タイトル名が気になって購入しました。
本作の序盤を読んだ時にある作品をイメージしました。それは『クズの本懐』という作品。例に出しておいてなんですが、『入口』だけです。あの作品とは完全に別物です。しかし、あの作品と同様、本作のメインキャラクター二人(主人公:桐島、ヒロイン①:早坂)は「恋人同士」という関係で付き合っていますが、お互いに別の好きな人がおり、「恋人同士なのに2番目に好きな人同士」という関係です。(『キープじゃね?』と思った方、その通り『キープ』なんです。)
二人は2番目同士にルールを設けました。以下のものです。
・俺たちが付き合っていることを互いの一番の相手に知られてはいけない。
・どちらか一方が一番と付き合えるようになったときは、二人の関係を解消する。
・キスより先はしない。(このルールだけ、後づけ)
序盤を読んだ時点では『実はヒロイン(早坂)が好きな人は主人公(桐島)で「私だけを見てくれる主人公が一番好き!」』という甘い展開を妄想をしていたのですが、そんな妄想、木っ端微塵にされました。(そんなに甘い作品じゃありませんでした…) 本作に『純愛』を求めるのは間違っていると思います。『タイトル名で察しろ!』という話ですが…。
主人公の一番(ヒロイン②: 橘)は最初『もの静かでクール』という印象だったのですが、ある件がきっかけに主人公が在籍する『ミステリー研究部』に入部し、どんどん印象が変わっていきました。彼女は『ドキドキしてみたい』とミステリー研究部に置かれていた『恋愛ノート』(通称:禁書)に書かれていた恋愛ゲームを主人公とすることに…。
早坂さんは主人公の一番(橘)が『ミステリー研究部』に入部してきたことを当然主人公から知らされており、最初は『主人公を応援する』というスタンスだったのですが、どんどんおかしくなっていきます。(『壊れていきます』とも言い換えられる) 途中は完全に『ヤンデレ属性』が付与されていますね。
さて、私個人の感想になりますが『滅茶苦茶面白かった』です。キャラクターの心境・恋愛感情・環境などどんどん変わっていきますし、徐々に明かされる真実に驚かされることも多かったです。サブキャラクターもなかなかに歪んでて「まともな人の方が少ないんじゃね?」という感想もあります。物語の最後の台詞には本当に驚かされ、ガチで鳥肌が立ちました。
本作に「華やかさ」や「美しさ」といった「煌びやかさ」はなく、もっと「歪んで」て、「屈折して」て、「倒錯した」想いが描かれた作品です。人道に反している点もあるので批判的な意見もあると思いますが、それでも私は『この作品を他の方に薦めたい』と思います。『恋愛』という言葉に真摯に向き合い、非常にリアリティーがある作品だと思います。二巻が今冬発売予定とのことですが、私は絶対に買います!
