※本レビューはネタバレを含みます。ご注意ください。
ずっと前に読んだんですが、あまりに素晴らしいところが多すぎて、どうレビューしたらいいかわからずにいました。
本書の中でも一番素晴らしいところは、なんといっても著者自身が、数々の困難にもめげず、家族にも周囲にも、そして同じ自閉症の子どもを抱える家族にも、溢れんばかりの愛情を見返りを期待せず与えて続けてきたところです。
なるほどジェイクには特別な才能があったのかもしれませんが、それは母親であるクリスティンさんの海のような深い愛があったからこそだと思えてなりません。
自ら立ち上げた支援施設(しかも無償で!)で、過去8年間喋れなかった少年ジェロードの小さな輝きを見出し、たった1時間で"I love you Mom"と語らせることに成功したクリスティンさん。もうできることは何もないと言われ、絶望していたジェロードのお母さんはどれほど嬉しかったでしょう。
これこそ、同じ境遇の人を救いたい、助けを求める人の力になりたいという愛がなせる業以外のなにものでもありません。
そんなクリスティンさんを、時にユーモアを交えながら全力で支える旦那様も、本当に素晴らしいです。
映画のようにドラマティックな、ジェイクがその才能を開花させるシーンも鳥肌ものです。
「この子にはアルファベットを学ばせる必要はない」と冷たく教師に言われていたジェイクが、大学レベルの講義で誰も答えられない質問にただ1人正解し、参加者の温かい尊敬の眼差しの中、天体望遠鏡への道を開けてもらい、好きなだけ幸せそうにレンズを覗き込むシーンは、何度読んでも深く感動します。
ひとりの母親として、クリスティンさんの慈愛と笑顔に満ちた生き方を心から尊敬せずにいられません。
子どもの内なるひらめき(スパーク)に気づいてやり、惜しみなくその興味の対象を与えてやるという教育方針も、とても参考になりました。
ひとりの天才の物語というより、愛情深い父親と母親の、深い深い愛の物語だと感じました。
最近本棚を大幅に断捨離しましたが、この本はどうしても手放せずにいます。
ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい (角川文庫) (日本語) 文庫 – 2018/9/22
クリスティン・バーネット
(著),
永峯 涼
(翻訳)
-
本の長さ416ページ
-
言語日本語
-
出版社KADOKAWA
-
発売日2018/9/22
-
ISBN-104041071887
-
ISBN-13978-4041071885
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
9歳で大学入学、相対性理論に取り組み、将来ノーベル賞候補とも言われる天才児ジェイク。けれどその才能はあやうく失われるところだった。2歳で重度の自閉症と診断。障害児訓練が彼の笑顔を奪っていることに母クリスティンは気づく。星空を夢中で眺めるジェイクに好きなことをさせてあげたい。夫と障害児の保育施設を立ち上げ、息子の進学に奮闘。やがて彼の才能が開花する出来事が起こる―。全米ベストセラーの感動の手記!
著者について
●クリスティン・バーネット:アメリカ・インディアナ州在住。1996年に地元向けの保育所「エイコーン・ヒル・アカデミー」を立ち上げた。現在は自閉症及び特別な支援が必要な子どもとその家族のためのコミュニティ・センター「ジェイコブズ・プレイス」を夫マイケルとともに運営している。
●永峯 涼:上智大学外国語学部卒。訳書に、『ザ・クオンツ』『アルゴリズムが世界を支配する』『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』(以上、角川書店)、『セクシーに生きる』(プレジデント社)、『ロバート・パーカーが選ぶ[最新版]世界の極上ワイン』(共訳・河出書房新社)などがある。
●永峯 涼:上智大学外国語学部卒。訳書に、『ザ・クオンツ』『アルゴリズムが世界を支配する』『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』(以上、角川書店)、『セクシーに生きる』(プレジデント社)、『ロバート・パーカーが選ぶ[最新版]世界の極上ワイン』(共訳・河出書房新社)などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
バーネット,クリスティン
米国インディアナ州出身。1996年に地元向けの保育所「エイコーン・ヒル・アカデミー」を立ち上げたのち、自閉症及び特別な支援が必要な子どもとその家族のためのコミュニティ・センター「ジェイコブズ・プレイス」を運営
永峯/涼
上智大学外国語学部卒。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
米国インディアナ州出身。1996年に地元向けの保育所「エイコーン・ヒル・アカデミー」を立ち上げたのち、自閉症及び特別な支援が必要な子どもとその家族のためのコミュニティ・センター「ジェイコブズ・プレイス」を運営
永峯/涼
上智大学外国語学部卒。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社より





登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2018/9/22)
- 発売日 : 2018/9/22
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 416ページ
- ISBN-10 : 4041071887
- ISBN-13 : 978-4041071885
