「まともな家の子供はいない」PR誌ちくま2009年11月号〜2010年10月号
とにかくまともな家の子供はいないのだった。視点人物が中学生の子供なので主に親及び自分より年上の大人たちが非難の対象となるが、どうしてどうして子供たちだってまともではないのであった。配される人物像に、模式的とはいえ、絶妙な対比がある。イライラとのほほん。痩せとデブ。折り合いの付け方と付けられなさ。国語と数学あるいは英語や社会。片親、浮気、その他諸々。普通ではありえないラストにリアリティーを感じられるかどうかが読者の踏み絵となるに違いない。
「サバイブ」Webちくま2006年3月〜6月
前作に登場する一人と関連するもう一人をセレクトした派生作。主として母親に対するイライラと、その母親の浮気相手の父に対する愛憎を中心に描かれている。ラストで一方の視点人物がもう一歩の視点実物のサバイバーとなるが、このシーンは重要だ。数行後にその二人の立ち位置が入れ替わり、さらに同化していくのが重いが、作者の筆はそれを突き放すところまで至っていない。
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まともな家の子供はいない (ちくま文庫) 文庫 – 2016/3/9
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セキコには居場所がなかった。うちには父親がいる。うざい母親、テキトーな妹。まともな家なんてどこにもない! 中3女子のひと夏の怒りの物語。
- 本の長さ286ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2016/3/9
- 寸法10.7 x 1.3 x 14.8 cm
- ISBN-104480433376
- ISBN-13978-4480433374
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
気分屋で無気力な父親が、セキコは大嫌いだった。彼がいる家にはいたくない。塾の宿題は重く、母親はうざく、妹はテキトー。1週間以上ある長い盆休みをいったいどう過ごせばいいのか。怒れる中学3年生のひと夏を描く表題作のほか、セキコの同級生いつみの物語「サバイブ」を収録。14歳の目から見た不穏な日常から、大人と子供それぞれの事情と心情が浮かび上がる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
津村/記久子
1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」で太宰治賞を受賞。同年「君は永遠にそいつらより若い」(「マンイーター」を改題)でデビュー。08年「ミュージック・ブレス・ユー!!」で野間文芸新人賞、09年「ポトスライムの舟」で芥川賞、11年「ワーカーズ・ダイジェスト」で織田作之助賞、13年「給水塔と亀」で川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」で太宰治賞を受賞。同年「君は永遠にそいつらより若い」(「マンイーター」を改題)でデビュー。08年「ミュージック・ブレス・ユー!!」で野間文芸新人賞、09年「ポトスライムの舟」で芥川賞、11年「ワーカーズ・ダイジェスト」で織田作之助賞、13年「給水塔と亀」で川端康成文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2016/3/9)
- 発売日 : 2016/3/9
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 286ページ
- ISBN-10 : 4480433376
- ISBN-13 : 978-4480433374
- 寸法 : 10.7 x 1.3 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 398,407位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年12月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題作のセキコが思っていることは、ただひとつだ。お父さん、ちゃんと働いてよ。
それがその言葉として家族に言えるようになるまで、苦しみ続けてきたのだ。
皮肉な表情やいらだった態度で、セキコはただそのことだけを訴え続けてきたのだ。
理不尽に父を甘やかす母、うまく立ち回って波風を立てない妹、それもセキコには許せない。
ナガヨシも室田さんも、それぞれ家族では悩んでいる。
そもそも、『まともな家』なんてないのだ。抽象化され標準化された『まともな家』に比べれば、
そりゃあどの家族だって、何かいびつものを抱えているに決まっている。
だから連作ものの『サバイブ』では、今度は室田さんの事情が描かれる。
こっちは実はもっと深刻。そうだよ。そんなお母さんは許せないし、
そういうお母さんの表面とうまくつきあっちゃう兄たちカップルの底の浅さにもゾッとする。
だから、傷つくけれど、深い傷を負うけれど、セキコや室田さんのように正面を向いて決着をつけようとするのには賛成だ。
君たちが頑張っていることを私も応援しているよ、がんばれ。
そんなふうに思ってしまう、けなげな女子中学生達を活写した優れた小説でした。
それがその言葉として家族に言えるようになるまで、苦しみ続けてきたのだ。
皮肉な表情やいらだった態度で、セキコはただそのことだけを訴え続けてきたのだ。
理不尽に父を甘やかす母、うまく立ち回って波風を立てない妹、それもセキコには許せない。
ナガヨシも室田さんも、それぞれ家族では悩んでいる。
そもそも、『まともな家』なんてないのだ。抽象化され標準化された『まともな家』に比べれば、
そりゃあどの家族だって、何かいびつものを抱えているに決まっている。
だから連作ものの『サバイブ』では、今度は室田さんの事情が描かれる。
こっちは実はもっと深刻。そうだよ。そんなお母さんは許せないし、
そういうお母さんの表面とうまくつきあっちゃう兄たちカップルの底の浅さにもゾッとする。
だから、傷つくけれど、深い傷を負うけれど、セキコや室田さんのように正面を向いて決着をつけようとするのには賛成だ。
君たちが頑張っていることを私も応援しているよ、がんばれ。
そんなふうに思ってしまう、けなげな女子中学生達を活写した優れた小説でした。
2017年10月31日に日本でレビュー済み
はじめはひたすらネガティブで周囲の人間に対して怒りと敵意しかなかった中学生の主人公が、
夏休みの宿題を完成させていく中で日々苦労して悩んでいるのは自分だけではないことに気付き成長していく過程が心地よかったです。
たくさんの心に残る表現があります。
↓
「あいつらは、対外的に勉強しているというポーズをしているとその気になってきて勉強するというフィードバック現象ゆえに勉強している意志薄弱な連中だ」
「この光と付き合っていくことが、地球で生きていくことの条件なのだろうか。人間はすごく無理をして生きている」
「親たちはもうすべての行程を終えて部屋に戻っているだろう。自分はそれ以上に起き続けて意味のあることをやりたいと思った」
「いちばん高くつくのは、継続した身の置き所なのではないか」
「これからは勉強しよう、とやっと思った」
夏休みの宿題を完成させていく中で日々苦労して悩んでいるのは自分だけではないことに気付き成長していく過程が心地よかったです。
たくさんの心に残る表現があります。
↓
「あいつらは、対外的に勉強しているというポーズをしているとその気になってきて勉強するというフィードバック現象ゆえに勉強している意志薄弱な連中だ」
「この光と付き合っていくことが、地球で生きていくことの条件なのだろうか。人間はすごく無理をして生きている」
「親たちはもうすべての行程を終えて部屋に戻っているだろう。自分はそれ以上に起き続けて意味のあることをやりたいと思った」
「いちばん高くつくのは、継続した身の置き所なのではないか」
「これからは勉強しよう、とやっと思った」
2011年11月23日に日本でレビュー済み
ひたすらに強烈な被害者意識と敵意とが描かれていきます。このふたつを取り去ったあとに、あるいは書き尽くしたあとに、作者にはまだ書くものが残っているのでしょうか・・・