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わたし、二番目の彼女でいいから。 (電撃文庫) Kindle版
「私も桐島くんのこと、二番目に好き」
俺と早坂さんは互いに一番好きな人がいるのに、二番目同士で付き合っている。
それでも、確かに俺と早坂さんは恋人だ。一緒に帰って、こっそり逢って、人には言えないことをする。
だけど二番目はやっぱり二番目だから、もし一番好きな人と両想いになれたときは、この関係は解消する。そんな約束をしていた。
そのはずだったのに――
「ごめんね。私、バカだから、どんどん好きになっちゃうんだ」
お互いに一番好きな人に近づけたのに、それでも俺たちはどんどん深みにはまって、歯止めがきかなくて、どうしても、お互いを手放せなくなって……。
もう取り返しがつかない、100%危険で、不純で、不健全な、こじれた恋の結末は。
俺と早坂さんは互いに一番好きな人がいるのに、二番目同士で付き合っている。
それでも、確かに俺と早坂さんは恋人だ。一緒に帰って、こっそり逢って、人には言えないことをする。
だけど二番目はやっぱり二番目だから、もし一番好きな人と両想いになれたときは、この関係は解消する。そんな約束をしていた。
そのはずだったのに――
「ごめんね。私、バカだから、どんどん好きになっちゃうんだ」
お互いに一番好きな人に近づけたのに、それでも俺たちはどんどん深みにはまって、歯止めがきかなくて、どうしても、お互いを手放せなくなって……。
もう取り返しがつかない、100%危険で、不純で、不健全な、こじれた恋の結末は。
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2021/9/10
- ファイルサイズ13069 KB
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登録情報
- ASIN : B09DRRSY3W
- 出版社 : KADOKAWA (2021/9/10)
- 発売日 : 2021/9/10
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 13069 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 本の長さ : 311ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 2,985位Kindleストア (の売れ筋ランキングを見るKindleストア)
- - 15位電撃文庫
- - 657位ライトノベル (Kindleストア)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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2021年9月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公と早坂あかね、2人共に1番好きな人が別にいるのに、2番目同士で付き合っている、というお話。
当然、そんな事上手くいくはずもなく…なのだが、主人公が1番目に好きな橘あかりがある意味そういうのが許されない立場でありながら、別角度で積極的にアプローチしてくるため、その不純さ・背徳さ・官能さが半端ない。ありとあらゆるシチュエーションに背徳感が満載されている為、読んでいてシャレにならないくらいドキドキした。
ヒロインの早坂あかねは情熱的、橘あかりは艶絶に接してくる上に、最終的には4角関係というものすごい歪な関係になってしまうので、読んでいて常に頭の中にこの状況はマズいと訴えかけてくる。
最終ページの挿絵は必見。彼女達に刃物を持たせてはいけない。
当然、そんな事上手くいくはずもなく…なのだが、主人公が1番目に好きな橘あかりがある意味そういうのが許されない立場でありながら、別角度で積極的にアプローチしてくるため、その不純さ・背徳さ・官能さが半端ない。ありとあらゆるシチュエーションに背徳感が満載されている為、読んでいてシャレにならないくらいドキドキした。
ヒロインの早坂あかねは情熱的、橘あかりは艶絶に接してくる上に、最終的には4角関係というものすごい歪な関係になってしまうので、読んでいて常に頭の中にこの状況はマズいと訴えかけてくる。
最終ページの挿絵は必見。彼女達に刃物を持たせてはいけない。
2021年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近は付き合う前から半同棲みたいな状況になったりイチャ甘生活したりとお手軽に愛し合う主人公とヒロインを楽しむのがラブコメの主流となりつつありますが、そんな時代に一石どころか核爆弾をブチ込もうとする作品がこれです。
ざっくりで言えばお互いに二番目に好き同士の主人公とヒロイン(表紙手前の子)は付き合っており、なんやかんやで主人公の一番目に好きな相手(表紙の黒髪ロング)も主人公の事が好きらしくて……? そうです、重い愛、嫉妬、修羅場等の恋愛のダークサイドにスポットが当たったお話です。
今巻ラストの時点でかなりエゲつないのに巻末の予告だと次巻ではさらにエグい展開が待ってるようで、一体彼ら彼女らがどんな結末に向かうのか今から楽しみでしょうがないですね。