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Amazon 売れ筋ランキング:
- 134,816位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 2,433位英米文学研究
- - 2,568位角川文庫
- - 13,180位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年1月20日に日本でレビュー済み
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Amazonで購入
18人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2014年5月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、保育士であり、自閉症のお子さんであるジェイコブ君を育てながら、自閉症など特別な支援が必要な子どもと家族のためのコミュニティーセンターを立ち上げ、今も運営しておられる、米国のクリスティン・バーネットさんという方が、我が子と家族、そしてご自身の活動のこれまでについて語った本です。
「この後どうなるんだろう?」「えっ、そんなことが・・・?」と、ストーリーとしてもとてもハラハラドキドキワクワクな内容なので、あまり細かくは書きませんが、単なる苦労話でもなく、単なる自慢話でもなく、お涙ちょうだいでもなく、ご自身とジェイコブ君とご家族に起こったことを率直に書かれているところが、とても清々しいと思いました。
ジェイコブ君は2歳の時に自閉症と診断されていますが、9歳で大学に入学し、末は宇宙物理学の分野でノーベル賞も夢ではない独創的な研究をしているという男の子です。
しかし、両親であるマイケル&クリスティンバーネットさん夫妻はそれぞれセールスマンと保育士で、特に天才的な才能を発揮した仕事をしているわけでも、お金持ちでもないのです。むしろご家族には他の家庭以上にいろんな問題が起こり、どちらかというと貧乏です。。。
結果としてジェイコブ君は幼くして大学に入学し、高度な研究をしているわけですが、ご夫妻は、我が子をしっかりとみつめ、悲観もしない変わりに、特別視もしない、という考え方をお持ちです。
私は夫妻のこの、
・専門家からかなり否定的・悲観的なことを言われながらも、その助言等に盲信的には従わず、自分の直感も大事にし、かつ、
・我が子には他の子と違うかなり変わった点があると思いながらも、我が子を天才なのかも?!などとは思わないで、
・我が子をまっすぐな目で見て、我が子に真に必要な環境は何なのかを、
・親子にとって無理のない範囲で与えようとしてきた
・そしてわが子には他の子にはない能力があると分かった後も、周囲や社会とうまくやっていく力も大事だと思って、それらが育まれるようしっかりとサポートしてきた
という点が、バーネットファミリーのケースから学ぶべき最も大事ではないかと思います。
ということで、読んでとても素晴らしいと思えるお話ですし、感動もしますし、多くの方に読んでいただきたいなと思いますが、他方、本書のような話には、注意すべき点がいくつかあると私は思います。
それは、発達障害の子は誰しも苦手なことがあるのと反対に必ず何らかの素晴らしい才能があるのだ、という安易な決めつけや、
であるから、発達障害の子は、ホームスクールや岐阜テッドスクールのようなところで才能を伸ばすべきなのだ、というイージーな考えはするべきでない、ということです。
そういう意味では、クリスティンさんが言っておられる「どの子にもそなわっている能力を引き出す方法を見出せば、輝かしい可能性がひらけるということなのです」というのはちょっと言い過ぎかなと。
バーネット夫妻は、そもそもわが子が大学生なんかに超飛び級をして、同じ年代の子どもたちと学んだり遊んだりしないのは問題だと思っていましたし(あまりにもジェイコブが大学の講義が楽しそうなのと専門家の強い勧めで最終的には大学に入学しましたが)、泥んこ遊びなどの子どもらしい体験も必要だという考えや、社会性やコミュニケーション能力も必要だと思い、いろいろ苦心してこられたわけです。
ですから、子どもの姿を見つめた結果として、それに必要だと思う、ふさわしいサポートを考え、その結果、必要な環境を整える、という基本的な姿勢がまず大事なのではないかと思います。
あと、これもクリスティンさんが言っておられる、子どもたちができないことばかりに焦点を当て、できることに注目しないことが多い、というのも楽観論でも悲観論でもないニュートラルで大事な考え方だと思います。
ただそれは、できないことを見ないふりをしたり、あきらめたりするのではなく、クリスティンさん曰く、できることからやらせていけば、できないことや苦手なこともある程度できるようになったり、問題行動などもおさまるのではなかろうか、というアプローチです。
このような夫妻の子育ての結果、子どものころから数字と幾何学模様に強烈な関心を示す変わった子だったジェイコブ君は、その才能を開花させ、一人だけ子どもだけど、教授や他の学生ともうまくやっているようで、充実した大学生活を送っていて、それはとても心温まるお話です。
のみならず、バーネット夫妻は、ご自分たちの活動として、同様のアプローチで、他の発達障害を持つ子どもたちと親たちにも、希望や生きる力を与えています。これについても涙なくしては読めないストーリーで、ご夫妻はとても苦心の末に、発達障がい児とその親を対象にした、最初は小さいプログラムから、今の「ジェイコブズ・プレイス」というコミュニティーセンターを立ち上げられました。
いずれも本当に、素晴らしいことです!
