホが小文字になっている。どんな発音か不思議だったが、本書で「北海道新聞社の道新アイヌ語小文字発音講座の動画で聞ける」とまさに読者の疑問に手取り足取り教えてくれる。
3月21日の北海道新聞に、1930年代に日本が学術振興会の予算を得て、道内各地のアイヌ墓地から、アイヌの遺骨を盛んに盗掘しアイヌ民族の人種研究を行い、当該アイヌから、遺骨の返還訴訟が、起こされた記事が掲載されていた。
同じ人としてアイヌを見ていない、日本人の傲慢さをかんじる。
他民族を尊重し、その文化に敬意を払うことが求められている。その、一歩として、
ゴールデンカムイファンだけでなく、多くの人に本書を読んで欲しい。
なぜなら、国会にアイヌ新法が政府によって提出されているからだ。
この法案には、アイヌの声が反映されたものかどうか、日本人として、関心を寄せるべきだろうと考えるからだ。
法案検討過程の公聴会で、土地、資源の返還や利用、川での鮭漁業権、アイヌ語の復権などの意見がアイヌから出されていた。しかし、法案には、ほとんど反映されていない。
法案に反映されたのは、儀式や伝統漁法の継承に限って、特別措置を認めるというもの。しかも、行為に当たっては、行政の許可が必要。
国連の先住民族権利宣言は、第26条で、先住民族は、伝統的に所有、使用してきた土地や資源に対して権利を有するとしている。
新法は、アイヌ民族を先住民族と認めながらも、先住権には、全くふれていない。国際的な常識から外れているのだ。観光振興という日本人のご都合主義が透けて見える。
先住権を認め、アイヌ自身による決定権を付与した法が必要ではないか。
2020年4月に、北海道白老に先住民族のアイヌの歴史と文化を紹介する国立アイヌ民族博物館ウポポイがオープンする。 共生がキーワードだ。共生の意味するところを、日本人は深く考えるべきだろう。
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アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」 (集英社新書) 新書 – 2019/3/15
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大人気漫画「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修者による、唯一の公式解説本が誕生!
野田サトル先生によるオリジナル描き下ろし漫画も収録!!
2018年に手塚治虫文化賞でマンガ大賞を受賞し、
アニメ化も果たした累計発行部数900万部超の大ヒット冒険活劇漫画「ゴールデンカムイ」。
同作をきっかけにして、初めてアイヌ文化に興味を抱いたという方も少なくないのではないか。
本書はそんな大人気作品のアイヌ語監修者が、
漫画の名場面をふんだんに引用しながら解説を行った、画期的入門書である。
「アシ(リ)パたちの名前はどのように決まったのか」
「話題の“オソマ”と“チタタプ ”にまつわる裏話とは?」
「“ヒンナ”の正確な意味と、本当の使い方」など、
原作ファンならば漫画が100倍面白くなること必至の知識が満載となっている。
もちろん、それだけではなく「アイヌの先祖はどこから来たか?」
「アイヌ語から解き明かす北海道の地名」「徹底解説! アイヌ文学」など、
原作を知らない方でも楽しめる内容が盛り沢山。
【本書の主な内容】
・「カムイ」とはそもそも何なのか?
・世にも恐ろしい魔物たちの伝説
・アイヌは子どもの名前をどのように決めるのか
・超特急! アイヌ語入門
・『ドラゴンボール』そっくり!? アイヌの英雄物語「ユカ(ラ)」徹底解説
・家庭で作れるアイヌ料理
・大人気! 「オソマ」と「チタタ(プ)」にまつわる裏話
・「ゴールデンカムイ」 あの名シーンの背景
・アイヌ語監修の仕事と創作秘話 ほか
【目次】
序章 アイヌ文化に人々を惹きつける「ゴールデンカムイ」の魅力
第一章 カムイとアイヌ
第二章 アイヌの先祖はどこから来たか?
第三章 言葉は力
第四章 物語は知恵と歴史の宝箱
第五章 信仰と伝説の世界
野田サトル先生描き下ろし オリジナル漫画
第六章 「ゴールデンカムイ」のグルメワールド
第七章 「ゴールデンカムイ」名シーンの背景
第八章 アシリパたちの言葉 アイヌ語とは
終章 アイヌ語監修というのは何をやっているのか?
付録 「ゴールデンカムイ」をより楽しむためのブックガイド
【著者略歴】
中川 裕(なかがわ ひろし)
1955年神奈川県生まれ。
千葉大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科言語学博士課程中退。
1995年、『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館)を中心としたアイヌ語・アイヌ文化の研究により、金田一京助博士記念賞を受賞。
野田サトル氏による漫画「ゴールデンカムイ」では、連載開始時から一貫してアイヌ語監修を務める。
野田サトル先生によるオリジナル描き下ろし漫画も収録!!