ざっくりで言えばお互いに二番目に好き同士の主人公とヒロイン(表紙手前の子)は付き合っており、なんやかんやで主人公の一番目に好きな相手(表紙の黒髪ロング)も主人公の事が好きらしくて……? そうです、重い愛、嫉妬、修羅場等の恋愛のダークサイドにスポットが当たったお話です。
今巻ラストの時点でかなりエゲつないのに巻末の予告だと次巻ではさらにエグい展開が待ってるようで、一体彼ら彼女らがどんな結末に向かうのか今から楽しみでしょうがないですね。
2021年10月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作者である西条陽の作品を手にするのはこれが初。デビュー作である「ランダム・ウォーカー」シリーズは関心はあったのだけど、タイミングが合わず読み逃していたので新作の発表を聞いて拝読してみる事に。
物語の方は主人公の高校生・桐島がクラスメイトの女子・早坂さんと肩を並べての帰宅の道すがら自動販売機で買ったサイダーを回し飲みしている場面から始まる。女子との回し飲み=間接キスという事で早坂さんから渡されたペットボトルを前に困惑する桐島だったが早坂さんは構わないと勧めてくる。
ペットボトルを口にした桐島に対し早坂さんは「間接キスだね」とからかうが、結局は自分が照れてるのを隠せず顔を真っ赤にする羽目に。そんな少しばかりポンコツ気味な早坂さんだったが、授業中に熱がある事が発覚し、桐島に自宅へと送ってもらう途上であった。
互いに相手を「二番目に好き」という事で一番好きな相手に想いが通じるまで「二番目の彼氏・彼女でいよう」という奇妙な付き合いを始めた二人だったが、早坂さんはなぜか自宅に送ってくれた桐島を自室に、そして自身が横たわるベッドへと誘い込み過剰なスキンシップを図ってくる。クラスのカラオケ大会に同じクラスメイトでありながら孤高の存在であり「一番好きな相手」である橘さんが参加すると聞いて浮き立った桐島の態度に気付いていた事を打ち明けながら早坂さんは更にディープキスまでねだり始め……
風変わりなラブコメであり、色々と楽しみ方がある作品だけれども、読み終えて印象に強く残ったのは「弱さ」の描写だったろうか?互いに相手を「二番目に好き」と打ち明けて、その上で本命でない筈の相手とまるで本物の彼氏・彼女であるかの様に付き合う、そしてその「熱愛ぶり」こそが本当の想いに向き合えず逃避を繰り返す弱さをより強調する……まことにユニークな作品であったという他無い。
ストーリーの方は二番目の彼氏・彼女という関係でありながら本物の恋人の様に迫ってくる、ちょいとポンコツ気味な女の子・早坂さんの大胆さに戸惑う主人公の桐島が、「一番好きな相手である」クール系美少女の橘さんが一人部活だったミステリ研に入部してくるという僥倖に恵まれながらも橘さんが抱える事情を知ってしまった事で身動きできないまま、早坂さんの恋が成就するよう手助けしたりしているうちに「自分は、早坂さんは一体誰に恋をしているのか?」というある種の迷子状態に陥っていく様を追っている。
巻頭のカラーピンナップが表紙を捲ったらまあ大変といった塩梅で過激なのだけど(コミケで売っている「抱き枕」の裏面みたいな構図を想像したらよろしい)、作中では割と可愛らしいというか……確かに高校生のスキンシップとしては過激ではあるのだろうけどゴムが必要になったりする一線を超えたりするわけでは無いのであくまで「恋愛ごっこ」みたいな次元に留まっている。むしろこの過剰なスキンシップは「二番目の彼女」早坂さんのポンコツ暴走ぶりを強調する様などこかコメディタッチの様相すら呈している。
それに対抗する様にミステリ研に入部してきた橘も部に伝わる「恋愛マニュアル」を参考に次から次へと桐島に対して挑発的な行動を取ってくるのだけど、これまた本音をなかなか晒そうとしない桐島を試す意味合いの方が強いわけでやはりどこかユーモラスな印象を受ける。
ただ、このやたら積極的なヒロイン二人に挟まれた状態にある桐島の弱さこそが本作で作者が描こうとした事の本質じゃないかと思う次第。「弱さ」にも色々あるのだけど、その弱さの様相がストーリーが進行するにつれて様々に変化していくところが特徴的。序盤から本命である橘に対しては想いを打ち明けられず都合の良い「二番目の彼女」である早坂さんの積極性に流されている辺りからして実に弱い。
そしてこの弱さが読者の誰しもが身に覚えがあるであろう「本当に好きな物にまっすぐ向き合う難しさ」を掻き立ててくるのだから、この辺り読者の転がし方が非常に巧い。「さっさと告っちゃえばいいじゃん」と外野としては嗾けたくもなるけど、いざ自分がその立場になったら難しいよなあ、逃げを打っちゃうよなあと変な共感を覚えてしまうのである。
しかも後半で橘の想いに気付きながらも「彼女の置かれた立場を知ってしまった」というもっともらしい建前で散々に橘から挑発されながら「何も彼女の役に立てない未成年者」という自分の立場に逃げ込む様と言ったら実に惨めったらしく、自分の想いに向き合えない弱さをこれ以上なく際立たせている。
主人公像も種々多用ではあるのだが、憧れの対象となる「ヒーロー」からは程遠く、むしろ誰もが身に覚えのある何かと言えば逃げに走る弱さを打ち出した読みながら「まったくしょうがねえなあ」と苦笑させられるタイプの共感型主人公と称した方が良いだろうか?