教育や発達障害に関心のある方は是非読んでみてください!
「この後どうなるんだろう?」「えっ、そんなことが・・・?」と、ストーリーとしてもとてもハラハラドキドキワクワクな内容なので、あまり細かくは書きませんが、単なる苦労話でもなく、単なる自慢話でもなく、お涙ちょうだいでもなく、ご自身とジェイコブ君とご家族に起こったことを率直に書かれているところが、とても清々しいと思いました。
ジェイコブ君は2歳の時に自閉症と診断されていますが、9歳で大学に入学し、末は宇宙物理学の分野でノーベル賞も夢ではない独創的な研究をしているという男の子です。
しかし、両親であるマイケル&クリスティンバーネットさん夫妻はそれぞれセールスマンと保育士で、特に天才的な才能を発揮した仕事をしているわけでも、お金持ちでもないのです。むしろご家族には他の家庭以上にいろんな問題が起こり、どちらかというと貧乏です。。。
結果としてジェイコブ君は幼くして大学に入学し、高度な研究をしているわけですが、ご夫妻は、我が子をしっかりとみつめ、悲観もしない変わりに、特別視もしない、という考え方をお持ちです。
私は夫妻のこの、
・専門家からかなり否定的・悲観的なことを言われながらも、その助言等に盲信的には従わず、自分の直感も大事にし、かつ、
・我が子には他の子と違うかなり変わった点があると思いながらも、我が子を天才なのかも?!などとは思わないで、
・我が子をまっすぐな目で見て、我が子に真に必要な環境は何なのかを、
・親子にとって無理のない範囲で与えようとしてきた
・そしてわが子には他の子にはない能力があると分かった後も、周囲や社会とうまくやっていく力も大事だと思って、それらが育まれるようしっかりとサポートしてきた
という点が、バーネットファミリーのケースから学ぶべき最も大事ではないかと思います。
ということで、読んでとても素晴らしいと思えるお話ですし、感動もしますし、多くの方に読んでいただきたいなと思いますが、他方、本書のような話には、注意すべき点がいくつかあると私は思います。
それは、発達障害の子は誰しも苦手なことがあるのと反対に必ず何らかの素晴らしい才能があるのだ、という安易な決めつけや、
であるから、発達障害の子は、ホームスクールや岐阜テッドスクールのようなところで才能を伸ばすべきなのだ、というイージーな考えはするべきでない、ということです。
そういう意味では、クリスティンさんが言っておられる「どの子にもそなわっている能力を引き出す方法を見出せば、輝かしい可能性がひらけるということなのです」というのはちょっと言い過ぎかなと。
バーネット夫妻は、そもそもわが子が大学生なんかに超飛び級をして、同じ年代の子どもたちと学んだり遊んだりしないのは問題だと思っていましたし(あまりにもジェイコブが大学の講義が楽しそうなのと専門家の強い勧めで最終的には大学に入学しましたが)、泥んこ遊びなどの子どもらしい体験も必要だという考えや、社会性やコミュニケーション能力も必要だと思い、いろいろ苦心してこられたわけです。
ですから、子どもの姿を見つめた結果として、それに必要だと思う、ふさわしいサポートを考え、その結果、必要な環境を整える、という基本的な姿勢がまず大事なのではないかと思います。
あと、これもクリスティンさんが言っておられる、子どもたちができないことばかりに焦点を当て、できることに注目しないことが多い、というのも楽観論でも悲観論でもないニュートラルで大事な考え方だと思います。
ただそれは、できないことを見ないふりをしたり、あきらめたりするのではなく、クリスティンさん曰く、できることからやらせていけば、できないことや苦手なこともある程度できるようになったり、問題行動などもおさまるのではなかろうか、というアプローチです。
このような夫妻の子育ての結果、子どものころから数字と幾何学模様に強烈な関心を示す変わった子だったジェイコブ君は、その才能を開花させ、一人だけ子どもだけど、教授や他の学生ともうまくやっているようで、充実した大学生活を送っていて、それはとても心温まるお話です。
のみならず、バーネット夫妻は、ご自分たちの活動として、同様のアプローチで、他の発達障害を持つ子どもたちと親たちにも、希望や生きる力を与えています。これについても涙なくしては読めないストーリーで、ご夫妻はとても苦心の末に、発達障がい児とその親を対象にした、最初は小さいプログラムから、今の「ジェイコブズ・プレイス」というコミュニティーセンターを立ち上げられました。
いずれも本当に、素晴らしいことです!
