かつて不登校だった自らの子どもに向き合ってきた作者が書いただけに、子の不登校の問題に
悩む多くの親が、共感を持って読める内容の本である。
子どもの不登校の段階・状況・心理状態。
それに振り回され、あちこちにすがる親たち。
どの不登校対策本より詳しく不登校というものを分析したこの本に、親たちは「あ〜あるある」
とひざをたたくに違いない。
ただし、それと同時に、自らの子育てがいかに子の成長に影を落としてきたかを、否応もなく
振り返らざるをえなくなり、いたたまれなくなって、本から逃げ出したくなるかもしれない。
きめ細やかに丁寧に、読者への愛情を持って書かれているが、不登校の子を持つ読者にとって
は衝撃的であり、厳しい本だ。
いまや不登校に関する情報やカウンセリングなどの対処方法は、「不登校ビジネス」と呼んでも
いいくらい世の中に溢れている。
ただし、それは「不登校」という状態を一時的に解決するだけの、対処療法のようなものがほとん
どだ。
不登校を招いている真の原因には気づかず、「誰かがどうにかしてくれる」とビジネスにすがり、
結果不登校を長引かせている親はたくさんいるのではないかと思う。
娘が不登校の渦中にあるこの私もそうであった。
親が変わらなければ子は変わらない。
どの不登校解決のマニュアルにも、まずそのように書いてある。
頭ではわかっていたつもりだった。
でも、私は自らが変わろうとせず、てっとり早く、と娘にカウンセリングを無理やり受けさせ、
娘の傷をさらに深くしていった。
そんななか、この本に出会った。
まさに衝撃であった。
娘の不登校は、母親である自分が原因である。
そんなことにやっとのことで気づいたが、娘の傷、そしてその深刻さにも気づき、一度はドン底
に落ちた。
でも、作者は愛情を持って語りかける。
不登校の子を持つ親自身が、子ども時代に多くのものを失ってきたのだ。
親である自分自身が、失ったものを取り戻すことで、子どもの求めているものを理解し、自然に
与えることが出来るようになる。
そこから親子関係の修復が始まり、不登校の回復につながっていく、と。
この本の後半で作者は、その親子関係の修復の方法やプロセスについてを、「回復への道」
として、丁重に説明してくれている。
これはどの不登校解決本でも見なかった理論だと思う。
ただし、その道は決して平坦ではない。
でもこの本に出会い、気づき、ほんとうに良かったと思う。
娘と、そして自分自身の回復への第一歩が、やっと踏み出せたと思うから。
何度もこの本を読み返し、少しずつ歩んでいこうと思う。
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