ただ、後半で役者が揃ったあたりからストーリーの進行が若干スローペースになった点が惜しまれる。この逃げに逃げまくる主人公が二人のヒロインに「どっち?」と迫られて破局する場面を楽しみにしていたのだが、橘の「欺瞞カップル」に対する宣戦布告とでも称するべき場面で、完全に「引き」で終わってしまったので「あれれ、続くのか……」と些か拍子抜けしてしまった。個人的にはあまり引っ張るよりもバシッと完結にラストに持って行った方が好みの構成になったと思うのでそこだけ一点マイナス。
それでもこの「逃げる主人公」を描く上で二番目の彼氏・彼女という関係性やその自己欺瞞としか言いようが無い態度を取り続ける少年少女の「弱さ」の描き方には大いに楽しませて頂いた。「引き」で終わった点は些か残念だったけど、それでも次巻以降ででこの奇妙な関係がどの様な清算を迎えるのかを見極めたいと思わされたし、しばらくは付き合ってみても良いかと思わされたシリーズ第一巻であった。
物語の方は主人公の高校生・桐島がクラスメイトの女子・早坂さんと肩を並べての帰宅の道すがら自動販売機で買ったサイダーを回し飲みしている場面から始まる。女子との回し飲み=間接キスという事で早坂さんから渡されたペットボトルを前に困惑する桐島だったが早坂さんは構わないと勧めてくる。
ペットボトルを口にした桐島に対し早坂さんは「間接キスだね」とからかうが、結局は自分が照れてるのを隠せず顔を真っ赤にする羽目に。そんな少しばかりポンコツ気味な早坂さんだったが、授業中に熱がある事が発覚し、桐島に自宅へと送ってもらう途上であった。
互いに相手を「二番目に好き」という事で一番好きな相手に想いが通じるまで「二番目の彼氏・彼女でいよう」という奇妙な付き合いを始めた二人だったが、早坂さんはなぜか自宅に送ってくれた桐島を自室に、そして自身が横たわるベッドへと誘い込み過剰なスキンシップを図ってくる。クラスのカラオケ大会に同じクラスメイトでありながら孤高の存在であり「一番好きな相手」である橘さんが参加すると聞いて浮き立った桐島の態度に気付いていた事を打ち明けながら早坂さんは更にディープキスまでねだり始め……
風変わりなラブコメであり、色々と楽しみ方がある作品だけれども、読み終えて印象に強く残ったのは「弱さ」の描写だったろうか?互いに相手を「二番目に好き」と打ち明けて、その上で本命でない筈の相手とまるで本物の彼氏・彼女であるかの様に付き合う、そしてその「熱愛ぶり」こそが本当の想いに向き合えず逃避を繰り返す弱さをより強調する……まことにユニークな作品であったという他無い。
ストーリーの方は二番目の彼氏・彼女という関係でありながら本物の恋人の様に迫ってくる、ちょいとポンコツ気味な女の子・早坂さんの大胆さに戸惑う主人公の桐島が、「一番好きな相手である」クール系美少女の橘さんが一人部活だったミステリ研に入部してくるという僥倖に恵まれながらも橘さんが抱える事情を知ってしまった事で身動きできないまま、早坂さんの恋が成就するよう手助けしたりしているうちに「自分は、早坂さんは一体誰に恋をしているのか?」というある種の迷子状態に陥っていく様を追っている。
巻頭のカラーピンナップが表紙を捲ったらまあ大変といった塩梅で過激なのだけど(コミケで売っている「抱き枕」の裏面みたいな構図を想像したらよろしい)、作中では割と可愛らしいというか……確かに高校生のスキンシップとしては過激ではあるのだろうけどゴムが必要になったりする一線を超えたりするわけでは無いのであくまで「恋愛ごっこ」みたいな次元に留まっている。むしろこの過剰なスキンシップは「二番目の彼女」早坂さんのポンコツ暴走ぶりを強調する様などこかコメディタッチの様相すら呈している。
