ユキさんが幼いころ、母親が統合失調症を発症しました。
かっての精神分裂症が統合失調症と呼称変更になったのは2002年、13年前です。
ほんわかした絵柄に救われますが、内容はすさまじいです。バトルです。
ユキさんは統合失調症を発症し崩れていく母と、何が起こったのかわからないままオロオロし一緒に生活します。
病気の母は、幻聴による「殺せ、殺せ」の声で包丁をもって娘に迫ることもあります。そんな母親を恐れ、怯えながら、病気の母の世話に明け暮れるユキさんです。
母親の病気で結婚し家庭を持つことなど諦めていましたが、縁があり結婚されました。ご主人はおおらかな性格と介護福祉士という仕事が幸いし、母親との関係は良好です。
マンガの持つチカラでしょう。日常の何気ない出来事の描写がほのぼのとしたものを感じさせます。
この本は統合失調症についての病識、ケアーのあり方、障害年金などの知識をわかりやすく描かれています。
同じように統合失調症の母親をもつ精神科医の夏苅郁子先生は、ユキさんの漫画を読み、衝撃で涙が止まらなくなり、ユキさんに手紙を書き、会うことにしました。
同じ苦しみ悩みの2人は、胸の内を吐き出し、6時間も語り続け、涙、涙、涙でした。
ユキさんとの出会いは母親の病気をカミング・アウトする大きな力となって、夏苅先生の背中を押しました。夏苅先生は、以前紹介しました「心を病む母が残してくれたもの」という本を発表しました。
どんな社会・民族・国、いつの時代でも統合失調症の発生率は、人口の1%です。誰でもガン細胞を持つように、だれでも統合失調症の遺伝子を持っており、発症する可能性は誰にでも、あります。
健常な人は、発現しないだけであることはガンと同じです。
統合失調症の確定的な原因は不明です。大きいストレスが影響しているようです。確たる治療法はありません。回復率は徐々に向上していますし、サポートする体制も良くなる方向です。
でも、患者を支えているは、今も昔も家族が中心です。家族の負担は、大きく、そして長きに渡ります。
この本は、家族のあり方についても、考えさせられます
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