あるとき、男は政府軍の猛攻を逃れ、ある洞窟に辿り着いた。そこで男は、自らにのみ語りかける<声>の存在に気づく。
その<声>は、かつてこの国の支配者階級だった武士の千年近くに亘る壮大な戦いの歴史を物語りはじめる――。
本年度歴史小説最大の話題作、ここに誕生! 『小説BOC』「螺旋プロジェクト」中世・近世篇

本の長さ

415ページ
言語

日本語
出版社

中央公論新社
発売日

2019/5/8
ISBN-10

4120051900
ISBN-13

978-4120051906
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商品の説明

内容（「BOOK」データベースより）

源頼朝、足利尊氏、明智光秀、大塩平八郎、土方歳三…命を懸けた果てなき争いの先に待ち受けていた光景とは?千年近くの永きに亘り、この国を支配し続けてきた武士。しかしてその真の主役とは、勝者・敗者問わず、あらゆる猛き者をなぎ倒し、咆哮する魂を飲み込んでひたすらに驀進し続けた“歴史”そのものであった。いま、若き勢いそのままに練達の境地へと飛躍する著者が、その血塗られた戦いの系譜を、一巻の書物の中に極限まで描き切った。本書は、一篇の娯楽的歴史小説を、この国の叙事詩へ昇華させることに成功した、圧巻の物語である。さあ、覚悟して本書を繙かれよ。そして、その歴史の“声”に耳を傾けよ―。

著者について

天野純希
一九七九年生まれ、愛知県名古屋市出身。愛知大学文学部史学科卒業後、二〇〇七年に「桃山ビート・トライブ」で第二〇回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。二〇一三年『破天の剣』で第一九回中山義秀文学賞を受賞。そのほかの著書に『有楽斎の戦』『信長嫌い』『燕雀の夢』『蝮の孫』など。

登録情報

出版社 : 中央公論新社 (2019/5/8)
発売日 : 2019/5/8
言語 : 日本語
単行本 : 415ページ
ISBN-10 : 4120051900
ISBN-13 : 978-4120051906

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MARCELO RIOS

作中の登場人物が好きな方にはツボです！

2019年5月16日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

楠木正成、大塩平八郎、西郷隆盛(←１冊で私の大好きな３人が味わえた)eｔｃ。

単なる短編集かと思いきや、１つのテーマを通じて描く短編大河？！的作品です。

海の一族と山の一族。その間を調整する一族。太古からそれら部族の対立が、この国の歴史を作ってきたという前提で平将門、源頼朝＆義経、織田信長・光秀、大塩平八郎、西郷隆盛＆坂本龍馬らの生き様を描いてます。

謎めいた作りも手伝い大変楽しめました。が、しかし、オチがトーンダウンしちゃたかなと感じたこと、ドメジャー過ぎる武将だらけだったので間に由比正雪をかましても良かったのではと感じたこと、それにジャケ画がダサく感じた全３つの不満を引いて、星４とさせてもらいました。

4人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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ゆうけい

海族と山族の対立という設定を活かし、中世近世まとめて武士の時代を総括しようという意欲作

2019年7月17日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

　　螺旋プロジェクト第三回発刊は新進歴史小説家天野純希の「もののふの国」。前2作の短期間に絞った設定から打って変わり、平安時代の平将門の乱から明治初期の西南戦争まで、1000年近くの長きに渡った武士（もののふ）の時代を総括した壮大な物語となっている。

　　　　こういう設定を活かして武士の時代を語る以上、政権交代のたびに海族山族が入れ替わるということになる。作者の設定を簡単にまとめると

平家　海族
源氏　山族
足利　海族
織田、豊臣　海族
徳川　山族
ラスト・サムライ：　西郷隆盛　海族

ということになる。この武士の時代からピックアップした十一の短編からなるがどの作品にも作者独特の考察がなされており、楽しみながら歴史の勉強ができる。逆にいうと一つ一つは短いので歴史に詳しい人なら内容を薄いと感じるかもしれない。海族山族という縛りがあるのでもちろん虚実ない交ぜではあるが、例えば

・東の源頼朝が土地本位制の武士社会を守ろうとしたことと西の平清盛が交易による貨幣経済を模索していたことの対比
・海族という設定を利用した織田信長の日本制覇後の野望、山族徳川家康の忍従と海族で織田への親和性があった秀吉への複雑な思い
・大塩平八郎を意外に愚物に描ききる手腕

などは興味深かった。

　　敢えて難を言えば、龍馬暗殺の真犯人はありきたりだし、最後に西郷の前に「声」が姿を現す、その憑代となる人物がちょっと意外過ぎる、というか、ほぼほぼ作者の嗜好だろうと思われるところは残念。

　　というわけで、武士社会の成立から滅亡までを一気に描き切った面白い試みが堪能できる作品であった。

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akko

気軽に読むには○

2019年5月22日に日本でレビュー済み

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中3程度の知識がないと辛いかも知れません。長い期間を一冊に纏めているので、一つ一つが薄くなるのは仕方ないです。
私は歴史好きなので気楽に読むには向いてました。
ラストが少しあっけなかったかな?
雑誌感覚で読むには善いかなと…。

1人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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ＢＢＢ

螺旋プロジェクトの流れで読みました

2019年5月18日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

プロジェクトの設定を上手いこと使ったな、
と思いました。
(多少、無理があったものの) 二つの一族の対立を
歴史の流れの説明にうまくくみこんでいます。
歴史小説は特定の時代しか読まない方もいるかとおもいますが、
(自分の場合は戦国)
他の時代にも興味をもついいきっかけになる本かもしれません。

1人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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Amazon カスタマー

著者にもう少し時間が必要だったのかも。

2020年1月17日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

内容とアイディアは面白かったです。ただ設定がオカルト過ぎること、話を繋げるために若干強引な箇所が多かったように感じました。

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2つの族の対立

2019年10月12日に日本でレビュー済み

物語は、平将門の時代から始まる。桔梗という予言ができる女の言葉に従い、将門は常陸国府を倒し、朝敵となる。時は戦乱の世であり、その戦いの中で将門は眉間に矢を受け、死ぬ前に不思議な「声」を聞く……。

時は進んで源頼朝が登場。平清盛が支配する世になっている。源氏と平氏の間で戦が続いている。その中で、頼朝も将門が聞いたのと同じ「声」を聞くのだ。その後、頼朝は弟、義経に出会うことになる。

どうやら、源氏が山族、平氏が海族という設定のようだ。海族と山族は決して相容れない。根底から気が合わないのだ。その2つの族に源氏と平氏を当てたことは、見事に史実にマッチしているように思える。そして、この2つの族を見守るものの存在。片方の耳だけが大きく、片方の瞳だけが蒼い。
時代は南北朝になる。源氏の流れを汲む足利尊氏と、平家の子孫服部家についている楠木正成。このときの幕府の当主は北条高時。尊氏は幕府を倒すべく兵を進める。

時代が進んでも、対立し続ける海族と山族。この対立はいつまで続くのか。その後、誰が海族、山族になっているかは実際に読んでいただきたい。

大体は知っているような歴史の話なのだが、海族と山族の対立という趣向を取り入れたことで、新たな切り口で物語を楽しむことができる。時々出てくる「声」は神か、それとも物の怪なのか……？そんなことも考えながら面白く読むことのできる歴史小説になっている。

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