それに対抗する様にミステリ研に入部してきた橘も部に伝わる「恋愛マニュアル」を参考に次から次へと桐島に対して挑発的な行動を取ってくるのだけど、これまた本音をなかなか晒そうとしない桐島を試す意味合いの方が強いわけでやはりどこかユーモラスな印象を受ける。
ただ、このやたら積極的なヒロイン二人に挟まれた状態にある桐島の弱さこそが本作で作者が描こうとした事の本質じゃないかと思う次第。「弱さ」にも色々あるのだけど、その弱さの様相がストーリーが進行するにつれて様々に変化していくところが特徴的。序盤から本命である橘に対しては想いを打ち明けられず都合の良い「二番目の彼女」である早坂さんの積極性に流されている辺りからして実に弱い。
そしてこの弱さが読者の誰しもが身に覚えがあるであろう「本当に好きな物にまっすぐ向き合う難しさ」を掻き立ててくるのだから、この辺り読者の転がし方が非常に巧い。「さっさと告っちゃえばいいじゃん」と外野としては嗾けたくもなるけど、いざ自分がその立場になったら難しいよなあ、逃げを打っちゃうよなあと変な共感を覚えてしまうのである。
しかも後半で橘の想いに気付きながらも「彼女の置かれた立場を知ってしまった」というもっともらしい建前で散々に橘から挑発されながら「何も彼女の役に立てない未成年者」という自分の立場に逃げ込む様と言ったら実に惨めったらしく、自分の想いに向き合えない弱さをこれ以上なく際立たせている。
主人公像も種々多用ではあるのだが、憧れの対象となる「ヒーロー」からは程遠く、むしろ誰もが身に覚えのある何かと言えば逃げに走る弱さを打ち出した読みながら「まったくしょうがねえなあ」と苦笑させられるタイプの共感型主人公と称した方が良いだろうか?
ただ、後半で役者が揃ったあたりからストーリーの進行が若干スローペースになった点が惜しまれる。この逃げに逃げまくる主人公が二人のヒロインに「どっち?」と迫られて破局する場面を楽しみにしていたのだが、橘の「欺瞞カップル」に対する宣戦布告とでも称するべき場面で、完全に「引き」で終わってしまったので「あれれ、続くのか……」と些か拍子抜けしてしまった。個人的にはあまり引っ張るよりもバシッと完結にラストに持って行った方が好みの構成になったと思うのでそこだけ一点マイナス。
それでもこの「逃げる主人公」を描く上で二番目の彼氏・彼女という関係性やその自己欺瞞としか言いようが無い態度を取り続ける少年少女の「弱さ」の描き方には大いに楽しませて頂いた。「引き」で終わった点は些か残念だったけど、それでも次巻以降ででこの奇妙な関係がどの様な清算を迎えるのかを見極めたいと思わされたし、しばらくは付き合ってみても良いかと思わされたシリーズ第一巻であった。
2021年10月3日に日本でレビュー済み
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後書きから読む方もいらっしゃるみたいですが、それはさておき。
ストアでちょくちょく見かけるあまりにも性癖にぶっ刺さるタイトル。
うわまたNTR系か……なんて思って遠ざけてたんですが、
とあるレビュアーのレビューを見て、いよいよ気になったので購入。
口絵を見て、「あ、これはメンブレ喰らうヤツだ」と直感しました。
兎に角、主人公に近い視点で読むと感情の置き所が解らなくなりました。
これは完全に私の恋愛傾向から来るものなので同意されないと思いますが、
恋愛、誰かへの恋に果たして順番はあるのか?
