■明治時代、日本画の革新をめざし岡倉天心のもと、横山大観・下村観山とともに斬新な技法を駆使し取り組むが、36歳で死去。

■天性の色彩感覚・新しい表現法・精神性溢れる表現は同時代の画家の中で突出していた。
平山郁夫は「天心のこころを絵で具現化した天才」と言い、大観は晩年、大家とほめられると「春草のほうが、ずっと上手い」と言ったという。
画家が認める春草の、生彩豊かな、洋画・日本画の枠を超えた魅力を解明。

本の長さ

79ページ
言語

日本語
出版社

東京美術
発売日

2013/6/3
寸法

18.2 x 0.7 x 25.6 cm
ISBN-10

4808709570
ISBN-13

978-4808709570
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商品の説明

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

尾崎/正明
1948年埼玉県生まれ。早稲田大学文学部美術史学科卒業・同大学修士課程修了。1974年より東京国立近代美術館に勤務、同館副館長を経て、京都国立近代美術館館長

鶴見/香織
1969年埼玉県生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。1993年より群馬県立近代美術館に勤務。2006年より東京国立近代美術館主任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

出版社 : 東京美術 (2013/6/3)
発売日 : 2013/6/3
言語 : 日本語
単行本 : 79ページ
ISBN-10 : 4808709570
ISBN-13 : 978-4808709570
寸法 : 18.2 x 0.7 x 25.6 cm

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もっと知りたい菱田春草

2018年7月8日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

晩年の「落葉」に至る短い生涯の変遷がよくわかります。より長く生きていたら良かったのに。横山大観がミケランジェロだったら、春草はラファエロか。

3人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

まにゃころ

わかりやすくて、見やすい。

2014年1月26日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

とても分かりやすく構成してあります。
菱田春草の生い立ち、それに沿った年表から始まり、
所々に春草や大観などの言葉が載せられており、人柄が伺えます。
また、短い生涯の間に岡倉天心や大観らと挑んだ新しい日本画の手法(朦朧体など)を
コラムとして分けて載せてあり、ふむふむと納得することのできるページが多い。
そして何よりも、この本の優れていると思うところは、
そこまで分厚くないにも関わらず、多くの作品(美術学校時代〜晩年まで)をカラーで載せてある所では。
専門的な本をみても、とても大きく、気安く手に取れる値段でもなく、白黒であったりするので、
それに比べると、春草を知る・調べるには丁寧に書かれており、お手頃な価格ではないかと思います。
踏み込んで調べるための導入書にもふさわしいのでは。

9人のお客様がこれが役に立ったと考えています

役に立った

新しい日本画の時代を拓いた生涯

2013年8月3日に日本でレビュー済み

菱田春草(1874-1911)の足跡と作品をたどった本。このシリーズは全てそうだが、ビジュアル資料中心の構成で、薄手ながら多くの作品を掲載している。デザインや印刷も良好。やまと絵の様式を踏襲する一方で、朦朧体と呼ばれる線描を拝した没骨(もっこつ)描法や、彩色による点描、西洋顔料の利用、質感を表すための筆触表現、奥行きや広がりを感じさせる構成力が、掲載作品を通じてよく伝わってくる。

春草は、岡倉天心に従って茨城県の五浦に移住した4人の画家の一人であり(他は、横山大観、下村観山、木村武山)、西洋の絵画技法を取り入れた近代日本画の道を拓いた一人でもある。盟友の大観とともに、激しい批判を受けながらも新しい表現の可能性を模索する。特に、理知的で理論家であった春草が果たした役割はとても大きかったことを著者は指摘している。当初、日本ではなかなか理解されず、絵もそれほど売れず、生活は苦しかったようだ。しかし、大観と春草はアメリカとヨーロッパに1年半滞在して合計7回の展覧会を開き、期待を上回る売り上げを達成したりもしている。

本書を通して、菱田春草が、単に優れた画家であったというだけでなく、長い伝統を持つ日本画が文明開化に直面して西洋の文化が入ってきた激動の時代の中で、その芸術性を新しい時代にふさわしいより幅を持ったものに昇華させる過程において極めて重要な役割を果たしたことを実感させられた。

個人的な話になるが、春草の作品は本書に掲載されている代表作のいくつかを美術館で実際に鑑賞している。特に、重要文化財にも指定されている「落葉」は、初めて実物を見たときに息を呑んだ。春草は若くして亡くなったが、大観に近いくらい長生きしていたらその後どんな作品を残していただろうかと思うと、いまさらながら惜しまれる。

16人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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菱田春草の画業を知る上での好著

2013年7月21日に日本でレビュー済み

菱田春草は37歳で夭折したこともあり、長命であった横山大観のような作品数を残していませんが、まさしく珠玉という表現が相応しい作品群が掲載してありました。

表紙の作品は、朦朧体(没線描法)と呼ばれる手法の代表作の一つの「菊慈童」です。26ページの大きな画面の中に小さく緻密に描かれた菊慈童の愛らしさが光ります。25歳にして春草の卓越した技量が伺える名品です。
24ページに没線描法の手法について紹介してありました。「墨線を用いないこと、そのかわりに色線を用いること、乾いた刷毛(空刷毛)を使って色を暈し重ねることの三つが挙げられる」とのこと。
当時は「朦朧体」と批評されたわけですが、その後「日本画は『描く』絵画から『塗る』絵画へと変貌を遂げてゆく」と解説された通り、エポックメイキングの手法となりました。
春草は常に新しい日本画の手法や技法を追い求めたのが本書でも随所に語られています。

33ページに見開きで掲載されている「王昭君(重文)」もこの時代の傑作です。没線描法が作品に高貴な香りを漂わせ、気品あふれる作品となりました。著者の鶴見香織氏(東京国立近代美術館主任研究員)は「暈しのテクニックが生み出す滑らかな質感が、独特の夢想的な雰囲気を醸していることも見逃すことはできない」と評していました。同感ですし、本質をついた解説でした。

どのページを見ても実に質の高い作品で埋め尽くされています。
第５章「代々木時代　新しい日本画の誕生　34歳（後半）〜36歳　1908〜11」は春草の最晩年の時期です。名作「落葉」が誕生したわけですが、闘病中の春草の自宅付近の写生がこれらの傑作群を生みだしたわけです。重文に指定されている「落葉(文展)」の素晴らしさは言うに及ばず、掲載された連作を見ていると、春草がいかに空間表現と構成に工夫を凝らし、「『距離』の表現を犠牲にした」のが見て取れます。
ラストのあたりに掲載された「四季山水」「雀に鴉」そして重文の「黒き猫」などの傑作を見るにつけ、その夭逝は悔やまれてなりません。
72ページの特集「春草と琳派」は参考になるもので、もしその後も春草が生きたならば、もっとその「琳派」の影響が明確に出たのでは、と思われました。

誌上でじっくりと春草の名画を観賞し、詳しい解説を読める本書の価値は大変高いと評価いたします。

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Kitty Hill

Four Stars

2017年1月1日にアメリカ合衆国でレビュー済み

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Pictures are nice but book is so small

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もっと知りたい菱田春草 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) (日本語) 単行本 – 2013/6/3

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