2018年に手塚治虫文化賞でマンガ大賞を受賞し、
アニメ化も果たした累計発行部数900万部超の大ヒット冒険活劇漫画「ゴールデンカムイ」。
同作をきっかけにして、初めてアイヌ文化に興味を抱いたという方も少なくないのではないか。
本書はそんな大人気作品のアイヌ語監修者が、
漫画の名場面をふんだんに引用しながら解説を行った、画期的入門書である。
「アシ(リ)パたちの名前はどのように決まったのか」
「話題の“オソマ”と“チタタプ ”にまつわる裏話とは?」
「“ヒンナ”の正確な意味と、本当の使い方」など、
原作ファンならば漫画が100倍面白くなること必至の知識が満載となっている。
もちろん、それだけではなく「アイヌの先祖はどこから来たか?」
「アイヌ語から解き明かす北海道の地名」「徹底解説! アイヌ文学」など、
原作を知らない方でも楽しめる内容が盛り沢山。
【本書の主な内容】
・「カムイ」とはそもそも何なのか?
・世にも恐ろしい魔物たちの伝説
・アイヌは子どもの名前をどのように決めるのか
・超特急! アイヌ語入門
・『ドラゴンボール』そっくり!? アイヌの英雄物語「ユカ(ラ)」徹底解説
・家庭で作れるアイヌ料理
・大人気! 「オソマ」と「チタタ(プ)」にまつわる裏話
・「ゴールデンカムイ」 あの名シーンの背景
・アイヌ語監修の仕事と創作秘話 ほか
【目次】
序章 アイヌ文化に人々を惹きつける「ゴールデンカムイ」の魅力
第一章 カムイとアイヌ
第二章 アイヌの先祖はどこから来たか?
第三章 言葉は力
第四章 物語は知恵と歴史の宝箱
第五章 信仰と伝説の世界
野田サトル先生描き下ろし オリジナル漫画
第六章 「ゴールデンカムイ」のグルメワールド
第七章 「ゴールデンカムイ」名シーンの背景
第八章 アシリパたちの言葉 アイヌ語とは
終章 アイヌ語監修というのは何をやっているのか?
付録 「ゴールデンカムイ」をより楽しむためのブックガイド
【著者略歴】
中川 裕(なかがわ ひろし)
1955年神奈川県生まれ。
千葉大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科言語学博士課程中退。
1995年、『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館)を中心としたアイヌ語・アイヌ文化の研究により、金田一京助博士記念賞を受賞。
野田サトル氏による漫画「ゴールデンカムイ」では、連載開始時から一貫してアイヌ語監修を務める。
- 本の長さ262ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2019/3/15
- 寸法10.6 x 1.4 x 17.3 cm
- ISBN-104087210723
- ISBN-13978-4087210729
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
本書は「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修者にしてアイヌ文化研究の第一人者である著者が、漫画の名場面をふんだんに引用しながら解説を行った唯一の公式解説本にして、アイヌ文化への最高の入り口となる入門的新書である。原作者・野田サトル氏によるオリジナル描き下ろし漫画も収録!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
中川/裕
1955年神奈川県生まれ。千葉大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科言語学博士課程中退。1995年、『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館)を中心としたアイヌ語・アイヌ文化の研究により金田一京助博士記念賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1955年神奈川県生まれ。千葉大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科言語学博士課程中退。1995年、『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館)を中心としたアイヌ語・アイヌ文化の研究により金田一京助博士記念賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2019/3/15)
- 発売日 : 2019/3/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 262ページ
- ISBN-10 : 4087210723
- ISBN-13 : 978-4087210729
- 寸法 : 10.6 x 1.4 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,294位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 4位コミック・アニメ研究