後書きにて作者は新しい恋愛の形を求めたい、と。
こんな関係現実にあってたまるか、と言ってやりたいです。
端的にいって主人公は真面目系クズで、最後の最後、ヒロインと共犯関係で終わります。
続きは気になりますが、完結卷まで待って一気買いしようかなと。
多分そうしないと精神もたない可能性が出てきましたので……
感情を揺さぶり、背徳的で不純にして不健全な恋愛物語、ここに開幕。
ストアでちょくちょく見かけるあまりにも性癖にぶっ刺さるタイトル。
うわまたNTR系か……なんて思って遠ざけてたんですが、
とあるレビュアーのレビューを見て、いよいよ気になったので購入。
口絵を見て、「あ、これはメンブレ喰らうヤツだ」と直感しました。
兎に角、主人公に近い視点で読むと感情の置き所が解らなくなりました。
これは完全に私の恋愛傾向から来るものなので同意されないと思いますが、
恋愛、誰かへの恋に果たして順番はあるのか?
後書きにて作者は新しい恋愛の形を求めたい、と。
こんな関係現実にあってたまるか、と言ってやりたいです。
端的にいって主人公は真面目系クズで、最後の最後、ヒロインと共犯関係で終わります。
続きは気になりますが、完結卷まで待って一気買いしようかなと。
多分そうしないと精神もたない可能性が出てきましたので……
感情を揺さぶり、背徳的で不純にして不健全な恋愛物語、ここに開幕。
2021年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最初に述べておきますが僕には早見と橘どちらも選べません。主人公の初恋で現在も一番好きな橘さん。2番目の彼女として主人公に尽くすヤンデレ気質の早見さん。どちらがどちらも非常に魅力的で惹きつけられます。妥協と嫉妬と優越感と......様々な感情が入り乱れる愛憎劇に、読んでるこちらもハラハラ、ドキドキ、ソワソワ、イライラ......感情をぐちゃぐちゃにされながら一気に読んでしまいました。
間違いなく良作で自信を持っておすすめ出来る一冊です。2巻も楽しみにしています。
間違いなく良作で自信を持っておすすめ出来る一冊です。2巻も楽しみにしています。
2021年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
お試しで呼んで、ずっと放置していました。
滑り出しでイマイチ魅力を感じなかったので。
ところが、いざ読み進めてみるとこれがなかなか趣深かった。
2番目に好き、(それはかなり好き)、そう言うちょっとこれまでにない書き口。
確かにその通り、2番目位に好きな相手なら十分満足してしまうのがリアル。
でも、それだと物語になりにくく、大抵は【1番】のみにスポットが当たってきていました。
ですので、本作の書き口はリアルでありながらなかなか読ませる深さを感じました。
とくに、本作のタイトルにもなっている【2番目の彼女でイイから】
これがなかなか、いやいや、とても深いところに堕としてくれていて、最高。
滑り出しでイマイチ魅力を感じなかったので。
ところが、いざ読み進めてみるとこれがなかなか趣深かった。
2番目に好き、(それはかなり好き)、そう言うちょっとこれまでにない書き口。
確かにその通り、2番目位に好きな相手なら十分満足してしまうのがリアル。
でも、それだと物語になりにくく、大抵は【1番】のみにスポットが当たってきていました。
ですので、本作の書き口はリアルでありながらなかなか読ませる深さを感じました。
とくに、本作のタイトルにもなっている【2番目の彼女でイイから】
これがなかなか、いやいや、とても深いところに堕としてくれていて、最高。