教育や発達障害に関心のある方は是非読んでみてください!
2015年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
測定不能なまでの高いIQを持つ自閉症児が、有名になる前までの記録。著者は母親。
自閉症とは、幼児が成長とともに段階的に獲得する能力を、獲得できない先天性の精神病である。
特に共感することが出来なく、これが理由でコミュニケーション障害を来す。外界に興味を持たず、常にある特定の事柄に没入してように見えるために自閉症と言われる。また、特定の分野に強烈なこだわりをもち(数学、音楽、絵画、時刻表など、法則性があるのが良いとされる分野)、逆にあいまいなものをきわめて苦手とし(冗談など)。ある分野において異常なまでの能力を示す一方で、別な領域では壊滅的なまでに無能である(ジェイクは靴紐が結べない)。本稿では負の症状と呼ぶことにするが、窮屈なところを好む、興味のないことを全くやろうとしない(あるいはできない)、などの奇妙な特徴がある。
ジェイク(天才児)がとても幸運だったのは、母親がもともと保育士であり、かつものすごい行動力の女性であり、自分の子供に、普通な人生を送らせるためには努力を惜しまなかったことだ。
「息子の教育はあきらめなさい」と専門家に言われたことで発奮し、息子を小学校の普通学級に入れるために自閉症児専門の保育所を設立し、3歳から5歳までかけて「小学校内のルール」を逐一教え、普通な子供に擬態するノウハウを教えた。ジェイクもまた自閉症児に典型的な、強烈な興味を特定の分野に示す傾向があったが、これを妨げると自閉症の「負の症状」が悪化し、逆に促すと軽減することから、積極的に興味関心を満たすようにした。あくまでも、「負の症状」を軽減するために、天文学や物理学を学ばせたところ、本人がもともと異次元の天才であったために驚異的な成長を遂げたわけである。8歳にして大学に入ったのも、小学校生活があまりに退屈で、自閉症の負の症状が再燃したからであった。ジェイクは大学入学とともに、正常な子供と同じように行動できるようになり、そして報道により一躍有名になる。
本書を読んで以下の点は初耳であった。
・自閉症児は、外界に興味を持っているが、コミニュケーションの仕方がわからず、いつもいつも失敗し傷つくから、自分の世界に耽溺するようになってしまう事。
・自閉症の負の症状は、児の欲求を満たせばものすごく軽減する事。
一体どれだけの自閉症児が、ジェイク並みの才能を持ちながら朽ちていくのかと思って悲しくなった。また、これを読んだ自閉症患者の親はつらいだろうな、と思った。ジェイクは自閉症児であるが、症状は劇的に緩和された。しかし、そうではない人々の方が圧倒的なのである。この母親に何らかの寄付をしてもいいとすら思った。
漫画のような、まさに驚異的な天才エピソードももりだくさん。
乳幼児期にスペイン語と日本語のCDを暗記し寝言をいい、1歳でしゃべり、3歳で字を読み、チェスで大人に勝ち、大学レベルの講義を理解し(この時の教授への質問が、人生で初めての会話であった)、星座をすべて暗記。4歳で元素記号を理解。7歳でハリケーンカトリーヌの発生前にフロリダは台風で危険だとのたまい、生まれて初めてピアノを見てこれを完ぺきに弾きこなす。8歳の時には2週間でスペイン語をマスター。13歳の時に知能テストを受けるが、テスト終了時、施行した博士はそのあまりに優秀な成績に、静かに涙した。この博士によれば、ジェイクは別次元の物体や物理法則を具体的にイメージすることが出来、我々の作業記憶が紙切れ1枚レベルとすると(A4~B5などで優劣を競っているわけですが)、ジェイクの作業記憶はフットボール場のサイズなのだそうだ。
