この曲は「君」に当てた曲だ。
私はその「君」を小高の恋人か、友人かだと思っていた。「私」への曲ではない、自分以外の誰かに歌った歌だ、そう思って距離を置いた。だから、おとなしい曲だな、位にしか思っていなかった。
しかし、なら何故「ひとりごと」なのだろうか。
誰かへ「わかるよ」なんて言葉にしてしまえば、それは偽善をまとって聞こえるし、偽善なのだろう。勝手に理解したフリをされても、こっちだって何様だとしか思えない。だから、小高はそんな葛藤を抱きながら、それをどうしようもなく感じながら、それでも伝えたい思いを、
「これは『ひとりごと』だから、別に、気にしなくてもいいから」
と言いながら、聞く人全員=「君」=「私」に宛てている。
こんな簡単なことに気付いたとき、あまりの優しさに涙が止まらなくなってしまった。
人へ気遣いすぎだと思えるくらいの、遠まわしで優しい歌詞は、ありのままの私たちを肯定してくれる。
闇夜が明けて、黄金色の朝焼けを見せるような、「地面を一歩一歩踏みしめなおす静けさと力強さ」を感じさせる音が丁度いい。底を見てきたから、肯定できる優しさと力強さだ。