すてきな一冊だった。
サメというか魚類について見識の浅い僕でも理解できるよう噛み砕かれた文章と、時折はさまれるポップなイラストや写真は退屈を感じさせない内容になっていた。
例えばサメ特有の感覚器官「ロレンチーニ器官」にしても、「ロレンチーニ器官があるから、獲物を探せる」という書き方ではなく、「ロレンチーニ器官には〜という機能があり、その機能は〜というメリットがあり、それを〜して使う。
ちなみにロレンチーニ器官という名前の由来は〜」と、深く掘り下げてくれているところがうれしい。
装丁はいわゆる図鑑っぽくはないけど、図鑑としての機能はちゃんと装填されていて、サメの種類から目次引きできたりする。
他のサメ図鑑にももちろん素晴らしいところはたくさんあるけれど、今作のようにある種のサメを説明する際に、そのサメの歴史や、研究から発見に至るまでのドラマチックな部分も書いてくれているので、興味を惹かれるし、何より覚えやすく、そういう意味でも初心者にありがたい。
中でも2000年代のサメ図鑑には掲載されていない「ミッシェルエポレットシャーク」についての記述は、新鮮な話題でスリリングな読書にもなった。
ひとつ残念なのは、たぶん予算の関係なのかもしれないけど、サメのイラストと写真がほぼ白黒になっていて、見づらかったりしてしまう。そんな中、著者の沼口さんの執念か、ジンベエザメだけはきっちりとカラーイラストで届けてくれている。
たぶん沼口さんも全編カラーにしたかったんだろうな、と彼女の悔しさに思いを馳せたりもした。
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