神か!と突っ込みを入れたくなるが、もっとすごいエピソードが10個くらいあります。それになによりも、読みどころはお母さんがどれだけ苦労して子育てを乗り越えたかです。どうです?読みたくなったでしょう。
自閉症とは、幼児が成長とともに段階的に獲得する能力を、獲得できない先天性の精神病である。
特に共感することが出来なく、これが理由でコミュニケーション障害を来す。外界に興味を持たず、常にある特定の事柄に没入してように見えるために自閉症と言われる。また、特定の分野に強烈なこだわりをもち(数学、音楽、絵画、時刻表など、法則性があるのが良いとされる分野)、逆にあいまいなものをきわめて苦手とし(冗談など)。ある分野において異常なまでの能力を示す一方で、別な領域では壊滅的なまでに無能である(ジェイクは靴紐が結べない)。本稿では負の症状と呼ぶことにするが、窮屈なところを好む、興味のないことを全くやろうとしない(あるいはできない)、などの奇妙な特徴がある。
ジェイク(天才児)がとても幸運だったのは、母親がもともと保育士であり、かつものすごい行動力の女性であり、自分の子供に、普通な人生を送らせるためには努力を惜しまなかったことだ。
「息子の教育はあきらめなさい」と専門家に言われたことで発奮し、息子を小学校の普通学級に入れるために自閉症児専門の保育所を設立し、3歳から5歳までかけて「小学校内のルール」を逐一教え、普通な子供に擬態するノウハウを教えた。ジェイクもまた自閉症児に典型的な、強烈な興味を特定の分野に示す傾向があったが、これを妨げると自閉症の「負の症状」が悪化し、逆に促すと軽減することから、積極的に興味関心を満たすようにした。あくまでも、「負の症状」を軽減するために、天文学や物理学を学ばせたところ、本人がもともと異次元の天才であったために驚異的な成長を遂げたわけである。8歳にして大学に入ったのも、小学校生活があまりに退屈で、自閉症の負の症状が再燃したからであった。ジェイクは大学入学とともに、正常な子供と同じように行動できるようになり、そして報道により一躍有名になる。
本書を読んで以下の点は初耳であった。
・自閉症児は、外界に興味を持っているが、コミニュケーションの仕方がわからず、いつもいつも失敗し傷つくから、自分の世界に耽溺するようになってしまう事。
・自閉症の負の症状は、児の欲求を満たせばものすごく軽減する事。
一体どれだけの自閉症児が、ジェイク並みの才能を持ちながら朽ちていくのかと思って悲しくなった。また、これを読んだ自閉症患者の親はつらいだろうな、と思った。ジェイクは自閉症児であるが、症状は劇的に緩和された。しかし、そうではない人々の方が圧倒的なのである。この母親に何らかの寄付をしてもいいとすら思った。
漫画のような、まさに驚異的な天才エピソードももりだくさん。
乳幼児期にスペイン語と日本語のCDを暗記し寝言をいい、1歳でしゃべり、3歳で字を読み、チェスで大人に勝ち、大学レベルの講義を理解し(この時の教授への質問が、人生で初めての会話であった)、星座をすべて暗記。4歳で元素記号を理解。7歳でハリケーンカトリーヌの発生前にフロリダは台風で危険だとのたまい、生まれて初めてピアノを見てこれを完ぺきに弾きこなす。8歳の時には2週間でスペイン語をマスター。13歳の時に知能テストを受けるが、テスト終了時、施行した博士はそのあまりに優秀な成績に、静かに涙した。この博士によれば、ジェイクは別次元の物体や物理法則を具体的にイメージすることが出来、我々の作業記憶が紙切れ1枚レベルとすると(A4~B5などで優劣を競っているわけですが)、ジェイクの作業記憶はフットボール場のサイズなのだそうだ。
神か!と突っ込みを入れたくなるが、もっとすごいエピソードが10個くらいあります。それになによりも、読みどころはお母さんがどれだけ苦労して子育てを乗り越えたかです。どうです?読みたくなったでしょう。