『ひぐらしのなく頃に』を素材としたアンソロジー短編小説集は、ソフトガレージ社から第7集まで刊行されていますが、同社では現在小説等、出版物の刊行がほとんどされていないため、本来第8集のために集められていたであろう原稿を編み直して、版元を一迅社に変更する形で刊行されたのが、この『ノベルアンソロジー』と称する一冊だと勝手に想像しています。
故に、小説の理念や傾向等はソフガレノベルズで刊行された7冊を引き継ぐ形で、本編を題材としつつも、それぞれの著者独自の切り口で紡がれるオリジナル短編小説集となっているのが特徴です。
原作は既に完結して久しく、謎や伏線の検証もほぼ終わっている作品であるだけに、流石に本編に直接絡んでいる作品は少なく、収録されている6編中5編までは昭和58年6月以降の後日談的な内容となっています。詩音、梨花(及び羽入)、レナ、三四(及び富竹)、悟史といったキャラクターのその後を、それぞれの切り口で描き出している訳ですが、やや小説としての完成度、特に読み易さと言う面でバラつきがあるように感じられたのが残念ですね。
ソフガレの頃から連作のように綴っているまじか氏の一連の詩音モノ(恐らくこれが完結編でしょうね)や、非常にコメディ色の強い佐藤ヘル氏の梨花・羽入入れ替わりモノ、メインヒロインだったはずなのに、イマイチ影の薄くなってしまったレナの内面にスポットを当てた八碕サナエ氏の作品などは、まとまりも良くスムーズに読めたのですが、他はやや散漫で掘り下げ不足気味に感じられたり、いくらなんでもこれは『ひぐらし』では無いといった印象を受ける作品だったというのが正直な感想ですね。
一時のブームが去り「そろそろこの辺で…」という気がしないでもありませんが、『ひぐらしのなく頃に』という作品には、素材としての存在感がまだまだあるようにも思います。社会風潮も厳しいですが、もう少し先も見たい所ですね。
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