- - 4位集英社新書
- - 67位社会学概論
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.6
星5つ中の4.6
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漫画「ゴールデンカムイ」の監修者によるアイヌ文化の解説本ということで迷わず購入。筆者はかねがね「傑作とされる娯楽作品の多くは、リアルな要素と荒唐無稽な要素のバランスが良い。」と思っていて、同僚との雑談でもそんな話をしていたのだが、ある同僚が筆者の見解に賛成してくれた上で、「リアルと荒唐無稽のバランス」の典型として挙げたものが「ゴールデンカムイ」だった。筆者はそれまで本屋の店頭などで本作品を目にして、絵柄がなんとなく嫌な感じがして敬遠していたのだけれど、筆者の見解を同僚が肯定してくれた嬉しさもあって、同作品を購読してみた。2巻目を読み切るあたりまではあまり興が乗らなかったのだけれど、その後は一気にはまってしまった。アイヌ文化の描写の圧倒的なリアリティと物語の奇想天外さとの緊張感がものすごい。山田風太郎などの「蝦夷地ウェスタン」の風味があったり、特に谷垣二等兵が登場したところでは谷甲州氏の小説「凍樹の森」徳間文庫を彷彿とさせたりもしたが、物語の構想の雄大さという点では、漫画という表現手段の長所を生かした「ゴールデンカムイ」の優勢と感じた。
その様な作品の土台を支えるのが考証の確かさであることはいうまでもないが、その部分を支える著者による文化解説である。内容の細部はそれぞれに読んでいただくとして、本書を一読して著者のアイヌ文化に対する深い心情と志に感服した。さらに漫画作品の中のどこが著者の監修をに即した場面と作者の着想による場面であるか説明されている。それ自体も興味深いが、そこで作者の着想を著者が理解し評価するところに著者の作者に対する敬意が表現されていた。その上で、自分が長年取り組んできたアイヌ文化が漫画として表現されアニメ化されて広く受け入れられつつあることを喜ぶ著者の心情がかいま見えるところもあり、何か人間の生き様として良いものを読ませていただいたと感じた。
その上で、アイヌ文化の特徴を単なる「自然との共存」ではなく「環境(=環境世界/生活世界→昔かじったユクスキュル的な意味で 筆者の理解として)との相互的な共存」とする著者の指摘は大変参考になった。
その様な作品の土台を支えるのが考証の確かさであることはいうまでもないが、その部分を支える著者による文化解説である。内容の細部はそれぞれに読んでいただくとして、本書を一読して著者のアイヌ文化に対する深い心情と志に感服した。さらに漫画作品の中のどこが著者の監修をに即した場面と作者の着想による場面であるか説明されている。それ自体も興味深いが、そこで作者の着想を著者が理解し評価するところに著者の作者に対する敬意が表現されていた。その上で、自分が長年取り組んできたアイヌ文化が漫画として表現されアニメ化されて広く受け入れられつつあることを喜ぶ著者の心情がかいま見えるところもあり、何か人間の生き様として良いものを読ませていただいたと感じた。
その上で、アイヌ文化の特徴を単なる「自然との共存」ではなく「環境(=環境世界/生活世界→昔かじったユクスキュル的な意味で 筆者の理解として)との相互的な共存」とする著者の指摘は大変参考になった。
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1)わかりやすい副読本
冒険活劇漫画「ゴールデンカムイ」をアイヌ文化研究の第一人称である著者が読み説く副
読本である。アニメ化も去ることながら累計発行部数900万部超えの人気に支えられる層
は厚い。漫画に興味をお持ちならアイヌ文化への最高の入り口となるであろうし、本著作
を読んで漫画に興味を持つのもよい。
2)「ゴールデン」に込められた意味するところは!?
遠く大和朝廷との対立から東北に追いやられた蝦夷=“えみし”にルーツなのか!?という
神秘性をもたせつつも、さらには日露戦争直後の北海道という時代設定からして、政府の
植民政策により言葉も文化も奪われた、文字を持たない“ひ弱な先住民族”といったイメー
ジを“ぶち壊す”ことにある。
アイヌは農耕をしない、稲作のできない二流となるよりも和人との差異を最大限にする狩
猟民族となった。
それと同時に予想をはるかに超える採掘の専業的集団であり、高価な「金」=GOLDを手
にしたアイヌは和人ときちんと交易を繰り広げていたということだ。また、交易ができる
ということは階級社会であり“規律”のあることの証でもある。著作の中でも日本最大級の
フクロウ=シマフクロウが紹介されているが、フクロウ神にとって貧富の格差は自明であ
ったからだ。
そこから、囚人の体に掘られた暗号解読が隠し埋蔵金の所在だという設定の発想が生まれ
たのであろう。日露戦争の帰還兵である杉本佐一を主人公とし、それと狩猟民風情のアイ
ヌの少女・アシリパをヒロインに据える。それに対抗する大勢力、北海道独立国家を目論
む鶴見中将らの争奪戦が反響を呼ぶことになった。今は人物関係がより入り混んできてさ
らに面白さを増していっている状況なのだ。
3)「カムイ」って何!?
カムイ= 「神」!?もちろんそんな単純なものではない。生態系を意識し、自然の摂理・
循環の営みにもきちんと意味をみいだす。著作ではひとえに「環境」という。人間に“役立
つ”ものは全て“生”なのである。さすがに“石ころ”まではカムイとはいわない。また、意味
の見いだし方も“半端ない”。“叙事”的なのだ。
詳細は「カムイの中のカムイ」(28頁以下)を読むとわかるだろうが、たとえば、人間が
クマを狩るとする。
人間の放つ矢=“招待状”であり、クマ側からすれば肉と毛皮=“お土産”を差し出したとい
うことになる。人間は常に他者の命によって生かされ、自分を生かすものに感謝している。
「イオマンテ」の儀式も肉を食べるためにやっているのではなく、子クマを親元に送り返
すことにより、クマが再び客として人間世界にやってくるという発想なのである。ムコウ
の世界とリアル、ムコウの世界は人間の目には見えない、霊魂の状態であり、人間世界に
降りてきたときには人間の目でみえるようにクマという「衣装」を装う。クマを擬人化す
ることで、感謝の証としているのである。
「ゴールデンカムイ」はフィクションでありながらリアルの追求一点に集中する。アイヌ
文化の勘所となるところは「○巻○話」として随所に漫画を豊富に織り込んでいます。と
にもかくにも、面白く、わかりやすく、読みやすいです。
そう、「ゴールデンカムイ」の一歩を踏み出しましょう。
そう、朝の日本人の本流である「味噌汁」の食事をとり健康に留意しつつ「オソマ」を唱
えながら快適な一日を過ごしましょう。
冒険活劇漫画「ゴールデンカムイ」をアイヌ文化研究の第一人称である著者が読み説く副
読本である。アニメ化も去ることながら累計発行部数900万部超えの人気に支えられる層
は厚い。漫画に興味をお持ちならアイヌ文化への最高の入り口となるであろうし、本著作
を読んで漫画に興味を持つのもよい。
2)「ゴールデン」に込められた意味するところは!?
遠く大和朝廷との対立から東北に追いやられた蝦夷=“えみし”にルーツなのか!?という
神秘性をもたせつつも、さらには日露戦争直後の北海道という時代設定からして、政府の
植民政策により言葉も文化も奪われた、文字を持たない“ひ弱な先住民族”といったイメー
ジを“ぶち壊す”ことにある。
アイヌは農耕をしない、稲作のできない二流となるよりも和人との差異を最大限にする狩
猟民族となった。
それと同時に予想をはるかに超える採掘の専業的集団であり、高価な「金」=GOLDを手
にしたアイヌは和人ときちんと交易を繰り広げていたということだ。また、交易ができる
ということは階級社会であり“規律”のあることの証でもある。著作の中でも日本最大級の
フクロウ=シマフクロウが紹介されているが、フクロウ神にとって貧富の格差は自明であ
ったからだ。
そこから、囚人の体に掘られた暗号解読が隠し埋蔵金の所在だという設定の発想が生まれ
たのであろう。日露戦争の帰還兵である杉本佐一を主人公とし、それと狩猟民風情のアイ
ヌの少女・アシリパをヒロインに据える。それに対抗する大勢力、北海道独立国家を目論
む鶴見中将らの争奪戦が反響を呼ぶことになった。今は人物関係がより入り混んできてさ
らに面白さを増していっている状況なのだ。
3)「カムイ」って何!?
カムイ= 「神」!?もちろんそんな単純なものではない。生態系を意識し、自然の摂理・
循環の営みにもきちんと意味をみいだす。著作ではひとえに「環境」という。人間に“役立
つ”ものは全て“生”なのである。さすがに“石ころ”まではカムイとはいわない。また、意味
の見いだし方も“半端ない”。“叙事”的なのだ。
詳細は「カムイの中のカムイ」(28頁以下)を読むとわかるだろうが、たとえば、人間が
クマを狩るとする。
人間の放つ矢=“招待状”であり、クマ側からすれば肉と毛皮=“お土産”を差し出したとい
うことになる。人間は常に他者の命によって生かされ、自分を生かすものに感謝している。
「イオマンテ」の儀式も肉を食べるためにやっているのではなく、子クマを親元に送り返
すことにより、クマが再び客として人間世界にやってくるという発想なのである。ムコウ
の世界とリアル、ムコウの世界は人間の目には見えない、霊魂の状態であり、人間世界に
降りてきたときには人間の目でみえるようにクマという「衣装」を装う。クマを擬人化す
ることで、感謝の証としているのである。
「ゴールデンカムイ」はフィクションでありながらリアルの追求一点に集中する。アイヌ
文化の勘所となるところは「○巻○話」として随所に漫画を豊富に織り込んでいます。と
にもかくにも、面白く、わかりやすく、読みやすいです。
そう、「ゴールデンカムイ」の一歩を踏み出しましょう。
そう、朝の日本人の本流である「味噌汁」の食事をとり健康に留意しつつ「オソマ」を唱
えながら快適な一日を過ごしましょう。


![MOE (モエ) 2021年12月号 [雑誌] (ゴールデンカムイとアイヌの物語 | 絵本ふろく ヨシタケシンスケ「かみはこんなに くちゃくちゃだけど」)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/71XQZvAZeaL._AC_UL160_SR160,160_.jpg)



